新たにサッカーのワールドカップと似たスタイルに変更された「デビスカップ」決勝ラウンド(スペイン・マドリード/11月18日~24日/室内ハードコート)だが、アレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)がボイコットを表明するなど、一部の選手やファンからはかなりの批判を浴びた。テニス界でも常に話題を巻き起こすことでも、知られるアンディ・マレー(イギリス)が「デビスカップ」の新フォーマットを擁護したと、英Independent紙が伝えている。

「デビスカップ」の新しいフォーマットは、独創的なアイデアを持つバルセロナ出身のサッカー選手ジェラール・ピケの発案から採用された。マドリードのラ・カハ・マヒカ(La Caja Magica)で始まった大会には、18チームが集結し、優勝をかけて1週間の短期決戦を行っている。

今までの「デビスカップ」は、ホーム&アウェイ方式で試合を行ってきたが、これをワールドカップのようなトーナメント形式に変更。この案には反対意見も多く、現選手、元選手、ファンからも批判され、物議を醸した。

ズべレフは早々にボイコットを発表し、「Nitto ATPファイナルズ」の場でも「あの新フォーマットはもはや“デビスカップ”ではない」と反対を表明。しかし、「デビスカップ」決勝ラウンド参加国の多くの中心選手達は、その案を支持する決断をした。その1人がマレーだ。彼は手術から復帰後の目標の1つとして「デビスカップ」出場を挙げた。

マレーはピケと何度か話をしていると言い、「彼はテニス界にとって新しいことを始めようとしている。僕はそのことに敬意を持っているよ」とコメント。さらに「失敗するのを期待している人達もいるだろう。でも僕は大成功を期待している。選手達もファンも、この試みにチャンスをあげるべきだと思う。トーナメントが終わったら、新しい形式の全体像が掴めると思うから」と続けた。

ピケと彼の会社コスモス・カンパニーは、今後25年間に約30億ドル(約3,254億円)の投資をすると約束しているので、リスクはかなり高い。大会前日にシベレス宮殿で行われた豪華な公式夕食会で、ピケは「これは夢の実現であり、僕は非常に満足している。コスモス・グループはこのイベントを開催するために素晴らしい仕事をしたと思っています」と語っている。

会場のカハ・マヒカは春に「ATP1000 マドリード」を開催する場所で、完全には室内ではないということもあり、寒い時期に大会を行うには不向きだ。そのため、室内練習コートとしていくつかバブル状テントが設営されたほか、臨時で各国チーム用ロッカールームも建てられた。

コスモス・カンパニーは、この大会を違う時期に開催できるように強く交渉しているが、それにはATPの協力が必要不可欠。ATP会長のクリス・カーモード氏は昨年春に「似たようなチーム戦を6週間以内に2回行うのはあり得ない」という見解を示したのだが、新たな国別対抗戦「ATPカップ」が来年1月にオーストラリアで初開催となり、「あり得ない」事態となってしまった。

長期的にはどちらか一方の大会しか残れないだろうという意見が一般的で、「デビスカップ」がフォーマットを変えても生き残れるかというプレッシャーがさらに高まる。心配材料はあるが、今のところマレーは「新しい大会はとてもいい。一つの会場に集まり、各国のチームカラーが並んでいるのを見るのは楽しいよ」と良い印象を抱いているようだ。

マレーは3年前に準決勝でアルゼンチンに負けて以来、「デビスカップ」には出場していない。3度グランドスラムを制したマレーだが、現在は世界ランキング126位。マレーは言う。「仲間と一緒にいられるだけで楽しいよ。股関節の手術の前にはもう二度とできないだろうと思ったことがたくさんあって、今ここにいることもその一つだった。数ヵ月前でもチャレンジャーの2回戦や3回戦で負けていたから、チームに入れるか自信が持てなかったんだ。だから嬉しいよ、このチャンスは自分でつかんだ気がしているし、良い一週間にしたい」

マレーは11月20日に行われた初戦で世界179位のタロン・グリークスプア(オランダ)を相手に、最終第3セットタイブレークと苦しみながらも勝利。イギリスはオランダに2-1で勝ち、今日21日のカザフスタン戦の結果で決勝トーナメント進出か否かが決まる。

※為替レートは11月21日現在

(テニスデイリー編集部)

※写真は「デビスカップ」でのアンデイ・マレー

(Photo by Oscar Gonzalez/NurPhoto via Getty Images)