「なんとしても連覇を」。そう意気込み臨んだ東都大学野球秋季1部リーグ戦。昨年度の豪華メンバーをもってしても成し遂げることのできなかった偉業に挑むも叶わず。昇格後ワーストの5位と悔しい結果に終わったシーズンを振り返り、選手たちは何を語るのか…

 「なんとしても連覇を」。そう意気込み臨んだ東都大学野球秋季1部リーグ戦。昨年度の豪華メンバーをもってしても成し遂げることのできなかった偉業に挑むも叶わず。昇格後ワーストの5位と悔しい結果に終わったシーズンを振り返り、選手たちは何を語るのか。15日間連続スポーツ東洋独占インタビューでお届けする。




 第4日目は持ち前の明るさでチームを盛り上げ、時には攻守で流れを呼び寄せる木村翔大内野手(総2=霞ヶ浦)。「負けたくない」という気持ちを胸に日々奮闘するこの男が今季を振り返る。(取材日・11月2日、聞き手=谷口遥菜)


ーーまず、今季を振り返っていかがでしたか

個人的にもチーム的にも悔しいシーズンだったのかなって思います。東都リーグはどこが優勝してもおかしくないと思ってました。第1カードの立正大戦で1敗はしたけどチームとしていい勝ち方もできましたし、いい流れでリーグ戦入れたので優勝争いに加われるという風には思っていたんですけど。中大と国学大の試合が山場だなと思っていたところで、駒大と亜大で勝ち点を落としてしまったのが痛かったですね。


ーーその中で自分に点数をつけるとしたら

半分もいかないぐらいですね、30点ぐらい。秋季リーグ前のオープン戦で全試合スタメンで使っていただいて、自分としてもフルイニング出場を目標としていたんですけど届かなくて。自分の中ではバッティングが調子良くて、リーグ戦もこの調子で乗っていけるかなって思ってました。でも実際は、第1カードの立正大戦で全然打てなかったので悔しいシーズンでした。監督と面談をして精神的にも受け入れられた部分もありましたし、そのあとの国学大戦でタイムリーを打つことができました。そこが秋唯一成長できた部分かなと思って、この点数をつけました。


ーー夏季オープン戦でフォームを改造していると言っていましたが 

はい、そのフォームが定まったつもりでリーグ戦に入ったんですけど…。リーグ戦が始まるまで1週間ぐらい間が空いて、その期間の練習の仕方がおかしかったのかわからないですけど、そこから調子を崩してしまった感じがありました。リーグ戦でもベンチを外された後、監督ともう一度違うバッティングフォームについて話をして。そのフォームが国学大戦ではハマってタイムリーが出たかなっていう感じでした。でも、今もそんなにこれといったフォームは定まってないです。清水さんとも話し合いながら、試行錯誤している状態ですね。


ーー守備では、内野の複数ポジションをこなしていますが本職というのは

サードかショート。高校でも半々でやってきていて、大学でも半々。セカンドをこんなに本格的にやったのは大学入ってから初めてです。高校1年の時、練習はしてたんですけど試合とかには出てなかったので。でもまずは、シーズン通して出られるポジションを自分の中で作るっていうことが目標です。


ーーやりやすさとしては

ショートのがやりやすいですね。バッターとの距離もありますし、視野が広がるっていうか一点集中しないでぼんやり全体が見える方が自分には合ってるかなって思います。


ーー遊撃手というポジションでは、小川選手(法3=霞ヶ浦)と半分ずつぐらいの出場になりました

同じ高校でもあるし結構良くしてもらっているので気を使う部分もあるんですけど…(笑)。まあそこは勝負の世界なので割り切ってる部分っもありますね。小川さんとはポジションが被っているので、やっぱり負けたくないなって思います。良い意味でバッティングでも守備でも意識する存在です。


ーー遊撃手で出場のとき、特に意識していることはありますか

野球って難しいスポーツじゃないですか。そういうところを高校で教え込まれた部分があったので、考えるっていうことに関しては意識はしていないですね。高校の経験がそのまま生きているかなっていう感じです。


ーー高校でしっかり教え込まれたという感じですね

そうですね。野球に対する考え方っていうのは他の高校の人たちよりは教え込まれたと思います。でも練習っていう部分では、ひたすら基礎練習の繰り返しをやってました。


ーーベンチにいるときも声でチームを盛り上げている印象があるのですが

自分は一塁側でも三塁側でもベンチの中で、端っこにいるじゃないですか。それはショートの守備と同じで、視野を広く見たくて。色んなところを見れるのでいつも隅っこにいますね。周りを見れているから、声が出せるのかなって思います。でも意識的にというか楽しんでやってます(笑)


ーー今季、投打のMVPを挙げるなら

実力は村上さん(総3=智弁学園)が1番なのは間違いないんですけど、村上さんをMVPにしてあげられなかったのは、自分たち野手の責任なので。そういう点をふまえたら河北(営1=浦和学院)ですかね。今季途中から先発として入って、あまり勝ちはつけてあげられなかったんですけど。強気で堂々としたピッチングを見せていたところが、河北の中で来年につながるシーズンだったのかなと思います。

打のMVPは諏訪さん(総3=浦和学院)です。チャンスメイクもしてくれたり、チャンスで打ってくれたりしたところが勝負強いというか。諏訪さんが突破口になって点数が入ることが多かったと思います。来年は小峰さん(営4=帝京)だったり佐藤さん(法4=聖光学院)だったり打の中心だった選手が多く抜けると思うので、最上級生として本当に頼りになると思います。


