「なんとしても連覇を」。そう意気込み臨んだ東都大学野球秋季1部リーグ戦。昨年度の豪華メンバーをもってしても成し遂げることのできなかった偉業に挑むも叶わず。昇格後ワーストの5位と悔しい結果に終わったシーズンを振り返り、選手たちは何を語るの…

 

 「なんとしても連覇を」。そう意気込み臨んだ東都大学野球秋季1部リーグ戦。昨年度の豪華メンバーをもってしても成し遂げることのできなかった偉業に挑むも叶わず。昇格後ワーストの5位と悔しい結果に終わったシーズンを振り返り、選手たちは何を語るのか。15日間連続スポーツ東洋独占インタビューでお届けする。

 第1日目は” PLAY BASEBALL “の言葉を胸にチームを主導し、自身2年目のシーズンを終えた杉本泰彦監督。強さと品格を兼ね備えた日本一の野球部にするため、日々指導に熱をいれる指揮官は今季をどう振り返るのか。(取材日・11 月2日、聞き手=谷口遥菜)


ーーまず今季を振り返っていかがですか

春がうまくいって完全優勝という形になったので、秋も当然という風に周りは考えていたと思います。でもチームとしては、リーグ戦前の予想では最下位なんじゃないのというイメージだったはず。それがいい回りで春は優勝できた。だけど秋は結果的に5位。戦力的にはどの大学もみんなの力がついてきたのは確かですよね。それと山田(総4=桐生第一)がけがをしていたので、余計にどういう風にしてしのがなきゃいけないのかっていうのを考えました。


ーー戦い方という面での意識というのは

自分の中で秋のシーズンの考え方としては、立正、亜細亜、駒澤のところで勝ち点2をとるってことを考えていました。国学院と中央は力があるって思っていたので。それまでになんとか勝ち点2を取っておいて、優勝争いに入っていくかなっていう風に考えていたんですけど。でも亜細亜と駒澤に負けた時点で、最下位を担当しなければいけないのかなという風に本当思いました。


ーー主砲である山田選手が抜けた穴も大きかったように感じました

山田が抜けたことによって、みんなその穴を埋めなきゃいけないっていう風に意識するじゃないですか。そうじゃなくてもタイムリー欠乏症になるのに。チャンスを作っても「俺が決める」って思って、余計に力が入ってしまったからタイムリーが出なかった。山田がいないこと自体がチームとしては動揺が隠しきれなかったですね。亜細亜と駒澤の試合ってなんか変な空気感だったのは確かなので。


ーー今季からタイブレーク制が導入され、3試合で2勝1敗という結果でしたが

社会人の時もタイブレークがあったんですけど、僕は負けたことがないんです。でも初めて負けましたね。見てて面白くないですか、タイブレークって。見てる方は絶対面白い。選択肢がいくつもあって、すごく面白いはずなんですよ。あの中に勝負がぎゅっと凝縮されてますからね。


ーー1年生も初年度ながら今後の活躍が期待できるプレーを見せてくれました

1年生投手陣は今回神宮のマウンドで投げたことで前向きに考えられたり、いい経験になってるんじゃないかなと思います。野手だと松本(営1=龍谷大平安)が1年間ほぼ全試合出場してヒットも29本出た。それと春は新人賞、秋はベストナインも受賞ということで良くやってくれたんじゃないですかね。


ーー中大との最終戦では佐藤都選手(法4=聖光学院)以外3年生というスタメンで挑みましたが

来年はお前たちが責任持ってやるんだぞっていう意味でやりました。それを3年生がどういう風にして自分たちがやらなきゃいけないって受け止めたのかは、個人それぞれ違うと思うのでわからないですけど。責任感っていうものは感じられました。3年生自体が今でも少ないので、今の2年生にもしっかりしてもらわないといけないですね。


ーー千葉ロッテからドラフト2位指名を受けた佐藤都選手は今季どういうシーズンでしたか

キャプテンっていうのはもちろん、自分が引っ張るっていう責任感とか、秋は山田がいなかったから余計に感じてたんじゃないですかね。彼にとっても非常に苦しかったシーズンだったとは思いますよ。


