国内ジュニア最高峰の舞台である全日本ジュニア選手権。大会2日目のこの日はアイスダンスのフリーダンス(FD)が行われた。高浪歩未(国教1=ケイ・インターナショナルスクール東京)・池田喜充(日大)組は76.28点を記録。前日に行われたリズムダンス(RD)との総合で130.21点と自己ベスト(PB)を更新した。優勝こそ逃したものの、「あゆみつ」の2人は持ち味を存分に生かしたプログラムで会場中を魅了した。


愛情を表現した高浪・池田組のFD後半

 大勢のフィギュアファンで埋め尽くされた新横浜スケートセンター。ファンからの温かな声援に送り出されるかのようにリンクへ登場した。鮮やかな紫の衣装を身にまとった2人は互いに向き合うポーズから演技をスタート。力強い音楽のビートを刻みながら、ダイナミックに滑り出した。冒頭のツイズルは最高評価のレベル4を獲得。続くステップでは音にピタリと合わせて両腕を大きく広げたポーズを決めると、場内からは自然と拍手が沸き起こった。
 演技中盤になると曲調は一転。今度は柔らかな音楽に乗せ、「愛」を表現した。ステップではお互いに視線を交わし合いながら感情豊かな滑りを見せた。「ユニゾンで今シーズン強化してきたことが出せた(高浪)」。試合後には納得の表情を浮かべた。演技終盤に組み込んだローテーショナルリフトで観客の心をつかむと、会場を優しい世界観で包み込んだままフィニッシュを迎えた。「アイスダンスが大好き」。そんな思いが伝わるプログラムだった。

 吉田唄菜(通信・N高)・西山真瑚(東京・目黒日大)組には及ばず第2位となったが、総合点ではPBを更新。昨年の同大会よりも10点以上高い得点を記録し、成長を見せた。しかし、2人は試合後に今後の課題を口にした。「ミスや取りこぼしがあった(高浪)」、「まだまだ見直すところがいっぱいあった(池田)」。シニアを見据える二人にとっては「これからがスタート(高浪)」である。さらなる高みを目指して挑戦を続ける2人から目が離せない。

(記事 望月清香、写真 中島美穂)

結果

▽アイスダンス


高浪歩未・池田喜充組 2位 130.21点(FD 76.28点)


コメント

高浪歩未(国教1=ケイ・インターナショナルスクール東京)、池田喜充(日大)※囲み取材から抜粋

――今大会に向けてどのようなことを意識して練習しましたか

高浪 都民(体育)大会からの1週間は、1週間と限られているので、ユニゾンや二人の間の距離というのを重視してやっていました。

池田 細かいところやステップでカーブをしっかり踏まないといけないことを重視してやってきて、それは少し見えたかなと思うので、良かったです。

――お2人にとって全日本ジュニア選手権はどのような舞台ですか

高浪 全日本ジュニアは国内の試合なのでたくさんの日本のお客さんがいて、アットホームな感じの試合で、自分はそれが1つの楽しみです。国際試合とはまた違う楽しさがある感じです。

池田 自分たちはジュニアはこれが最後なので少し寂しさはあったかなと思います。やはり、僕たちの中ではシニアを本番としたいと思っているので、アットホームな試合になったかなと思います。

――前回チャンピオンとしてのプレッシャーなどはありましたか

高浪 自分の中では2人にしかできない演技を出すというのが目標で大切にしていることなので、もちろん優勝したいというのはあるのですが、優勝は自分たちの実力を出したときに付いてくる結果やご褒美かなっていうのがあります。まず、大事にしているのは2人で納得のいく演技をするということです。

池田 1位になれたらうれしいですし、今回なれなくて悔しいというのはあるのですが、2人の中では点数が去年より上がっているというのが実感できたので、順位のプレッシャーなどはなく楽しくできたかなと思います。

――きょうの演技内容を振り返っていかがですか

高浪 2人で一緒に滑るユニゾンなど今シーズン強化してきた部分が出せたのが納得している部分です。ツイズルでぐらついたり、ターンが正確ではなかったりといったミスや取りこぼしがあったので、そういうところを強化しないとシニアの選手とは戦えないと思います。そこをもっとやらないとなというのが分かりました。

池田 ツイズルでユニゾンが合わなかったのが今後の課題かなと思いました。百発百中でできるようにしていけたらなと思います。いつもより流れがなかったのかなというのが自分の中で少し悔いが残ります。この1週間頑張って注意したことはできましたがまだまだ見直すところがいっぱいあったので、それが見つかって良かったなと思います。

――ツイズルはレベル4評価でしたが

池田 GOEをジャッジの方からもらいたいので、そのためには2人が合っていないといけない。レベルが取れて、(2人が)合っているのがベストなのでそこが少し悔しいなというのがあります。

高浪 今のアイスダンスはレベルが取れて当たり前の世界になってきているので、やはり上を目指すには出来栄え点でプラス5を取るイメージでいかないと世界では戦えないのかなと思いました。

――前半と後半で曲調がガラッと変わるのが特徴的なプログラムですが、どんなことを意識して演じていますか

高浪 1つ目の曲は「強さ」なので、2人でパンチをするような動きを入れてけんかをしているイメージで振り付けをしています。2曲目はしなやかさを意識して腕の動きを滑らかにするようにして、2人のパートナーシップを表現しています。

池田 前半は悲しかったり怒っていたりという暗い表現ができればと思い演じていて、後半は明るい曲で「愛」を表現しています。

――お2人はクラウドファンディングをしていますが、支援をしてくださっている方にどのようにして感謝の意を返していくつもりでいますか

池田 クラウドファンディングをしてくださった方にはすごく感謝していて、今回、僕たちが3年間頑張ってきた中で一番いいトレーニング環境がもらえたなというのを実感しています。今回の試合ではまだまだ返せていないのかなというのが心残りだったので、もっと頑張って皆さんにしっかり返していきたいです。

――お2人は大学生ですが、今後どのようにしてアイスダンスと向き合おうと考えていますか

池田 正直、僕の中ではシニアが本番という感じです。大学より(アイスダンスが)楽しいのでまだまだこっちで頑張っていきたいと思っています。

高浪 スケートもそうなのですが特にアイスダンスが自分は大好きで、2人で滑る楽しさが自分の中で人生の1つになっています。シニアが本番だと思っていて、シニアで戦えて世界で認められるアイスダンサーだと思うので、これからがスタートで始まりかなと思っています。

――吉田唄菜・西山真瑚組というライバルの出現についてはどうお考えですか

池田 真瑚くん(西山)も唄ちゃん(吉田)もすごく上手いですし、真瑚くんは滑りはすごくお手本になるなといつも思います。2人に負けないように頑張りたいなと思います。

高浪 それぞれ海外の拠点で活動しているのですが、こういった試合の前に一緒に練習するといい刺激になります。一緒に滑っているだけで、「負けないぞ」という気持ちが出てくるし、こういうところは見習いたいというのも見つかるのですごくいいペアなので、好きというか良かったと思っています。