JR東日本カップ2019 第93回関東大学リーグ戦 第21節早大10-01-00明大【得点】(早大)65’加藤拓己 関東大学リーグ(リーグ戦)第21節、3連敗中と苦しい状況に身を置く早大は、圧倒的な強さでリーグ戦を制し、連盟の最…

JR東日本カップ2019 第93回関東大学リーグ戦 第21節
早大0-0
1-0
明大
【得点】
(早大)65’加藤拓己

 関東大学リーグ(リーグ戦)第21節、3連敗中と苦しい状況に身を置く早大は、圧倒的な強さでリーグ戦を制し、連盟の最多勝ち点記録を更新中の明大と激突。個の能力が高い明大を相手に守勢を強いられる時間が続いたが、65分、カウンターからFW加藤拓己(スポ2=山梨学院)が桐蔭横浜大戦(第16節、●1−2)以来となるゴールを挙げ先制する。その後も分厚い明大の攻撃に晒されたが、11人全員で体を張り、無失点に抑えて試合終了。今季リーグ戦初の完封勝利を収め、『歴史的残留』へ向け非常に大きな意味を持つ勝ち点3を奪取した。


サイドを駆け上がりクロスをあげる神山

 「守備に回る時間が長くなるのは分かっていた」(DF大桃海斗主将、スポ4=新潟・帝京長岡)。リーグ戦20試合で18もの白星を荒稼ぎした明大は、両ウイングバックが高い位置を取る3−5−2のシステムを採用。中盤のMF瀬古樹(4年)とMF住永翔(3年)がバランスを取りながらチーム全体で前進し、前線へ多くの人数をかけながら早大ゴールへ迫る。対する早大は「相手の3バックに対してMF神山皓亮(商4=栃木・真岡)とMF倉持快(人2=神奈川・桐光学園)でプレッシャーをかける」(蓮川雄大チームマネジャー、スポ4=FC東京U18)ことで対応。3バックの両脇に前線から果敢にプレッシャーをかけ、明大の攻撃の1歩目を遅らせた。中盤の攻防でもMF金田拓海副将(社4=ヴィッセル神戸U18)を中心に気迫あふれるプレーを披露し、ボールに対する寄せの速さや球際の強度で優位に立つ。中間ポジションに陣取るFW佐藤凌我(3年)を捕まえ切れずにサイドへの展開を許す場面も散見されたが、相手のクロス精度不足にも助けられ、ピンチらしいピンチは訪れなかった。
 一方ボールを保持した際には積極的にサイドへボールを配給し、神山と倉持のスピードを生かした縦への突破に活路を見出す。しかしDF常本佳吾(3年)を中心とする明大の3バックによる強力な対人守備に再三苦しめられ、チャンスメイクまでには至らず。互いに決定機を迎えることなく、前半の45分を終えた。


得点シーン以外にも多くのチャンスを作り出した加藤

 左サイドのMF坂本亘基(3年)が内寄りのポジションを取るようになるなど細かい変化こそ見られたものの、後半に入っても明大は陣形を崩さずに『現状維持』を選択。「フォーメーションをあまり変えてこなかったので、スムーズに後半へ入ることができた」(大桃)。明大が前半と同様の戦い方を選択したことは、相手の戦術変更への対応に苦労し続けてきた早大にとって追い風となった。相手FWにボックス付近へ侵入され、シュートまで持ち込まれる場面も徐々に増えたが、GK上川琢(スポ2=湘南ベルマーレユース)の落ち着いたボール処理や守備陣による体を張った対応で耐え続けた。そしてスコアが動かないまま迎えた64分からの1分間、試合展開は風雲急を告げる。
 先に決定機を迎えたのは明大。ゴールキックを中盤で回収し、左サイドの坂本へつなげると、目線を変えるパスで逆サイドへ展開。その流れでクロスを上げられ、ボックス内で待ち受けていたFW佐藤亮(4年)にシュートを打たれたが、上川が左手一本で好セーブ。その後の攻撃も防ぎ切って難を逃れると、手薄になった明大ゴール前に向けて早大がカウンターを仕掛ける。セカンドボールをMF鍬先祐弥(スポ3=東福岡)が素早く回収し、左サイドの神山へ。前半に再三見せたスピード突破が結果的に布石となり、縦への突破を警戒したDF小野寺健也(4年)は間合いを詰めずにディレイ気味の対応を選択した。その結果余裕を持ってボールを前進させた神山は、ペナルティエリアの角付近から右足でインスイング気味にクロスを供給。ファーサイドから飛び込んできた加藤が放った渾身のヘディングシュートは、GK早川友基(3年)の手を弾き、ゴール右上へ突き刺さった。
 早大が先制した直後、明大は2枚替えを敢行。高さのある選手をピッチ上に増やし、容赦のない猛攻を浴びせる。しかし、途中からピッチに立ったMF藤沢和也(商4=東京・早実)、FW梁賢柱(スポ3=東京朝鮮)、FW鈴木郁也(社3=FC東京U18)を含めた全員が集中を切らすことなくハードワークを続け、1点のリードを死守。死闘の終わりを告げる笛が吹かれた瞬間、エンジイレブンは高々と天に拳を突き上げた。

