甲子園出場経験を持つ選手が数多く在籍する大学準硬式野球の“王者・中央大学”。このチームには様々な思いを持つ選手が夢に向かって努力を続けている。1年生ながら今秋の東都リーグで最優秀投手賞とベストナインを獲得し優勝に大きく貢献した近野佑樹。彼も浦和学院高校で夏の甲子園ベスト8、輝かしい経歴を持つひとりだ。

高校3年の夏に準硬式の世界へ進む決断を下した。胸郭出口症候群という鎖骨と肋骨の間が狭くなることで血流に影響、脱力感や痺れに繋がる大きな怪我が原因だった。「野球を今までやってきて、成功すること=活躍することだと思っていた。やるからには活躍したい」そう考えていた近野は硬式ではなく新しいステージで高みを目指すことを決意する。

ストレッチやウエイトトレーニングも、メニューをひとつひとつ丁寧にこなしていく

準硬式野球で使用する球は硬式球と軟式球の中間的存在、重さが軽く表面を天然ゴムで覆ったもので作られている。当然、硬式野球と比べて肩や肘への負担は少ない。ブルペンでの投球練習は1日多い時で200球、試合も数多く登板できることが魅力のひとつだ。「硬式だと1試合登板すると次の日に影響してしまうが、準硬式だと1試合登板しても次の日に多少のイニングなら投げることができる。多くの試合を経験できることはとても有難い」近野自身、1年の春季リーグから試合に出場し、秋季リーグでは個人タイトルを獲得するまでに成長を遂げた。

東都大学秋季リーグ戦で3季ぶり63度目の優勝に大きく貢献した

硬式野球と比べて練習方法はほぼ変わらないというが、投手にとって1番苦戦するのが変化球の習得だ。準硬式球は表面が天然ゴムなため、指のかかり具合が硬式とは感覚が大きく異なる。「高校の時はカットボールを使っていたが、準硬式の球は同じ握りで投げると引っかかりがあまり良くない。少し動かすボールで肘の負担も少ないことを考え、挟んで投げるツーシームを覚えた」先輩に投げ方を教わり夏合宿で実戦での投げこみを続けていく中で感覚を掴んでいった。

準硬式野球の魅力を聞いた時の近野の表情が、非常に印象的だった。

「高校野球にも大学野球にもない“野球”があると思う。高校だと甲子園、大学だと神宮。それぞれ華があるけれど準硬式は世間に知られるそういったものはない。でもそこには準硬式に取り組む必死さや泥臭さがある。だからこそ今、野球ができる環境で全力を尽くしたい」

大学でも勝負できる世界を選択した。悔しさを乗り越え見つけたステージでの挑戦は、始まったばかりだ。

※大学アスリート1日密着動画「THE STARS」にて、近野選手を特集します。
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近野佑樹(こんの・ゆうき)
埼玉県出身。2000年6月30日生まれ 178cm 74kg。浦和学院高校を経て現在は中央大学法学部1年。浦和学院高校では夏の甲子園でベスト8。大学で準硬式野球の道へ進み、今年の東都大学秋季リーグでは4勝0敗、防御率1.51。最優秀投手賞とベストナインを獲得し、1年生ながら3季ぶり63度目の優勝に大きく貢献した。