アメリカ・ニューヨークで開催されている 「全米オープン」(8月29日~9月11日/ハードコート)の5日目、男子シングルス3回戦。 第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)は対戦相手のミカエル・ユーズニー(ロシア)が故障により、わずか…

 アメリカ・ニューヨークで開催されている 「全米オープン」(8月29日~9月11日/ハードコート)の5日目、男子シングルス3回戦。

 第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)は対戦相手のミカエル・ユーズニー(ロシア)が故障により、わずか6ゲームをプレーしたあとに棄権したため、またも最後まで戦わずして次のラウンドに駒を進めた。ジョコビッチは2回戦でも対戦相手のイリ・ベセリ(チェコ)が左前腕の炎症のため、試合の数時間前に棄権したことから不戦勝で勝ち上がっていた。

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 2人の対戦相手の故障のおかげで、ジョコビッチは4回戦進出を果たすのに、あまり多くの労力を注ぐ必要はなかった。

 ジョコビッチはコーチのボリス・ベッカーが注意深く見守る中、アーサー・アッシュ・スタジアムでの練習を長めに行ったのも、筋が通ったことだったろう。彼は、2、3回戦を合わせて31分しかプレーしていなかったのである。

 「僕のグランドスラムでのキャリアで、こんな状況を経験したことは一度もなかった。でも(一年の後半という)シーズンの時期と、ここまでプレーしてきた試合数、体に負担がかかっていたことを考えると、こんなふうに数日の休みを手にし、それから短い試合をプレーするというのは、実際、よいことだと思う」とジョコビッチは言った。「その反面、グランドスラム大会の2週目に入ろうというときには、ある程度試合をプレーし、トップ選手に当たる前にセンターコートで時間を過ごしておきたいものだ」。

 ユーズニーは、ジョコビッチに2-4とリードされていたときに左ハムストリングの故障のため、わずか31分のプレーの後に棄権を決めた。彼はその前にトレーナーから治療を受け、左脚にテーピングを施し、少しの間、続けようと努力している。しかしネットで簡単なオーバーヘッドを決め、第6ゲームでサービスをキープしたあと、彼は頭を振り、主審にこれ以上続けられないと告げたのだった。

 ユーズニーは現在、世界ランク61位だが元トップ10選手であり、2006年と2010年の全米オープンで準決勝に進出していた。

 「僕は前に進み、次の試合に集中するよ」とジョコビッチ。  「向上させなければならないことはたくさんある。それがスポーツの美しさだ。毎日が違っている。コート上でのフィーリングは毎日違う、それがチャレンジなんだ。僕は、自分のテニスのほとんどすべての面を向上させようと努めている」  「グランドスラム大会の1週目は、明らかに、事は100%ではないよ。だから大会を通してそれを向上させていくんだ。でも僕は試合であまりプレーできなかったから、もう一度練習コートで感覚を高めるよう努力する」  それが、彼がやったことだった。試合用の白い襟付きシャツを、グレーのTシャツに変えて、ほぼ1時間のトレーニング。ベッカーが傍に立ってボールを投げ、ジョコビッチはサービスを打ち続けた。それから、練習パートナーにサービスを打ってもらい、リターンに次ぐリターンを打ち続けた。

 数百人のファンたちはアーサー・アッシュ・スタジアムに留まり、全米オープンや、今年の全豪、全仏を含め「12」のグランドスラム・タイトルを獲得したジョコビッチを近くで見られる、稀なチャンスを楽しんだ。その多くが携帯電話で写真を撮っていたのは言うまでもない。

 ジョコビッチは、左手首に痛みを抱えてニューヨークにやって来た。しかし4セットで勝った月曜日の1回戦では、今度は右腕に痛みを覚え、5ゲームをプレーしたあとにトレーナーを呼んでマッサージを受けている。彼はその後も顔をしかめて腕を振り、サービスはいつもよりずっと速度を落としていた。

 「腕はもういいようだよ。すべては正しい方向に向かっている」とジョコビッチは言った。「大会の出だしと比べれば、ずっとフィーリングはよくなっている」。

 日曜日にジョコビッチはついに、今の状況を確かめるテストをする機会を得る。彼は準々決勝進出をかけて、世界ランク84位のカイル・エドマンド(イギリス)と対戦する予定だ。(C)AP