 勝ち点3差で後ろにつける東洋大も勝利を収めたことで、今節での残留決定はならなかったが、明大戦の翌日に行われた試合では流通経大が順大に0−1で敗北した。この結果、流通経大の2部リーグ降格が確定。早大は最終節、引き分け以上で自力での1部残留が確定する状況となった。土俵際まで追い込まれた前節から一転、有利な立場に身を置くこととなったが、『大学サッカーは何が起きるか最後までわからない』ということは、この試合で身をもって示したばかりだ。「この結果に浮かれることなく、地に足つけてやるべきことをしっかりできるかが重要になってくる」(外池大亮監督、平9社卒=東京・早実)。3年ぶりのリーグ戦優勝を果たした昨季から一転、厳しい戦いが続いた『外池早稲田』のセカンドシーズンも、最終節・専大戦を残すのみ。ここまできたら思いは一つだ。慣れ親しんだ東伏見で『歴史的残留』を果たし、有終の美を——。1週間後、エンジイレブンはホームグラウンドで、今季最後の90分に挑む。


スターティングイレブン

 

(記事 森迫雄介 写真 手代木慶、永池隼人、大山遼佳)


★明大撃破に一役買った、もう一つの『クラシコ』

 「あの試合がチームに大きな勢いをもたらした」。決勝点を挙げた加藤をはじめ、選手たちが口を揃えてその存在の大きさを語った試合がある。明大戦の3日前、早大東伏見サッカー場にて開催された『4年生早慶戦』だ。練習試合とはいえ、4年生にとっては人生最後の早慶戦。「練習試合や下部カテゴリー含めて久しぶりの勝利だったから、チームの士気も高まった」(蓮川)。4年生早慶戦でピッチに立った選手たちにはもちろん、ピッチの外で戦況を見つめていた下級生たちにも好影響を与えた。「世間からしたらただの練習試合、引退試合かもしれないけれど、きょうの試合にどういう姿勢で挑まなければいけないのかということを、僕たち下級生に示してくれた」(加藤)。「あの試合で4年生が先頭に立って気持ちを全面に出してくれたことが、きょうの結果につながった」(蓮川)。そして迎えた明大戦。90分間ゲームプラン通りに試合を運べたわけではない。長い時間ボールを支配され、これまでの試合なら逆転されてもおかしくない状況にも追い込まれた。ただ、この日の早大は違った。11人全員が足を止めることなく、球際の争いやゴール前の攻防で気迫を全面に押し出したプレーを体現。ハードワークを信条とする明大をも凌駕する姿勢を、4年生を中心に表現し続けた。結果、関東王者を相手に勝ち点3を奪取。シーズン最終盤にしてようやく、『泥臭い早稲田』が帰ってきた。

(記事 森迫雄介)


早大メンバー
ポジション背番号名前学部学年前所属
GK31上川 琢スポ2湘南ベルマーレユース
DF牧野 潤スポ4JFAアカデミー福島
DF◎3大桃 海斗スポ4新潟・帝京長岡
DF杉山 耕二スポ3三菱養和SCユース
DF阿部 隼人社3横浜F・マリノスユース
MF鍬先 祐弥スポ3東福岡
→90分24鈴木 郁也社3FC東京U18
MF10金田 拓海社4ヴィッセル神戸U18
MF25倉持 快スポ2神奈川・桐蔭学園
→76分35梁 賢柱スポ3東京朝鮮
MF栗島 健太スポ4千葉・流通経大柏
MF11神山 皓亮商4栃木・真岡
→76分14藤沢 和也商4東京・早実
FW加藤 拓巳スポ2山梨学院
◎=キャプテン
監督:外池大亮(平9社卒=東京・早実)
関東大学リーグ戦1部 順位表
順位大学名勝点試合数得点失点得失差
明大5521184612+34
桐蔭横浜大4121123622+14
立正大3621113922+17
法大32212821+7
筑波大31213226+6
順天堂大31212326-3
中大30212628-2
駒大2421111937-18
専大2321123752-15
10早大2121122336 -13
11東洋大1821131931-12
12流通経大1721142035-15
※第21節終了時点
コメント

