第89回全日本ボクシング選手権大会

11月21日(木)~24日(日) 鹿児島県阿久根市総合体育館


・49㌔級

川谷 優勝

・52㌔級

田村 2回戦敗退

・57㌔級

堤 優勝

金城 初戦敗退

・63㌔級

今永 準優勝

渡来 2回戦敗退

・75㌔級

田中 3位

菊池 初戦敗退


全日出場メンバーの集合写真


全日初優勝の川谷

堤は東京五輪に一歩近づいた

昨年を超える準優勝の今永


 鹿児島県阿久根市で、第89回全日本ボクシング選手権大会(以下、全日)が4日間にわたって開催された。東洋大からは8人の選手が出場し、49㌔級の川谷(営2=豊国)と57㌔級の堤(営2=習志野)がチャンピオンに輝いた。また、この優勝により堤は東京五輪の選考大会である2020東京五輪アジア・オセアニア予選の出場権が与えられた。

 

 1日目には5名の選手が出場した。52㌔級の田村(ラ3=崇徳)は、「緊張していた」と話すものの、集中したボクシングを見せる。1ラウンド目から試合をコントロールし、判定勝ちを決めた。続く57㌔級には堤が出場。ボディーやアッパーなど多彩なボクシングを展開する。三浦監督も「安心して見られる試合をしてくれた」と話し、難なく準々決勝進出を決めた。アップから集中していたという63㌔級の渡来(営3=武相)は1ラウンド目で相手のダウンを取り、ストップ勝ちを決めた。金城(営1=黒沢尻工)、菊池(営2=菊華)は初戦敗退となったものの、出場した5名のうち3名が勝利いう結果に三浦監督は「東洋のボクシングができた」と振り返った。翌日の2日目にはシードにより初戦となった川谷が安定したボクシングで判定勝ちを決める。続く田村の相手は昨年のチャンピオンである柏崎(福井県)。1ラウンド目こそ落としたものの、2、3ラウンド目とチャンピオンに対し互角の戦いを見せる。3-2という接戦のなか惜しくも判定負けではあったが「自分の実力は全部出せた」と田村は話した。堤は日大の小川に様々なパンチで攻略。質の良いボクシングを見せ、準決勝進出を決めた。堤の流れに乗りたい渡来の対戦相手は第72回関東大学ボクシングリーグ戦(以下、リーグ戦)で今永(営2=王寺工)が唯一敗戦している完山(駒大)。今永のリベンジを誓った渡来は完山と一進一退の試合を繰り広げる。しかし勝利の女神は渡来に微笑まず敗戦となった。続く63㌔級には今永が出場。体を左右に揺らしながらパンチを決め判定勝ちを収める。「今日のなかでは1番良かった」と三浦監督は評価した。75㌔級に出場した田中(文3=享栄)は冷静なボクシングで圧倒的な勝利。4人が準決勝進出を決めた。

 

 迎えた準決勝。川谷の相手は昨年のリーグ戦で敗戦している松本(日大)。クリーンヒットを確実に重ね、決勝進出を決めた。堤は昨年の全日本チャンピオンである村田(自衛隊)と対戦した。相手の動きを読みパンチを決める。「合格点をあげられるような試合だった」と堤自身も納得のいくボクシングで判定を勝ち取った。その流れを受け取った今永は隙のない相手に多くのクリーンヒットを当てる。今永のデフェンスの動きも評価され、4-1で判定勝ちを収めた。田中は1ラウンド目では足を使った動きを見せる。しかし、2ラウンド目には相手のペースに流されてしまう。3ラウンド目で巻き返しをはかりたいところだったが相手のパワーあるボクシングに押され、3位に終わった。

 

 決勝は豪雨のなか行われた。まず始めに登場したのは川谷。「大好きな両親の喜ぶ顔がみたい」と緊張のなか挑んだ試合では相手の動きを読み、試合のペースを握る。仲間から大きな声援が飛ぶなか、左のパンチやフットワークを有効に使い、相手の攻めを裁く落ち着いたボクシングを見せる。5-0の判定勝ちを決め、全日本チャンピオンに輝いた。しかし「試合内容は全然だめだった」と川谷は謙虚に振り返る。今季無敗の男の理想のボクシングはまだまだこの先にある。さらなる成長に期待したい。

