11月25日から全日本バレーボール大学男女選手権大会(全日本インカレ)が開幕する。男子72回、女子66回を数え、柳田将洋選手や石川祐希選手など、日本代表でも活躍する選手たちを輩出してきた由緒ある大会だ。スポーツブルでは、27日と28日に行われる2回戦と3回戦の模様を無料ライブ配信する(https://sportsbull.jp/live/volleyball_boy/)。

今回は、初の大会3連覇を目指す早稲田大学男子バレーボール部・大塚達宣選手(1年)に話を聞いた。大学バレーを通じて1年間学んできたこと、学業との両立、そして、初めて臨む全日本インカレに懸ける思い。今、この瞬間だからこそ語られるゴールデンルーキーの言葉に注目いただきたい。

「逃げるプレーはしたくない。どんな時も攻め続けることが大事」

※洛南高校の先輩でもある吉田悠眞選手(2年・写真右)と話す大塚。たとえ上級生であっても、臆することなくコミュニケーションを取りに行く

身長194cmと恵まれた体格からバックアタックを積極的に仕掛ける。ひるむことなく攻め続けるプレースタイルを武器に、洛南高校在籍時には春高バレー優勝とMVPに輝き、大学入学直後の関東大学春季リーグでは新人賞も獲得した。最高のデビューを飾った大塚に、松井泰二監督や堀江友裕主将は「能力が高いので思い切りプレーしてもらいたい」と全幅の信頼を寄せる。

彼自身は春季リーグ、東日本インカレ、秋季リーグを終えて、どう感じているのか。「伝統ある早稲田大学男子バレーボール部で、入ってすぐ使っていただいていることはすごくありがたい」。しかし、同時にプレッシャーも感じていた。コートに入っている以上は結果を出さなければいけないと思いつめ、春季リーグは自分らしいプレーができなかった。「その中で自分がやりやすい環境を作ってくれたのは先輩方。今季の集大成として、全日本インカレでは結果で恩返ししたい」。

人見知りをしない性格だという大塚。部内に上下関係はもちろんあるが、先輩たちとの壁は感じていない。「自分が気になったことはどんどん聞くし、逆に気になっている部分があれば、客観的に見てどうなのか言って欲しい」。また、マイペースな面もあるようで、ライバルや目標とする選手は特にいないとのこと。「誰か一人に絞るのではなく、この選手のこういうプレーが良いと思ったら取り入れるようにしている。国内だけでなく海外も含めて、色々参考になる部分はそこら中に散らばっていると思うので、拾っていきたい」。見様見真似で取り入れながらも、確実に自分のものにしていく。高いコミュニケーション能力や器用さも彼の強みだ。

トレーニング、学業…すべての道は“バレー”に通ず

※コートでの練習を終え、ウエイトトレーニングに取り組む(上)。持ち上げた重量は個人の記録表に記入していく(下)

彼には大きな夢がある。「将来は指導者になりたい。バレーにはずっと関わっていきたいけれど、選手としてやっていけるのは30代前半まで。その先の人生の方が長いので、携わり方の一つとして、体育教員免許を取得し自分が教えてもらったことを教えられる立場になりたいという思いがあった」。そのためには勉学だけでなく人間性も学ぶことが必要だと考え、選んだのは早稲田大学。「大学でやれることは内容が濃いし、頑張れば自分の未来が広がっていく。努力できなければ、それまで。この4年間は本当に大事な時間だと考えている」。

早稲田大学男子バレーボール部の特徴は、とにかく選手が考えながらプレーや練習を行うこと。トレーニングひとつとっても、ただ重りを挙げるのではなく、スポーツの動きの基本である重量挙げの動作を通じて、コートの中で重心や身体をどのように使うか意識する。こうして緻密なプレーを基礎から徹底的に磨き上げていくのだ。

コート外の時間ですら一瞬たりとも無駄にしない。在籍している早稲田大学スポーツ科学部では、医科学などスポーツに関することを幅広く学ぶ。「自分はスポーツを座学として学ぶことに興味があるし、勉強も好きなので楽しい」。トレーニングの授業や水泳や陸上など他の競技の実技が、直接関係ないように見えてバレーとリンクしていることがある。身体づくりや使い方のヒントになるのだ。大塚のどんな時も積極的に攻め続ける姿勢は、学業にも活かされている。

高校生の時から憧れていた夢の舞台へ

※実戦形式の練習に臨む大塚(写真中央)。大会直前まで細かい連携プレーを詰めていく

初めて出場する全日本インカレは、高校生の時から彼にとって夢の舞台。「去年まではずっとインカレの試合を追っていて、早稲田大学が優勝する瞬間もテレビで見た。そこに出られる喜びを噛み締め、楽しみながら自分らしいプレーをしたい」。

大会3連覇がかかる早稲田大学。特に大塚に対しては、対戦校からの厳しいマークが予想される。それでも「過去2年優勝していようと、今年は今年。どの大学も警戒してくると思うが、それを上回るプレーができたら良い。自分ができなくても、頼りになる先輩がたくさんコートにいる。自分の持ち味である思い切りのあるプレー、どんどん攻めていくところを意識してやっていけたら」と冷静さを忘れない。それは大塚だけでなく、チームを率いる堀江主将も同じだ。「3連覇はかかっているが、それは先輩方がくれたチャンス。怖さや不安もあるけれど、試合中は自分たちのコートで起きていることに目を向け改善していくことが大事だと思う。一戦一戦勝っていった先に優勝があれば良い」。自分たちがやってきたことを信じてプレーしていけば、90年近い部の歴史の中で、誰も見たことのなかった景色に辿り着けるはずだ。

積極的にクレバーに、思い切り良く。運命の瞬間に向かって、勝負のトスは上がった。