外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)

――明大戦へ向け、どういう準備をしてきましたか

やるべきことやっていく中でもなかなか結果が出なくて。あと何が必要なのかという時にもう1回正直に自分たちのやっていることを見直し、僕自身も自分がやれていたこととやっていなかったことを見つけ出して、それをみんなに共有するというところからスタートしました。4年生早慶戦では本当に4年生が覚悟と思いのあるプレーをしてくれましたし、慶応の存在のおかげで1週間が過ごせました。 それがそのまま今日の結果に結びついたのかなと思います 。

――ピッチ上からの気迫は今まで以上に伝わってきました、それは4年生早慶戦があったからこそですか

そうですね、大学サッカーは4年生によるところが大きいと思うので、まさに集大成としてこの状況(残留争い)も含めてどう捉えるかという中で、「我々にはまだ時間があるよね」という認識を得て、ある意味吹っ切れたというか一つ乗り越えたなと。それをみんなで共有できたのがよかったのだと思います 。

――どのような明大対策を講じましたか

明大は間違いなくリスペクトするべき相手ですし、 どこにも隙がないという状況で。ただ、自分たちができるプレッシャーの掛け方で常にプレッシャーをかかけ続けて、後ろが同数になったとしても前からはめに行き、そこからショートカウンターやロングカウンターをどれだけ出せるかというところでした。後方のリスクをあまり取らずに攻撃的にいけたのは良かったと思います。

――サイドにカウンターの起点を置いていたと思うのですが、相手3バックの対人守備に苦しむ場面が多かったように思います

明治大学は『球際』『切り替え』『運動量』という三原則を掲げているほどなので一対一の強さは全員にあるものというのは分かっていました。ただそれ(神山と倉持の仕掛け)が必ずボディブローのように効いてくると思っていたので、一喜一憂せずに続けていくことが重要な試合の進め方でした。そこは神山も倉持も、頑張ってくれていました。

――得点の場面はめまぐるしく展開が変わりましたが、一連の流れを振り返って

耐えられるときに耐えたということと、上川だけでなく大桃を中心に、精神的な強さを感じる内容でしたし、そういうパフォーマンスだったと思います。セットプレーも含めて0に抑えたというのは、試合を通じてよかったと思っています。

――いよいよ最終節です。どのような1週間を過ごしたいですか

この関東大学リーグ1部に残留したいと思っている各大学さんがいて、その中に我々もいる。そういう思いに対して、今日の試合に浮かれることなく、いかに自分たちのやるべきこと、やってきたことをしっかりできるかというところが間違いなく重要になってきます。その取り組みこそが今年一年の自分たちの姿になっていくと思うので。自分たちで自分たちに問いただしていく1週間をもう一度やってきたいと思います。

DF大桃海斗主将(スポ4=新潟・帝京長岡)

――久しぶりの勝利でした

残留に向けて本当に勝つしかないという思いでチーム全員で臨んだ試合でした。この一週間の間に4年生の早慶戦があったりチームとしても熱を入れることができたからこそ生まれた勝利だったと思います。自分は早稲田らしさというか、熱量を持って気持ちを全面に出すことを意識していました。シーズン当初から毎試合やらなければいけないところを、ようやくきょう無失点で終えることができました。今までの取り組みが間違っていなかったということを証明してくれていると思います。これを次にどうつなげていくかというのが一番大事ですね。

――ゲームプラン通りの試合運びだったのでしょうか

明治さんは一人一人の能力が高いので、ある程度守備の時間帯が長くなるのは分かっている中で加藤を起点にすることを話し合っていました。あいつも90分通してプレーで表現できていたので得点につながったのだと思っています。苦しい時間も多くありましたけど、加藤だったりサイドの倉持と神山のところの突破力があったからなんとか我慢できましたね。ゲームプラン通りに90分間試合を運べたかと言えばそうではないですけれど、苦しい時に自分たちに何ができるのかが大事になってくるのでそれを表現できていたのはよかったです。

