ホンダがF1活動をひとまず2021年まで継続することになった。22年以降についてもパワーユニットの供給についてパートナーシップを結ぶレッドブルと協議していくことで合意。F1撤退という最悪の事態は避けられた。 レッドブル・ホンダの一員として…

 ホンダがF1活動をひとまず2021年まで継続することになった。22年以降についてもパワーユニットの供給についてパートナーシップを結ぶレッドブルと協議していくことで合意。F1撤退という最悪の事態は避けられた。

 

レッドブル・ホンダの一員としてフェルスタッペンがチャンピオンを狙う(ホンダ提供)

 

一部役員からはF1継続に否定的な意見も

 

 ホンダ本社の一部役員からはF1継続に否定的な意見も実際には出たという。11月に発表された第2四半期(7~9月)では業績が悪化し、4輪事業の販売見通しを下方修正したほど。F1では走行テストの頻度を極端に減らすなど開発コストを抑える風潮にあるが、それでも年間に100億円はかかるといわれており、不採算だと目をつけられる事業ではあった。

 幸いにも21年から施行される新レギュレーションで、ハイブリッドシステムを使った現行のパワーユニットを踏襲することになり、大きな投資をせずに済んだ。最終的にはそれが決め手になったという。

 重要な決断の直前に開催されたF1ブラジルGP(11月17日)でレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン(22)=オランダ=が自身初のポールトゥウインで今季3勝目を飾った。それが後押しにはなったように見えるが、ホンダのF1プロジェクトで主に契約や管理業務を担う山本雅史マネジングディレクターは「確かにうれしい出来事だったが、あの優勝でこっちだった話がこっちにひっくり返ったとか、そういうことはない」。役員会などで継続的な議論を重ねてきた結果に基づいていることを強調した。

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継続か撤退かの判断について慎重に協議を続けた一因とは?

 

ホンダF1の山本雅史マネジングディレクター(ホンダ提供)

 

 活動継続か撤退かの判断について慎重に協議を続けた一因として、リーマン・ショックの影響で2008年を最後に第3期プロジェクトをたたんでしまった教訓があるとみる。将来の優勝の見込みが大いにあるなか、ホンダ上層部は景気後退を理由に撤退を決断。当時チーム代表だったロス・ブラウン氏に言い値でチーム資産のすべてを売却したが、継承した新チーム「ブラウンGP」がいきなりチャンピオンを取ってしまった。つまりホンダの遺産でてっぺんを取ったことになる。

 F1に復帰した2015年から技術者は血のにじむ思いでパワーユニットを開発してきた。これまでの苦労を水の泡にしたくない。F1は創業者本田宗一郎の肝いりでスタートさせた歴史があり、ホンダにとってはDNAの一部でもある。志半ばでしっぽを巻いて逃げるわけにはいかないというホンダのチャレンジスピリットがこのような決断を呼んだのだと思う。

 フェルスタッペンは将来は必ずチャンピオンになるといわれる逸材。もしメルセデスに在籍していたとしたら、現王者のルイス・ハミルトン(34)=英国=すらやり込めてしまうとさえ言われる。陣営の合言葉は「レッドブル・ホンダのフェルスタッペン」としてチャンピオンにいざなう。この勢いなら、来季にはそれが実現するかもしれない。

[文・写真/東京中日スポーツ・鶴田真也]

トーチュウF1エクスプレス(http://f1express.cnc.ne.jp/)

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