文=鈴木栄一 写真=FIBA.com東京オリンピックのプレ予選を終えて、バスケットボール女子日本代表の2019年の活動はすべて終了。アジアカップで4連覇を果たし、プレ予選でも3戦全勝と結果を出した。それでもオリンピックでの金メダル獲得を目標…

文=鈴木栄一 写真=FIBA.com

東京オリンピックのプレ予選を終えて、バスケットボール女子日本代表の2019年の活動はすべて終了。アジアカップで4連覇を果たし、プレ予選でも3戦全勝と結果を出した。それでもオリンピックでの金メダル獲得を目標に掲げる以上、来年2月に行われるオリンピック予選トーナメント(OQT)まで、それぞれのレベルアップは不可欠だ。プレ予選のオーストラリア戦でWNBAプレーヤーのエリザベス・キャンベージを相手にタフなディフェンスを仕掛けて日本の勝利の立役者となった渡嘉敷来夢であっても、それは変わらない。久々に代表としてフル稼働した1年を終え、渡嘉敷はさらなるレベルアップに燃えている。

世界の高さに「勝てないとは感じませんでした」

──まずは今年最後の代表活動となったプレ予選の総括をお願いします。

私にとっては、自分より大きい相手と対戦できたことが良かったです。ただ、特にオーストラリア戦では、もう少し中でプレーしたい部分はありました。自分よりも大きな相手に対し、もうちょっとインサイドで何とかできたという思いはあります。

今の課題は外の捨てられたシュートをしっかり決めきることです。インドでのアジアカップと違って今回は3ポイントシュートをしっかりとノーマークの時に打つことができました。国内ではそんなに思い切って打てていなかったので、迷わず打てたのは自分にとって良かった点です。あとは決めるだけなので、そこは自分の課題です。

──キャンベージとのマッチアップはいかがでしたか? アジアカップでは不在でしたが、今回はオーストアリア代表に加わりました。まさに世界レベルのセンターで、このマッチアップをどう乗り切るかが日本にとっては非常に重要です。

まずはマッチアップできて良かった、という気持ちが大きいです。アジアカップの中国やオーストラリアとは違ったタイプのポストアップをしてくるので、実際に対峙してどういう動きをしてくるのか分かりました。強さ、高さともにある相手ですけど、勝てないとは感じませんでした。その中でどうファウルせずに守るかを考えていきたいです。

──日本は、すでに東京オリンピックへの出場を決めていますが予選に参加します。そういった特殊な状況において、渡嘉敷選手はどんなモチベーションを持って戦っていましたか。

とにかくオーストラリアと試合ができることがうれしかったです。インドでのアジアカップではキャンベージ選手がいなかったので、まずはキャンベージ選手とやりたい気持ちが本当に強かったですね。それこそリオ五輪では彼女に負けているので、その屈辱というか、悔しい気持ちを晴らしたかったんです。できたかと言えば、そうではないですけど、相手は相当にイライラして退場してくれた。そこの部分の手応えはありました。

「まずは自分がしっかりと中で身体を張ること」

──今回の日本は、主力選手か何人か参加していません。その中で、アジアカップよりも強力なメンバーだったオーストラリアに勝ったことへの充実感はありますか。

日本も、スタートは1人しか変わらなかったので、ベストメンバーに近い部分はありました。そういった中で若手の新しい選手が出てきてくれた。宮澤(夕貴)も決勝戦ではポジションを変えていました。一人ひとりがまた新しいポジションや新しいことにトライしたことで、日本の層が厚くなったのはすごく感じています。

──2月のOQTでは世界の強豪と対戦します(後でカナダ、ベルギー、スウェーデンに決定)。

めちゃくちゃ楽しみですね。結果が良いに越したことはないと思いますが、まずは自分がしっかりと中で身体を張ることがディフェンスでもオフェンスでも大事になってきます。国内で経験できないことを2月に経験したいです。チームが勝って、首位に行くことも含めて、それがオリンピックに向けてのステップアップとなります。

2月に向けて、どんな世界のプレーヤーと対戦できるのかを楽しみにしながら力を磨いていくつもりです。日本のプレースタイルを見て、相手も外を絶対に止めてくる。そういった時に自分が中で得点できれば上手くバランスが取れるので、そこは頑張っていきたいです。

──2月の最終予選までは、Wリーグ、皇后杯とJX-ENEOSでの戦いに戻ります。ここでは、どんなテーマを持ってプレーしますか。

まずはチームに戻って、リーグ戦に加えて皇后杯とタイトルが懸かっている大会を勝ちきるために、自分がしっかりとチームを引っ張り、勝利に導いていかないといけないと感じています。

そこを第一に考えつつも日本代表でやるプレーのレベルアップにも取り組む。それができれば必然的にJX-ENEOSのレベルも上がる。JX-ENEOSと日本代表、どちらのチームでも助けとなるプレーをすることで、世界を見据えて国内も戦っていきたいと考えています。