 

 続く堤は試合前に豪雨による落雷により、会場が停電してしまうというハプニングが発生。そのなかでも集中力を切らさなかった。「みんなの顔を見てガッとスイッチが入った」という堤は藤田(自衛隊)に対し「積極性とスタミナを削っていくという作戦に途中から切り替えた」という。2ラウンド目、3ラウンド目へいくにつれて調子を上げ、右アッパーなどでポイントを奪う。レフリーは堤の手を挙げ、2年ぶりの優勝を果たした。

 

 同学年の優勝が続いたなか挑んだ今永の相手は、全日で8回の優勝を誇る成松(自衛隊)。王者に対して今永は「自分の持っている体力、技術、スタミナを全部出して勝つ」と意気込んでいた。試合ではクリーンヒットを当てるなど積極的なボクシングを見せる。惜しくも勝利のコールを聞くことができなかったが、「今永が強いというのを見せつけられたと思う」と三浦監督は振り返った。

 

 今大会では3人が決勝進出、うち2人が全日チャンピオンと強さを見せつけた東洋大。また、東京五輪を見据える堤は来年の2月に中国で行われる2020東京五輪アジア・オセアニア予選に出場する権利を獲得した。「やっとスタートラインに立てた」と堤。競歩に続く東洋大からの五輪輩出者となるか注目だ。また、12月には大学日本一決定戦である第73回全日本大学ボクシング王座決定戦が控えている。今大会けがのため欠場したキャプテンの木村(営4=飛龍)率いる東洋大ボクシング部が迎える最後の大会。リーグ初優勝、そして今回の全日の勢いそのままに東洋大が大学ボクシング界の天下を狙う。

  


■コメント

・三浦監督

全体の流れで言うと、リーグ戦でもそうだが個人戦でも初戦の川谷が非常に良い流れを作ってくれた。後ろにつないでくれたのが非常に良かった。川谷がライトフライ級、49㌔級で、初優勝でもあるし、試合の内容もほぼペースを握って安心して見れた。良い状態で良い結果を出してくれてほっとしている。まだまだ課題はあるのでそこを修正して次のステップにしてほしい。海外の試合も経験させていきたい。今回初タイトルを取ったというのはそういうチャンスもあるので頑張ってほしい。堤はコンディショニングの問題もあったが、しっかり体調をつくって非常に良い試合をしてくれた。今日の決勝の藤田選手はすごい技術をもっている。1ラウンド目は互角か取られたかなと思っていたが、2、3ラウンド目でだんだんとギアが上がってきた。しっかりとポイントを取ってくれた。最後に手が上がった瞬間はうれしいもそうだがほっとした。今永は63㌔級の決勝の相手は成松選手。すごい名王者にたいして、しっかり攻めた。クリーンヒットも当てたし、本当にわずかな差でポイントが向こうにいってしまった。勝利のコールは聞けなかったが、ボクシング関係者に今永が強いというのを見せつけられたと思う。今回東洋大として3人決勝に行って2人優勝したというのは、すごくいい結果として歴史を刻むことができた。これに関しては良かったと思うし責任を果たせたと思う。これからまだまだもっと強い名門・東洋大をつくっていきたい。王座もあるし日本一のタイトルがあるので、これに満足することなく頑張っていきたい。(試合前に声は掛けたか)へんに気負わずにいつも通り集中してほしかった。大舞台は緊張するが落ち着いて集中していこう、自分たちのペースでやれ、と言ったのでその通りやれて良かった。我々がなにか言ってという以上に彼らが自分でコントロールしていい精神上でリングに上がれるくらいのレベルには達しているし、そういうふうにつくってきた。そこは非常に良かった。(選手にかけたい言葉は)全日本チャンピオンになった川谷、堤に関しては「おめでとう」と言いたい。ただここで天狗になるのではなくまだまだ世界の目標がある。別に天狗になる性格ではないがまだまだ先を目指して頑張ってほしい。


TEXT=長枝萌華 PHOTO=岡村珠里、長枝萌華