――守備面ではうまく相手を抑えていました

中盤は特にすごく走っていましたし、11人全員が走ってハードワークできていました。明治さんもハードワークしてくるチームなので、それにまずは負けないということは個人個人が強く意識していました。苦しい中でこそ走り切ったからの勝利だったと思います。

――攻撃はいかがでしたか

今週は、前線の選手を中心に自主練でシュート練習に取り組んでいました。結果それで得点にもつながっているので狙い通りできていたと思います。

――HTの雰囲気はいかがでしたか

相手のフォーメーション変更に対応できないことが今までも多くあったので、もう一度気持ちを入れ直して失点をしないで自分たちのやるべきことを確認しました。明治さんは大きくフォーメーションを変えなかったので、迷いもなくスムーズに後半も入ることができました。

――残留に向けて大きな勝利でした

きょう勝ったのは本当に良かったのですが、次も勝たないと意味がないので。下位のチームも勝ってどこのチームにも残留のチャンスがあるという状況なので、浮かれずに次に向けてどれだけ謙虚に戦えるかというのが大事になってくると思います。東伏見でやる試合ですし、出ている選手だけではなくて早稲田のア式として全員が意識して取り組みます。良い意味でリセットして来週も絶対に勝ちます。

MF金田拓海副将(社4=ヴィッセル神戸U18)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

苦しい時間が続くことはわかっていた中で今週大事にしてきたことは、自分たちが迷いなく自信をもって戦うことと、相手の球際、運動量、切り替えを大事にしている中でそこで負けては試合にならないというところで、気持ちの部分も含めて意識して挑みました。その中で試合を振り返ってみても、そういう気持ちの部分で相手に勝っていたから、球際、運動量、切り替えの部分でも負けなかったと思うし、そこが勝利につながったと思います。

――きょうの試合で狙っていたところは

サイドで仕掛けて、自分含めて中に入っていくところで、クロスの入れる場所もしっかり練習してやったことがゴールにつながったと思います。

――球際のお話がありましたが、きょうの守備面を総括していかがですか

相手が非常にうまくて、自分が崩されたわけじゃない中でも、一つ剥がされた後にもう一回誰かがプレスに行くとか、一人ひとりがカバーするとか当たり前なところを徹底できたところが無失点につながったと思います。

――サイドを起点に攻撃を組み立てた中で、前半は相手のディフェンダーに対人負けしてしまっていました

自分たちはもうそこを強みにしようとやっていたので、何度止められても強みにしようと思っていました。後は得点のシーンを見ればわかるのですが、サイドの選手にも「抜き切らないで(クロスを)上げていいよ」ということもハーフタイムで伝えていて、カットインして(クロスを)上げて、ああいうゴールにつながって改善も見られたので、そこは良かったと思います。

――ハーフタイムの雰囲気はいかがでしたか

もう全然やれているという感じでしたが、そのままじゃ勝てないというのもあったので、もう一個ギアを上げようという感じでした。

――後半は特に気持ちが全面に出ていたと思いますが、総括していかがですか

ある程度前半で相手の感じがわかったところもありますし、割り切るところは割り切れたことが良かったと思います。ピンチはありましたが、全員で体を張れるところは張るとか練習でやってきたことをできて良かったと思います。

――金田選手自身もハードワークが目立ちましたが、自身のプレーをどう評価していますか

きょう前半始まって自分のボールタッチの部分がうまくいかなくて、ちょっとそういう部分でダメだなと思っていたので、ハードワークとか守備の部分を徹底してやろうかなと頭にありました。そういう部分では、最後まで走り切れたことは評価できると思います。

――先日の4年早慶戦で何か変化はありましたか

自分たち最上級生がああいう姿を見せられたということと、慶應というライバルで自分たちが絶対負けてはいけない相手に勝てて4年生がああいう姿を示せたことは、下級生にとっても何かしらの刺激にはなったと思いますし、チーム一体となってこの明治戦に向かおうという気持ちに全員がなっていたので、あの4年早慶戦もこの試合に向けて大きかったと思います。

