『自動車工学の基礎理論』エンジン・シャシー・走行性能著者:工学博士 林義正発行:グランプリ出版定価:本体価格2400円(消費税除き)ISBN978-4-87687-369-2日産で、日本車初のデイトナ優勝マシンのエンジンなど数々のエンジン設…

『自動車工学の基礎理論』
エンジン・シャシー・走行性能
著者:工学博士 林義正
発行:グランプリ出版
定価:本体価格2400円(消費税除き)
ISBN978-4-87687-369-2

日産で、日本車初のデイトナ優勝マシンのエンジンなど数々のエンジン設計を手掛け、その後大学教授として学生とともにルマンに挑んだ著者が記した自動車工学の入門書が刊行された。

著者の林義正氏は1962年に日産入社後、高性能エンジンの研究、排気浄化技術の開発、騒音振動低減技術の研究などを経て、スポーツエンジン開発室長、スポーツ車両開発センター長を歴任。米国IMSA-GTPレース4連続選手権獲得、第30回デイトナ24時間レースで数々の記録を樹立し、日本車として初優勝を飾るなど、様々なレース活動を行い、自動車工学を総合工学ととらえ様々な切り口で論ずることが出来る人物だ。

自動車工学というと、どうしても難しさが先立ち基礎といわれてもなかなか本を手に取ろうとは思わない方も多いだろう。しかし、本書は“エンジンのトルクと出力(馬力)、どちらが大切か”や、“高速エンジンでは低速トルクが犠牲になるのはなぜか”、“燃費の良い運転方法とは”など、素朴な疑問をテーマとしてわかりやすく解説している。従って、最初から読んでいく必要はなく、目次を見ながら、興味のあるところを読み進めることが出来るのも読みやすさにつながっている。

つまり、“なぜ?”“どうして?”事象をめぐる様々な質問に、材料力学、機械力学、流体力学、熱力学の4力学を駆使して、明快に回答。全体で400点にも及ぶ著者手描きの図版で、難解な力学理論が視覚的に理解できるため、若手エンジニアや学生に最適の書籍といえる。