2桁勝利は先発投手にとっての一つの目標とも言える数字であるが、今季の両リーグの全支配下登録投手のうち、2桁勝利経験のある投手は全体の約16%。ただでさえ難しい2桁勝利の到達だが、中にはこれを複数年続けて達成する投手もいる。■ダルビッシュ&田…

2桁勝利は先発投手にとっての一つの目標とも言える数字であるが、今季の両リーグの全支配下登録投手のうち、2桁勝利経験のある投手は全体の約16%。ただでさえ難しい2桁勝利の到達だが、中にはこれを複数年続けて達成する投手もいる。

■ダルビッシュ&田中将大はプロ入り10年で9度達成

 先日、ニューヨーク・ヤンキースで活躍する田中将大投手が自身9度目の2桁勝利を挙げた。プロ入り10年で日米通算9度の2桁勝利到達は、あの野茂英雄氏(プロ入り10年で8度)や現・広島の黒田博樹投手(プロ入り10年で5度)も成し遂げられなかった好記録であり、達成できたのはダルビッシュ有投手(テキサス・レンジャーズ、プロ入り10年で9度)と田中投手のたったの2人だけである。

 2桁勝利は先発投手にとっての一つの目標とも言える数字であるが、今季の両リーグの全支配下登録投手のうち、2桁勝利経験のある投手は全体の約16%。ただでさえ難しい2桁勝利の到達だが、中にはこれを複数年続けて達成する投手もいる。パ・リーグの過去20年の2桁勝利投手の中で、5年以上続けて達成した投手はどのくらい存在するのか調べてみた。

【過去20年の複数年連続2桁勝利投手】
※5年以上、パ・リーグでの記録のみ、NPBは当時の最後の在籍球団で表示

〇西口文也(西武)7年連続
1996年(16勝)、97年(15勝)、98年(13勝)、99年(14勝)、00年(11勝)、01年(14勝)、02年(15勝)

〇黒木知宏(ロッテ)5年連続
1997年(12勝)、98年(13勝)、99年(14勝)、00年(10勝)、01年(11勝)

〇清水直行(ロッテ)5年連続
2002年(14勝)、03年(15勝)、04年(10勝)、05年(10勝)、06年(10勝)

〇和田毅(ソフトバンク)5年連続
2003年(14勝)、04年(10勝)、05年(12勝)、06年(14勝)、07年(12勝)

〇ダルビッシュ有(日本ハム、レンジャーズ)9年連続、パでは6年連続
2006年(12勝)、07年(15勝)、08年(16勝)、09年(15勝)、10年(12勝)、11年(18勝)、12年(16勝)、13年(13勝)、14年(10勝)、※12年以降はMLBでの成績

〇涌井秀章(西武)5年連続
2006年(12勝)、07年(17勝)、08年(10勝)、09年(16勝)、10年(14勝)

〇田中将大(楽天、ヤンキース)8年連続、パでは5年連続
2009年(15勝)、10年(11勝)、11年(19勝)、12年(10勝)、13年(24勝)、14年(13勝)、15年(12勝)、16年(11勝※9月4日現在)、※14年以降はMLBでの成績

〇攝津正(ソフトバンク)5年連続
2011年(14勝)、12年(17勝)、13年(15勝)、14年(10勝)、15年(10勝)

■ハードル高い5年連続2桁勝利、計り知れない貢献度

 8選手のうち6選手が通算100勝以上を挙げており、残る黒木氏と攝津投手も76勝を挙げている。金村曉氏(当時北海道日本ハム)や斉藤和巳氏(当時福岡ソフトバンク)などが4年連続2桁勝利を記録しているが、惜しくも5年連続はならず。それほど5年連続2桁勝利はハードルが高いものだ。

 また、これらの8選手は在籍期間中にいずれもチームが日本一となっている。2桁勝利を何年も続けて達成することによるチームへの貢献度は計り知れず。2桁勝利が毎年計算できる投手がいることで先発陣に軸ができ、首脳陣にとってチームを構成する上でこんなにもありがたい存在はないだろう。

 今年はすでに楽天・則本投手が4年連続、千葉ロッテ・石川投手が3年連続2桁勝利を達成した。やはり先発投手たるもの、毎年のように安定して2桁勝利を達成してこそ箔がつく。シーズン終盤を迎え、順位争いも気になるところだが、新たな「複数年連続2桁勝利到達者」の誕生に期待し、選手個人の成績にも注視していきたい。

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

「パ・リーグ インサイト」編集部 松下雄馬●文