――泣いても笑っても次週が最終節です

もう本当に一週間の取り組みが全てだと思います。本当にあと一週間で終わるので、やるべきことを全部やるだけだと思いますし、迷いなく自信を持って臨むことが一番だと思うので、4年生としては下級生が出ている中で、そういう選手に自信を持たせるような取り組みをしていければなと思います。

蓮川雄大チームマネジャー(スポ4=FC東京U18)

――明大相手にどのような準備をしてきましたか

先週の法大戦では、内容はここ数週間の試合と比べて、相手を上回れた部分もあったというのをベースに、失点時の隙や一瞬生じる緩さを、どう詰めていくかというのを1週間首脳陣と話し合って、今日の試合に臨みました。

――ピッチ上から気迫が伝わる試合でしたが、きっかけなどはあったのでしょうか

今週の水曜日に4年生早慶戦がありまして。練習試合や下部カテゴリー含めて久しぶりの勝利となったので、チームの士気も高まりましたし、4年生が先頭に立って気持ちを前面に出してくれたことが、この結果に少なからず影響を与えたのかなと思います。

――相手の攻撃に対して、どこを起点に守ろうとしていましたか

明大は3バックの完成度が高く、隙がないという印象でした。なかでも3バックの両脇の選手がボールを持った時に、普段なら4ー2ー3ー1か4ー1ー4ー1でリトリートをメインにおこなっていたのですが、今週は4ー3ー3で、より明確に倉持と神山で相手の3バックに対してプレッシャーをかけることをこの1週間通してトレーニングを積んできました。守備から入るというのは今週の大きなテーマだったので、倉持も神山はもちろん、途中から入った梁と藤沢もしっかり向き合ってくれたので、そこは非常に評価できる点だと思います。

――カウンターを仕掛ける際には、相手3バックの対人守備に苦しむ場面が多かったように思います

そこは相手の対面する選手に打ち勝てるかどうかということだけでした。倉持と神山も早稲田の中では違いを出せる選手ですし、明大相手にどれだけチャレンジできるかを楽しみにしていました。実際前半はなかなかそこで糸口をつかめなかったということは本人たちも感じているところと思いますので、じゃあ今後どうやって明大相手にも上回っていくかを考えるのは、彼らの成長につながるはずだと、見ていて思いました。

――得点シーンの直前は失点の危機に瀕していましたが、しのぎ切りました

上川は本当に安定していて、守護神としてゴールを守ってくれていますし、一つピンチをしのいでくれましたし、加藤は今週クロスからのシュートを練習してきました。そこは外池さんがずっとFWに求めていたことですし、神山のカットインからのクロスで加藤が決めてくれたのは練習の賜物だと思います。

――良い流れをつかみ、最終節を迎えることになります。最後の1週間どのように過ごしたいですか

1試合1試合を大事に戦っていくしかないというのは今週ずっと言い続けてきたことなので。もちろんこの勝利で勢いに乗ることは大事ですが、しっかり地に足つけて自分たちの状況に浮かれずに目の前のトレーニングに励んでいって初めて残留が果たせると思うので、1日1日のトレーニングを大切にしていきたいです。

MF栗島健太(社4=千葉・流通経大柏)

――この1週間どのような準備を重ねてきましたか

相手が強いことは全員知っていましたが、自分たちも自信を持って1週間積み上げて、結果として1−0で終われたのは大きかったと思います。

――試合の内容を振り返って

相手にボールを握られることは致し方ないので、その中で最後守るところ、攻撃陣でいえば走ってサイドの高い位置を取る、クロスで終わるということはよくできていたと思います。

――水曜日に行われたという4年生早慶戦が大きなきっかけとなったのでしょうか

そうですね、4年生早慶戦で改めて4年生の迫力や持っている力を自分たちも再確認できました。それを関東大学リーグにつなげられたのはよかったですね。

――きょうは創造力溢れるプレーも見られ、楽しげにサッカーをしていた印象です

本当に良い相手と対戦できたし、その中で自分のプレーもできたので、すごく楽しかったですね。ただめちゃくちゃ走らされたので、すごくキツい試合でもありました(笑)。

――次戦はいよいよ最終節、ア式で過ごす最後の1週間となります

あと1週間しか、自分のサッカー人生もないかもしれないので、まずは悔いのないようにやりつつ、サッカーを楽しむという自分のスタイルを貫きながら、1週間過ごしたいと思います。

MF神山皓亮(商4=栃木・真岡)