ーー打のMVPに選んでいた諏訪選手は、新チームでは副主将という立場を担いますが

自分たちの一個上の先輩たちは高校の時にキャプテンをしていた選手が多いので、良い意味で誰をキャプテンにするか迷ったと思います。山崎さん(営3=愛工大名電)であったり山本さん(法3=作新学院)であったり諏訪さんであったり。チームを引っ張っていける選手が多いので、そういう面では頼れる先輩たちだなと思います。  


ーー4年生が引退しましたが、今までのチームはどんなチームでしたか

4年生の力が本当に大きいチームだったと思います。自分たち下級生にやりやすい環境を作ってくれたり、尊敬してましたね。4年生はプレーで引っ張ってくれる選手もいましたし、言葉で引っ張ってくれる選手もいました。色々経験してきたことを言葉で伝えてきてくれたので、抜けた穴が大きいなって感じました。


ーー新チーム今の雰囲気は

まだ慣れてないっていう感じがします。どういう声を出したらいいかなとかも分からないですし。これまで3年生がチームを盛り上げてくれていたんですけど、最上級生になって引っ張っていかなきゃという思いがあって声を出しづらい部分もあるんじゃないかなと。だか、自分たちもやらなきゃいけないなって。


ーー今度は2年生が今度は盛り立てる番ですね

1番メンバーの少ない学年で、リーグ戦に入っているのも最大で3人でしたし。自分たちの代になったときのためにも、もっと頑張らなきゃいけないなって思います。今の現状ではまた自分たちの一個上の先輩たちが抜けたあとに、自分たちが苦になると思うので。


ーー同じ2年生で期待している選手を教えてください

牧(法2=帝京三)ですかね。中大戦でもショートで出場したり、守備から入っていくタイプなので、多少自分と被る部分もありますね。でも監督からはバッティングを買われていて、練習やオープン戦は結果が出る選手だと思うんですけど。まだ神宮慣れしてない部分もあるのか、これから試合にたくさん出れば結果が出てくるんじゃないかと思ってます。自分たちの代では自分が引っ張らなきゃっていう思いもあるんですけど、牧と一緒に引っ張っていけるような2年生の代にして行けたらと思いますね。


ーー同じポジションとしてはライバルになる面も

自分は新チームになってからサードやっているので。ショートやりたい思いがあるので意識する部分もありますし、でもお互い意見交換し合っているので良いライバルとして出来ているかなと思います。


ーー来季、期待している選手は

羽田野(法1=汎愛)ですかね。村上さんが絶対的エースとしていて、秋から河北が先発として良い投球を見せてくれたんですけど。山下さん(営4=東邦)であったり野木さん(営4=九州国際大付)であったりチームを引っ張っていってくれたピッチャーが抜けるので、その穴を埋める人が必要となってくる。その中では羽田野が堂々と投げていたと思うし、ポテンシャルも高いと思うので期待しています。


ーー冬の間の強化ポイントは

守備が上手い選手っていうのは足が速いイメージがあるんですけど、自分はそんなことはないので。盗塁ができるような選手になりたいと思います。個人練習でショートダッシュを多く取り入れたり、足を速くするような意識をした練習をしてます。あとはバッティングですね。バッティングで外せないっていう選手になればシーズン通して出られると思うので、打撃と走塁をこの冬意識して取り組みたいと思っています。


ーーでは、最後に理想の選手像を教えてください

プレーというより存在感がある選手に。例えばチームが落ち込んでいるときに、守備でも打撃でも何か1つのプレーでチームを元気付けられるような選手っていうのを目標としてますね。自分は口数が多いタイプではないので、そういうプレーでチームを盛り立てたいです。


◇プロフィール◇

木村翔大(きむら・しょうた)

生年月日/1999・4・16

身長・体重/178㌢・76㌔

チャームポイント/八重歯

好きな食べ物/お寿司。3年生の先輩と競争した時は30皿ぐらい食べました。これでも少ない方です(笑)

好きな色/青、白、黄色。完全に出身である霞ヶ浦高校の影響ですね。

最後の晩餐に食べたいもの/甘いもの!生クリーム系をひたすら食べたい。チョコケーキよりショートケーキ派。

無人島に1つだけ持っていくなら/ゆっくりしたいので、まくら。無人島でも快適な睡眠を求めにいきます。低反発じゃないと嫌。

無人島に一緒に行くなら/瀬川(総2=聖光学院)。面白いし、色んなアイディアを持ってそうだから。ここに食べられる生き物いるよっていうのも教えてくれそう。

長期オフで行きたい場所は/インドアだけど海外に行ってみたい。フランスとか。とりあえず本場のフランスパンを食べます。


~連続インタビュー一覧~

第1日目:杉本泰彦監督〜「主役は選手たち」日本一の野球部に〜


第2日目:小峰聡志外野手「やり残したことはない」〜副将が振り返る大学野球〜


第3日目:7季連続無失策だった男。最高の守備職人が語る未来 津田翔希内野手


11月20日松本渉外野手


11月21日山下雅善投手


11月22日小林直輝内野手


11月23日河北将太投手


11月24日小川翔平内野手


11月25日村上頌樹投手


11月26日納大地外野手


11月27日松澤海渡投手


11月28日諏訪賢吉内野手


11月29日山崎基輝新主将


11月30日佐藤都志也捕手