12月8日に行なわれたプレミアリーグ第16節ニューカッスル・ユナイテッド対サウサンプトン戦で、FW武藤嘉紀は6試合…

 12月8日に行なわれたプレミアリーグ第16節ニューカッスル・ユナイテッド対サウサンプトン戦で、FW武藤嘉紀は6試合連続のベンチ外となった。

 これで、出場機会がなかったのは9試合連続。武藤が最後にピッチに立ったのは9月29日のレスター・シティ戦で、2カ月強にわたって出番がない。極めて厳しい状況が続いていると、そう言わざるを得ないだろう。



武藤嘉紀が最後にピッチに立ったのは9月29日

 しかも、チームは直近6試合で4勝1分1敗と絶好調で、順位を11位まで押し上げた。ロングボールとクロスボール主体の大味なサッカーを展開しているニューカッスルだが、シンプルゆえにハマったときは破壊力がある。劣勢にまわっても得意のセットプレーからゴールを奪えるのは強みで、フィジカルの強さを全面に押し出したサッカーで勝ち点を積み重ねている。

 武藤は、こうした志向を持つスティーブ・ブルース監督の構想から外れている。5−4−1の1トップに起用されているのは長身FWのジョエリントン。2番手は193cmのFWアンディ・キャロルで、3番手にスピードタイプのFWドワイト・ゲイルが続く。ブルース監督は「武藤の前に彼らがいる」として、武藤がCFの4番手であることを認めている。

 厳しい状況について、武藤は次のように語った。

「勝っているからメンバーを変える必要がない。自分としては厳しいですね。でも、やるしかない。チャンスが来た時にいいプレーができなかったら、それこそ終わってしまうので。

 とにかく、準備だけは怠らず。まずは自分のコンディションを100%に保ち、練習でも個人練習でもそういうところで最高の準備をして、いい状態をキープしないといけない。

 チームがいい形で勝っている。だから正直、監督の気持ちもわかる。(勝っているからチームを)変える意味がないので。だからこそ待つしかない。来た時にそのチャンスを掴めるように、最高の状態をキープしないと」

 心の支えになっているのは、一時は出場機会の少なさに苦しみながらも、定位置を掴み直した選手たちの存在だ。スペイン人の右SBハビエル・マンキージョは7試合連続で出番がなかったが、直近3試合で先発出場。アルゼンチン人CBのフェデリコ・フェルナンデスも4試合にわたって出番のない状況が続いたが、レギュラーの座を掴み直して7試合連続で先発中だ。

 何かのきっかけで、状況が変わるかもしれない——。武藤は自分自身に言い聞かせながら、黙々とトレーニングに励んでいるという。

「試合に出てないので出たい。ただ、それを決めるのは監督なので。その来たるべきチャンスを(待ちたい)。フェルナンデスやマンキージョなど、ずっとベンチ外でやっていた選手がこうやってまたいきなりチャンスもらって、結果を出している。自分もそれを信じて」

 もちろん、出番がないことに悔しさはある。だが、武藤の表情に悲壮感はなく、むしろ厳しい状況が続いていることで開き直った印象だ。武藤も前向きに言う。

「ケガ以外でこういう経験はなかったので。今は逆に……開き直ったじゃないですけど、とにかく今は歯を食いしばるしかない。ここでどれだけ耐えられるか。

 ここまで耐えたあとに結果を出せれば、これほどうれしいこともない。やっぱり試合に出ることができれば、結果を出せるという自信もあるからこそ、それを示したい。チャンスを失わないように。とにかく前向きにやらないといけないと思っています」

 ここからプレミアリーグは、年末年始の過密日程に突入する。チーム総出で試合に臨む必要があり、武藤にとってもチャンスはゼロではない。

 本人も、「この期間は試合もありますし、ケガ人が出てくることもある。ここでもうダメだったら、その時考えればいい。今から考えるというよりも、とにかくまずはここで追い込む。来たるべきチャンスでいいパフォーマンスができるよう、身体にムチを打っていきたい」と力を込めた。

「ダメだったら、その時考えればいい」と武藤が言うように、この過密日程でも出番がなければ、1月の移籍市場でニューカッスルを離れる可能性は高まるだろう。ただ、その前にもう一度、チャンスが来ることを信じて——。

 厳しい状況であることに変わりはない。ただ、武藤が身を置いているのは、自身が夢だったと語るプレミアリーグである。簡単にあきらめることなく、できる準備とアピールを全力で行なうと誓った。