――久しぶりの勝利でした

残留に向けて絶対に負けられない試合だったので、皆気持ちも入っていました。攻撃は今週ずっとクロスを中心にやっていたので、自分のところからクロスを入れてアシストできたのは良かったです。あとは全員で守り切ることができました。集中応援ということもあって、メンバーだけではなくて応援してくださる人たちも多くいて一体感があったので、それが勝てた要因の一つでもあると思います。

――前節との間に4年生早慶戦もありました

水曜日にあったのですが、あそこで良い雰囲気でできたのでさらに気持ちを高められたと実感しています。

――アシストを振り返っていかがでしたか

正直、アシスト以外は何もできていなかったので、アシストできてよかったです(笑)。練習でもアーリークロスだったらファーを狙え、と言われていたので練習通りできてよかったです。

――HTの雰囲気はいかがでしたか

良い雰囲気で絶対に勝つという気持ちだけは相手に負けない、と話しました。きょうの試合は本当に気持ちで勝ちましたね。

――後半は厳しい時間帯もありました

体を張って守ってくれました。最後は体の大きい選手が交代で多く入ってきましたが、それでもしっかり耐えて勝つことができました。

――来週はホーム東伏見で最終節です

きょう勝っても残留が決まったわけではないので、来週の試合も大事になってきます。そこで勝つために良い準備をまたしていきたいです。

MF鍬先祐弥(スポ3=東福岡)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

相手は明治さんで優勝が決まっている中で、自分たちも残留争いに向けて大事な一戦というか、後がない状況だったので、この明治戦に向けて練習の中からチーム全員で勝ち点3を取りに行く姿勢を持っていて、それをきょう出ていたメンバー全員がピッチで表現できたことは非常に良かったと思います。

――きょうのゲームプランは

ゲームプランとしては、サイドに起点をつくることで。自分は4-1-4-1のアンカーに入ったので、相手に真ん中で自由にやらせないことと、潰し切ることを意識しました。相手の中村健人選手(4年)も中盤で受けて起点をつくるのがうまいので、そこは自分のところで仕事をさせないように臨みました。

――前半を0-0で折り返しました

最近の試合ではずっと前半は失点を0に抑えることを目標としていて、そこで0に抑えられたことはピンチもありましたが、全体で粘り強く守れた証拠かなと思います。

――先制の場面では鍬先選手が起点となりました。サイド攻撃の軸をぶらさずできたことはどう評価できますか

まだ課題はありますが、サイドで起点をつくってクロスから点を取るという練習したかたちが出たので、そこは自分たちの自信につながりますし、やってきたことが間違いじゃないと証明できたと思います。

――鍬先選手も試合を通してハードワークが目立ちました

ハードワークはそうですが、個人的には最後の最後で足をつってしまって交代したのが悔いが残るというか、自分がプレーヤーとしてもう一つ二つ上に行くのであれば、そういうところでつっているようじゃまだまだだと思いますし、そこは自分自身見つめ直して、これ以上のパフォーマンスを出せるように頑張っていきたいと思います。

――チームとしては気持ちの入ったプレーが終始見られましたが、この点についていかがですか

やっぱり明治さんは球際が印象的なので、まずそこで絶対負けないところを一番意識して。そこで実際負ける場面はあまりなかったので、そういう意味では相手にあまりペースが行かなかったのかなと思います。

――最後に、最終節への意気込みをお願いします

やはりまだ気は一つも抜けないので、来週とにかく全員で勝ち点3をもう一度取りに行くことを意識してまた練習からやっていきたいと思います。

FW加藤拓己(スポ2=山梨学院)

――4試合ぶりの勝利となりましたが、試合を振り返っていかがでしたか

見ている方も思ったと思いますけど、本当に気持ちのこもったゲームでしたし、それは明治さんも変わらないですけど、意地と意地のぶつかり合いだったというふうに思います。

――相手はリーグ優勝が決まっている明治大学という中で、どのような気持ちで試合に臨まれましたか

試合前に小柴さん(小柴健司総監督、昭52教卒=神奈川・鎌倉)から話があって、弱いチームでも絶対に負けるだとか、強いチームでも絶対に勝てるだとか、その絶対がないからこそサッカーは面白いと。自分たちは明治さんよりも弱いかもしれないですけど、そういう気持ちの部分では僕たちの方が勝っていたと思いますし、それが結果に繋がったというのは本当に良かったと思います。

