アメリカ・ニューヨークで開催されている「全米オープン」(8月29日~9月11日/ハードコート)の6日目、女子シングルス3回戦。 23番目のグランドスラム・タイトルを狙うセレナ・ウイリアムズ(セレナ)の右肩の炎症は、大丈夫なようである。「…

 アメリカ・ニューヨークで開催されている「全米オープン」(8月29日~9月11日/ハードコート)の6日目、女子シングルス3回戦。

 23番目のグランドスラム・タイトルを狙うセレナ・ウイリアムズ(セレナ)の右肩の炎症は、大丈夫なようである。「間違いなく、しっかりプレーできていると感じるわ」とセレナ。

 彼女自身やコーチの言葉を引用するまでもなく、その証拠はたくさんある。セレナが世界ランク47位のヨハンナ・ラーション(スウェーデン)を6-1 6-1で粉砕して4回戦進出を決めたときの、圧倒的なプレーがそれを証明している。

 それはセレナにとってグランドスラム大会で307勝目となる勝利だった。テニスがオープン化された1968年以降の記録で見ると、女子の最多記録を持つマルチナ・ナブラチロワ(アメリカ)を追い越し、男子の最多記録を持つロジャー・フェデラー(スイス)と並ぶ数字だ。

 セレナはあるサービスで時速195kmを記録し、半ダースほどのエースを奪い、今週のサービスエースの合計を「31」に伸ばした。直面したブレークポイントは一度だけで(これは彼女にとって今大会初)、彼女はそれを首尾よくしのいでみせた。また、彼女はリターンエースを7本決め、ウィナーはラーションの5本に対して24本を記録した。

 「テニスに関していえば、すべての面において非常に満足のいくものだったと思う。もちろん完璧ではないが」と、セレナのコーチであるパトリック・ムラトグルーは言った。「ここ2ヵ月、あまり試合をプレーできていなかった者にしては上出来だし、競争力があると思う」。

 いまや、その言い方では控えめという印象すら与える。

 「痛みはないはずだ。もしかしたら、少しは感じているのかもしれないが、私は彼女の肩の中にいるわけではないから、わからないね。でも、見たところ、通常通りにプレーしている。サービスもだ。練習で、彼女は通常できている通りの質の高いサービスをフルパワーで打っている」とムラトグルーは言う。

 「だから問題があるようには見えない。それに彼女は痛み云々について口にしてもいないよ。今、事はコントロール下にあるんだと思うね」。

 これは、セレナの次の対戦相手である世界ランク52位のヤロスラーワ・シュウェドワ(カザフスタン)にとっては凶報だろう。シュウェドワはジャン・シューアイ(中国)を6-2 7-5で倒し、全米初の4回戦進出を決めた。

 セレナのシュウェドワに対する過去の戦績は4勝0敗だ。

 シュウェドワは、オープン化以降の記録で初の“ゴールデン・セット”を成し遂げたことで知られる選手である。彼女は2012年のウィンブルドンで、サラ・エラーニ(イタリア)に対して第1セットの24ポイントのすべてを取ったのだ。

 「彼女(シュウェドワ)は危険な選手だ」とムラトグルーは言う。「でもセレナは、よりいっそう危険だと思うね」。

 ラーションも、おそらくそれには同意するだろう。

 「コートに出た以上は、勝つための方法をどうにか見つけ出そうとするものよ」とラーションは言った。「でも、時に望んでいることは起きないのよ」。

 ムラトグルーは、セレナの肩に痛みが出始めたのは、ウィンブルドンの1、2日あとだったと言う。セレナはウィンブルドンで優勝し、シュテフィ・グラフ(ドイツ)が持つオープン化以降のグランドスラム大会最多優勝数「22」とタイの記録を挙げ、姉ビーナスと組んで女子ダブルス優勝も遂げている。

 土曜日に行われた3回戦は、セレナにとって、この全米で初めての日中の試合であり、そのため彼女は新しいテニスウェアをデビューさせた。ネオンピンクのアームカバー付きの白いドレスだ。彼女はそれを「私の“ワンダー・ウーマン風”の袖」と呼んだ。

 「このデザインは特に、スーパーヒーロー的な雰囲気のあるデザインだと感じるの」とセレナ。「すごくパワフルで、強いキャラクター、気骨とでもいう感じを持つけれど、同時に柔らかであることも恐れない、とでも言えばいいのかしら」。

 月曜日に行われる女子シングルスの4回戦のカードはほかに、セレナの姉ビーナス・ウイリアムズ(アメリカ)対第10シードのカロリーナ・プリスコバ(チェコ)、第5シードのシモナ・ハレプ(ルーマニア)対第11シードのカルラ・スアレス ナバロ(スペイン)、第4シードのアグネツカ・ラドバンスカ(ポーランド)対アナ・コニュ(クロアチア)となる。

 ビーナスは土曜日の3回戦で、第26シードのラウラ・シグムンド(ドイツ)を6-1 6-2と、難なく倒して4回戦に進んだ。彼女がいるドローの側にグランドスラム大会で優勝経験があるのは、「ウイリアムズ」の苗字を持つふたりだけである。つまり、この姉妹は準決勝で対戦する可能性があるのだ。昨年の全米では準々決勝で対戦し、セレナがビーナスを破っている。(C)AP