ーー主将としての姿はいかがでしたか

そんなにリーダーシップを発揮して、グイグイ引っ張っていくような選手ではないので。それでもキャプテンとしてチームを引っ張っていかなきゃいけないというところで、彼自身の成長にもなったと思います。独りよがりではなくて調整型ですかね。去年の中川(H30年度法卒=オリックス・バファローズ)とは違うタイプのキャプテンでしたね。みんなからもいじられるし(笑)。


ーーすでにプロで活躍している選手が佐藤選手の1学年先輩にいますが

さっき名前をあげた中川だけでなく、甲斐野(H30年度営卒=福岡ソフトバンクホークス)であったり上茶谷(H30年度法卒=横浜DeNAベイスターズ)梅津(H30年度営卒=中日)と、みんな一軍で活躍してましたね。一緒にやっていた人たちがあれだけ活躍するっていうことは、佐藤はもちろん他の選手たちにとってもいい刺激になってるんじゃないですかね。今度は佐藤が活躍してくれたら、じゃあ俺もっていう選手が出てくるかもしれないですしね。


ーー佐藤選手にはどのような活躍を期待していますか

まずは試合に出なきゃいけない。キャッチャーとして出ていければいいですけどね。外野でもなんでも、まずはプロ野球選手として試合に出なければいけないんでね。とにかくそこからです。


ーー新チームの主将が山崎選手(営3=愛工大名電)に決まりました

今までは4年生の推薦だったりしたんですけど、新しいチームの幹部たちは今の3年生が話し合って決めました。チームの中とか選手内のことって選手にしかわからないじゃないですか。自分たちでキャプテンを決めて、その人に決めたんだからしっかり盛り立てていかなきゃいけないでしょっていうことを考えてのことですね。


ーー新主将に期待する点は

寡黙な感じがしているので、率先垂範(そっせんすいはん)のところじゃないですかね。自分が見本を見せて、みんなについてきてもらう。山崎は人一倍研究熱心だし、人一倍練習熱心なのでその部分については誰も文句は言わないと思いますね。


ーー来季、期待の選手を教えてください

矢吹(総1=聖光学院)と廣岡(総1=拓大広陵)は主軸として期待はしていますね。矢吹には山田の後釜として考えています。投手陣は村上(総3=智弁学園)が軸になるとは思いますね。でも松澤(営1=帝京)にしても河北(営1=浦和学院)にしても、もちろん計算に入っているので。あとは羽田野(法1=汎愛)、八木橋(法1=小山南)がどういう風にして成長していくか。スケールも大きいし、彼らが4年生になるときには、甲斐野とか梅津ぐらいになると期待しています。


ーーこの冬の強化ポイントというのはどういうところでしょう

フィジカルトレーニングとかを今回OBの二神くんに全て任せているので、アップから全て変えます。あとはトレーニングの考え方という部分も変えていきます。


ーー監督さんが来季も継続してチームに伝えたいことはありますか

考えること、「PLAY BASEBALL」を浸透させることですね。やろうとしていることと、勝敗っていうのは別個のものだと考えているんです。そこがイコールになれば本当はいいと思うんですけど、そんなに簡単なものではないので。やろうとしてることはもちろん間違いじゃないと思うし、今の形のまま継承して行こうかなと思います。勝つことを求めて行きますけど、今やろうとしてることは過程というかプロセスという部分では必ず大切になると思います。


ーーでは最後に来季に向けての意気込みをお願いします

春季リーグの4連覇が懸かっているのでね。まずは初戦の中大さんよろしくお願いしますっていう感じです。自分の目標のなかでは大学選手権が大学生としての一番のタイトルだと思っているので。そこを取りたいし、もっというと日本一。強さと品格を兼ね備えて、スマートでかっこいい日本一の野球部を作りたいと思っているんです。だから自分の経験を自分の母校で、自分の後輩にどうやって伝えるかっていうことが使命だと思っています。なのでエッセンスを野球部にいち早く注入できればなと思います。


~連続インタビュー一覧~

11月17日小峰聡志外野手

11月18日津田翔希内野手

11月19日木村翔大内野手

11月20日松本渉外野手

11月21日山下雅善投手

11月22日小林直輝内野手

11月23日河北将大投手

11月24日小川翔平内野手

11月25日村上頌樹投手

11月26日納大地外野手

11月27日松澤海渡投手

11月28日諏訪賢吉内野手

11月29日山崎基輝新主将

11月30日佐藤都志也捕手