怪我をしたからこそ、見えた世界があった。 全日本インカレ32回の最多優勝を誇る明治大学アイスホッケー部。今年4連覇がかかっているチームを牽引するのは、主将でキーパーの磯部裕次郎(4年)だ。 釧路市出身、小学1年で始めたアイスホッケー。昨年…

怪我をしたからこそ、見えた世界があった。

全日本インカレ32回の最多優勝を誇る明治大学アイスホッケー部。今年4連覇がかかっているチームを牽引するのは、主将でキーパーの磯部裕次郎(4年)だ。
釧路市出身、小学1年で始めたアイスホッケー。昨年人生で初めてとなる大怪我を負った。4月に右膝内側側副靭帯損傷、リハビリを経て7月の合宿に参加したものの8月末の大会で今度は左膝内側側副靭帯を損傷した。シーズン終盤に何試合か出場することができたもののほとんどリンクに立つことはできなかった。中学の頃からレギュラーで試合に出場し続けていた磯部にとって、初めて経験した挫折だった。

リンクを使用できる時間が限られているため集中力高く練習に励む

その時に先輩から言われた言葉が今でも印象に残っている。

「今自分ができることは何だ?」

試合に出場することができない中で自分の役割を必死に探し続けた。「ホッケーのプレーでチームに貢献できないのだったら周りを見られるように、周りに声をかけられるようにするのが正解だと思った」練習中はベンチで、練習後はロッカールームで、先輩後輩問わず声をかけ続けた。“全てはチームのために”。その姿勢を皆が見ていてくれ全日本インカレで32回目の優勝が決まった直後の祝勝会で“主将” に任命された。今では自分自身のためになった怪我だったと、振り返られる。

ウエイトトレーニングでも決して手を抜かない

キーパーはたったひとつしかないポジションだ。得点を入れられるだけで流れはガラッと変わり、止めればチームが波にのる。責任感あるポジションで数々の戦いを勝ち抜いてきた。「主将として、キーパーとして、先頭に立つ選手が弱っちかったら後輩たちはついてきてくれないと思う」怪我をしたことでチームを思う気持ちはより強くなっていった。

集大成となる全日本インカレは磯部の地元である釧路市で開催される。成長した姿を見せるために。黄色と紫紺に彩られた伝統のユニフォームで最後の大舞台を笑顔で締めくくる。

※大学アスリート1日密着動画「THE STARS」にて、磯部選手を特集します。
 →過去の「THE STARS」はこちら。
磯部裕次郎(いそべ・ゆうじろう)
北海道釧路市出身。1997年6月24日生まれ。172センチ、72キロ。武修館高校を経て現在は明治大学政治経済学部4年。1925年に設立された明治大学スケート部は全日本インカレ57回の最多優勝を誇り、アイスホッケー部は通算32回優勝。チームの守護神として4連覇を目指す。