――水曜日に4年生の早慶戦がありましたが、それもチーム内に変化をもたらせたのでしょうか

そうですね、世間からしたらただの練習試合、ただの引退試合かもしれないですけど、戦う姿勢だったり今チームとしてやらなければいけないことという部分、僕たち下級生にとってはそれが本当に今日の試合でどういう姿勢で挑まなければいけないのかということを、4年生全員が示してくれたし、体現してくれたので。自分たちはその姿を見て、それ以上のことをやらないといけないというのもありましたし、あの試合がチームに大きな勢いをもたらしたと思います。

――今日はどのようなゲームプランでしたか

ひたすら守備の確認を徹底してやってきて、その中で得点シーンがクロスからありましたけど、この一週間外池さん(外池大亮監督、平9社卒=東京・早実)が現場に出て攻撃陣をひたすら残して、クロスの練習を自分の経験からというのも含めて色々指導していただいて、それが結果に繋がったというのはすごいポジティブに捉えられるかなと思います。

――相手は3バックでしたが、攻撃陣としてどのように対応していこうと考えていましたか

守備の面では真ん中にいる常本選手(DF常本佳吾)をフリーで持たせないというのを徹底して自分自身やれていたと思うし、もちろんやれていない部分もありましたけど、DF陣3枚すごいいい選手で、それに対して自分が1トップでどうやって仕掛けていくかというのは常々試合中考えていました。でも自分だけじゃ絶対に無理というのは分かっていたので、栗くん(MF栗島健太、社4=千葉・流通経大柏)だったり金田くん(MF金田拓海副将、社4=ヴィッセル神戸U18)、倉持(MF倉持快、人2=神奈川・桐光学園)だったり神くん(MF神山皓亮、商4=栃木・真岡)、途中から入ってきたふみや(FW鈴木郁也、社3=FC東京U18)、ヒョンジュ(FW梁賢柱、スポ3=東京朝鮮)も含めて全員で守備陣を攻略することができたのかなと思います。

――攻撃面では先程お話にあったように、サイドを起点としたシーンが多く見られました

そうですね、それこそクロスの意識という部分でそこをどんどん使っていったり、自分がディフェンスの選手を引っ張ってサイドに散らしたりという部分はたくさん言われていたので、それを自分たちが徹底できていたのはすごく良かったと思います。

――前半はスコアレスで終えましたが、ハーフタイムに監督からどのような指示がありましたか

戦術の部分は雄大くん(蓮川雄大チームマネジャー、スポ4=FC東京U18)からありましたけど、外池さんからは気持ちの部分で、今自分たちがやれていることをもっとやらなければいけないという。今シーズンを通して試合を重ねていくごとに監督自身も変わって、やっぱりあれだけ監督が鼓舞をするというシーンはなかったし、それだけ監督は本気だというのが分かりましたし、監督がみんなを奮い立たせるような言葉はハーフタイムにありました。

――後半に入ってから、第16節桐蔭横浜戦(●1−2)以来のゴールが決まりましたが、いかがでしたか

ちょうど一ヶ月ぐらい空いちゃったので、自分自身色々問題があったりで出られない試合もあって、そういう中でチームに迷惑をかけて。今日外池さんからも「お前が決めるんだよ」、クロスに関しても「ニアには絶対他の選手が走って加藤のところでやらせる、お前が取らなきゃいけないんだよ」ということを本当にずっと言われていたので、その期待に応えられたのはすごい良かったです。ただそれを1点じゃなくて2点、3点にしていかないと個人的にも厳しいと思いますし、勝てたことは何より一番ですけど、やっぱり結果としてまだ外してしまっているシーンもあるので、そこをきっちり決めてもっとチームを楽な戦いに導けるような選手になりたいと思います。

――リーグ最終節はホームの東伏見で迎えます。意気込みを聞かせてください

歴史的残留を自分たちの手で掴み取ることができる会場が東伏見というのは偶然ではないと思います。本当に多くのOBの方だったり保護者の方、学校関係者、観客の皆さんが来てくださると思いますけど、東伏見の地で自分たちが今シーズンやってきた全てをみんなに披露する、そして絶対に残留するというのはチーム全員が今試合後外池さんからも話がありましたし、自分たちは来週に向けて準備していかないといけないと思っているので、最後伏見で勝利して来年も1部で戦えるように頑張りたいと思います。