Perfecta Naviをご覧の皆様、後閑信一です。今回はG1競輪祭の決勝戦を__タイトルを獲るうえで、必要な“説得力…
Perfecta Naviをご覧の皆様、後閑信一です。
今回はG1競輪祭の決勝戦を__タイトルを獲るうえで、必要な“説得力”と“インパクト”にも触れながら振り返りたいと思います。
決勝戦のメンバーは
1番車/松浦悠士(広島98期)選手
2番車/和田健太郎(千葉87期)選手
3番車/平原康多(埼玉87期)選手
4番車/吉田拓矢(茨城107期)選手
5番車/清水祐友(山口105期)選手
6番車/柏野智典(岡山88期)選手
7番車/木暮安由(群馬92期)選手
8番車/坂口晃輔(三重95期)選手
9番車/諸橋愛(新潟79期)選手

並びは吉田-平原-諸橋の関東地区3車に対して、清水-松浦-柏野の中国地区3車のライン。他は和田、木暮、坂口が単騎戦となりました。注目されたのは、年末のKEIRINグランプリ2019への出場権です。清水選手は獲得賞金額で出場がほぼ確定しています。諸橋選手を含め、和田選手、吉田選手、木暮選手、柏野選手、坂口選手は優勝しないと出場権が得られない中、賞金でボーダーラインに懸かっていた松浦選手と平原選手は失格なく無事に完走すればグランプリ出場が決定するという状況でした。
ファンの皆様も選手たちの思いはある程度、想像ができたのではないでしょうか?松浦選手はメンバーが出た時点では、清水選手の前を回るとのコメントも匂わせていたようです。自力でも戦える松浦選手は失格なく、力を出し切り、清水選手にG1を獲ってグランプリに出場してもらいたい気持ちもあったのではないでしょうか?しかし、話し合いの結果、清水選手-松浦選手-柏野選手の並びに決まったのであります。
そして、関東勢は木暮選手だけが単騎戦を選びました。他にも和田選手と坂口選手が単騎戦でしたが、その3選手の中でも『タイトルに近い男!』として常に名前の挙がってきた木暮選手の走り方にも興味と期待を持たれた方は多かったのではないでしょうか?

木暮選手と言えば『シビアに攻める』という走り方がまず浮かんできます。問答無用に1着だけを目指す走りが印象的です。勝ちに徹するがあまり、時には関東同士の競り合いも演じてきました。しかし、木暮選手のように名前を挙げるだけで、すぐにその選手の走り方が思い浮かぶということは、見せ方として一流のプロではないかと、私は思います。
G1タイトルを獲るような超一流の選手たちは決勝戦でも変わらず自分のレースに徹することができます。そこに着目してみると、今回の決勝戦での木暮選手の走り方には、これまでの強気な木暮選手が見られなかったように思えます。木暮選手がさらに飛躍するためには何が必要なのか?もしも私が今回の木暮選手の立場だったら、どんな走り方をしただろうか?と、考えると、私ならば迷わず清水選手の番手に競りにいったでしょう。そこには幅広い意味での“意地と主張と一貫性”など、様々な要素が含まれています!自在型と言っても先行という戦法をあまり取り入れない木暮選手が今後タイトルを引き寄せるために必要な選択ではなかったのではないかと、私は思います。
対する松浦選手も『タイトルに近い男!』と、呼ばれ、今回、チャンスをモノにしました。松浦選手が先頭で走る時は長い航続距離の先行もあり。番手で競る時もキッチリと、主張して競り抜きます。私も現役時代に松浦選手とは同じレースで、やり合ったものです!時には競り合って、一緒に落車したこともありました。松浦選手の走り方にはどの走りにも説得力があり、その積み重ねが周りの心を動かし、認めさせ、今の実力にまで上り詰めてきたものでしょう。

話しはレースに戻りますが、スタートは1番車の松浦選手が取りましたので、必然的に関東勢は後方からの攻めとなりました。関東の先頭は吉田選手です。私が吉田選手の立場であったら、間違いなく残り3周あたりから前との車間を開けて、先頭の清水選手との間合いを取り、スパートした時に中国ラインには飛びつかせないように仕掛けたと思います!後ろはイエローラインより上に上がって良いのですから、山おろし(バンクの惰性)を使って、一気に仕掛けることも可能でしたし、観ているファンの皆様もさらに盛り上がったのでは?と、私は個人的に思います。

しかし、関東の先頭を走る吉田選手は残り2周半になっても前との車間を開けなかったため、清水選手が誘導員から車間を開けてペースを緩め、隊列に波を起こし、吉田選手にプレッシャーを与え、競輪のレースの流れを掴みました!
清水選手のペースにハマってしまった吉田選手は一緒になってペースを落としてしまい、そこから残り2周を迎えて、慌てて主導権を取りにいきました。清水選手に1度、ペースを落とされてからではいくら吉田選手が強かろうが、1コーナーの山を登らされますし、思うようなスパートができなかったのではないでしょうか。案の定、清水選手は冷静に後ろを確認しながら、吉田選手を待ってのイン粘りを敢行です!久しぶりに観た“これぞ競輪”でした。

清水選手は内側で巧く肩甲骨を使い、外並走の平原選手に対して動力を貰うかのような必要最低限の動き!対する平原選手のグランプリ出場条件は『失格はしないこと』なのです。いつもの平原選手であればアクシデント覚悟でも応戦するのでしょうが、今回はそのリスクも頭をよぎっていたのではないでしょうか?平原選手には『やられたらやり返す!』的な10倍返しの気持ちで、グランプリは頑張って貰いたいです!

このG1競輪祭は6日間場内において、ファンの皆様と触れ合いながら放送をしていましたが、これだけの臨場感が得られるエンターテイメントがなぜもっと世に出ないのか不思議でなりません。選手たちは幾度となく変わるルールの中でもシッカリ対応して、ギリギリまで追い込んでパフォーマンスを発揮しています!最高な良い素材はある!あとは美味く料理のできるシェフがこれからの競輪界には必要になってきているのではないでしょうか?
私なりにも今後、競輪復活へ向けて、少しでも恩返しができたらと__常に考えて、行動していきたいと思います。そして、年末のKEIRINグランプリ2019が今から楽しみですっ!!
【略歴】

後閑信一(ごかん・しんいち)
1970年5月2日生 群馬県前橋市出身
前橋育英高在学時から自転車競技で全国に名を轟かせる
京都国体においてスプリントで優勝するなどの実績を持つ
技能免除で競輪学校65期生入学
1990年4月に小倉競輪場でデビュー
G2共同通信社杯は2回(1996年・2001年)の優勝
2005年の競輪祭で悲願のG1タイトルを獲得
2006年には地元・前橋でのG1レース・寛仁親王牌も制した
その後、群馬から東京へ移籍
43歳にして2013年のオールスター競輪で7年ぶりのG1優勝
長きに渡り、トップレーサーとして競輪界に君臨
また、ボスの愛称で数多くの競輪ファンから愛された
最後の出走は2017年11月10日のいわき平F1
年末の12月27日に引退を発表
2018年1月に京王閣、立川、前橋でそれぞれ引退セレモニーが行われた
現役通算2158走551勝
引退後は競輪評論家やタレントとして活躍中
長女・百合亜は元ガールズケイリン選手(102期)である