無傷の6連勝で、投手陣が与えた点は大会を通じてわずか1点。投手陣もさることながら、遊撃手・佐藤勇基内野手(中京大中京)の守備と小技が光った。佐藤は遊撃手部門の大会ベストナインを獲得。小枝守監督から絶大の信頼を得ていた。■侍ジャパンU-18代…

無傷の6連勝で、投手陣が与えた点は大会を通じてわずか1点。投手陣もさることながら、遊撃手・佐藤勇基内野手(中京大中京)の守備と小技が光った。佐藤は遊撃手部門の大会ベストナインを獲得。小枝守監督から絶大の信頼を得ていた。

■侍ジャパンU-18代表を支えた中京大中京・佐藤勇基

 第11回BFAアジア選手権で侍ジャパンU-18代表が決勝戦で台湾に1-0で勝利し、2大会ぶりの優勝を飾った。無傷の6連勝で、投手陣が与えた点は大会を通じてわずか1点。投手陣もさることながら、遊撃手・佐藤勇基内野手(中京大中京)の守備と小技が光った。佐藤は遊撃手部門の大会ベストナインを獲得。小枝守監督から絶大の信頼を得ていた。

 父に元中日投手の佐藤秀樹氏を持つ勇基内野手。今夏の甲子園に出場していない選手ながら、侍ジャパンの遊撃手のレギュラーとして6試合中、インドネシア戦を除く5試合にスタメン出場。内野の要としてチームを支えた。小枝守監督と大藤敏行ヘッドコーチは地区大会から甲子園大会まで試合を細かくチェック。高い投手力を持つチームになることが予想できたため、打力よりも守りのレベルの高い遊撃手を求めていた。甲子園に出場した遊撃手も何人か候補に挙がったが、最終的は佐藤を選出した。

 佐藤の抜擢を進言したのは大藤コーチだった。「サードとショート、複数のポジションをできる選手を選定した。全部、甲子園を見たのですが、それを踏まえても(甲子園に出場していない)佐藤が一番、守備がうまいと思った。ハンドリング、肩の強さは玄人好み。地味な選手ではあるけれど、守備では一番良い選手」。同コーチは元中京大中京の監督で教え子には嶋基宏(楽天)や堂林翔太(広島)らがおり、確かな指導力と眼を持つ。現在は同校の教職員で佐藤の担任教諭も務めている。「野球への取り組み、能力、人となりもわかっていたので監督に推薦しました」。小枝監督の意向とも合致した。

■「自分は脇役」も印象に残るプレー披露、指揮官も高評価

 印象に残るプレーはいくつもあった。特にセミファイナルの中国戦。打席では試合を動かすスクイズを決め、守備でも三塁手がバウンドに合わずボールを後逸した際に素早いカバーリングと強肩でアウトにして見せた。小枝監督が「佐藤が本当によくボールをさばいてくれている」と絶賛したほどだ。6試合を1失点で終えられたのは、高い守備力と決して無関係ではない。少ない好機をものにして守り勝つというチームの戦い方にピタリとはまった。

 佐藤自身も自分の立場と役割をわきまえていた。「自分は脇役だと思っているんです。コツコツとピッチャーが打ち取った球を確実にアウトにするのが仕事。地道なんですけど、それをキッチリやることを意識しています。捕れるところは確実に捕って、肩に自信があるのでぶれない送球と難しい体勢からも力強く投げることができると思います」。その言葉通り、日本のショートストップを守り切った。ショートにボールが飛べば安心して見ることができた。

 この代表チームからプロを目指す選手も多いが、佐藤は大学に進学し、さらに技術を磨く。寺島、今井、堀らを中心とした投手陣が思い切って投げられたのもバックを信頼できたからこそ。佐藤の働きは非常に大きかった。