文=佐保めぐみ 写真=B.LEAGUE「ディフェンスで100%を出せるのはウチの強み」サンロッカーズ渋谷は現在9勝3敗で東地区2位に位置している。昨シーズンは開幕戦でアルバルク東京に連敗し、その後も1勝を挟んで6連敗と出だしからつまずいた。…

文=佐保めぐみ 写真=B.LEAGUE

「ディフェンスで100%を出せるのはウチの強み」

サンロッカーズ渋谷は現在9勝3敗で東地区2位に位置している。

昨シーズンは開幕戦でアルバルク東京に連敗し、その後も1勝を挟んで6連敗と出だしからつまずいた。しかし今シーズンの開幕節では、昨シーズンに一度も勝てなかった千葉に連勝した。ベンドラメ礼生は「すべては開幕で連勝できたことが、選手の精神的な余裕に繋がっていて、僕たちはやれるという気持ちが芽生えてきている」とスタートダッシュを語る。

今シーズンのSR渋谷は『ディフェンスのチーム』と公言するように、ゲーム序盤からオールコートディフェンスで相手にプレッシャーをかけるスタイルだ。40分間強度の高いディフェンスを行うために、タイムシェアも徹底して行っている。

ベンドラメも昨シーズンとの違いは「ディフェンスをメインに置いているところ」と口にする。苦笑いしつつ「今のディフェンスはめちゃくちゃしんどいです」と語るも、勝っていることで得られる自信は大きい。

「このチームは交代のペースも早くて、誰が出てきても戦力は変わらないです。だから、次のことを考えずにしっかりディフェンスで100%を出せるのが強みです。オフェンスは調子の良い日、悪い日があるし、どうしてもシュートが入らない時もあります。でもディフェンスは自分の調子とか関係なく、ブレたらいけない部分なので、そういった意識がチーム全体で持てているのは、やっていてもすごく頼もしいです」

ベンドラメは得点力のあるガードで、本人も「昨シーズンまではオフェンスでどうにかしようとする意識があって、点数を取ることを考えていました」と話すが、「このディフェンスのチームが今年のムーさん(伊佐勉ヘッドコーチ)が作っていくサンロッカーズ渋谷です。監督が求めていることをコートで表現するのが選手の仕事なので、そこは意識しています」と、新生SR渋谷のスタイルにも難なくフィットしている。

東の3強に「勝って初めて自分たちの立ち位置が分かる」

東地区には強豪チームが多く、特にA東京、千葉、宇都宮ブレックスは東の3強と呼ばれてきた。それでも今シーズン開幕からSR渋谷がその構図を崩している。

「しっかり勝ち続けることが大事で、まだ千葉に開幕2連勝しただけです。宇都宮には外国籍選手が1人の時に負けているし、他のチームともまだ試合はしていません。そこに勝った時に初めて自分たちの立ち位置が分かると思っています。なので、まだ『やってやった』より『これからが勝負』です。他の地区に負けていたら東地区では勝ち残れないので、油断せずに毎試合、気を引き締めてやっていきたいです」

ベンドラメが言うように、開幕から10試合の調子が良くても、残りのレギュラーシーズンで勝ちきることができなければ元も子もない。そして、これまでに見つかった課題が、「試合の終わり方」だという。

「20点リードを30点に乗せる力が、今は意識的にも足りないと思います。強いチームはそこから30点、40点と離す力があるので、徹底的に相手を叩くつもりで勝ちに行きたい。ビハインドを背負っても、そこから逆転して、リードを奪える力はあると思うので、SR渋谷の強さを証明しながら勝ち星を増やしていきたいです」

「現状に満足せずに常に次のレベルにチャレンジする」

チームとしてはもちろんBリーグでの優勝を目指しているが、個人的には「僕のモチベーションは日本代表」と話す。ベンドラメは代表候補には定着しているものの、9月に行われたワールドカップは最終段階でメンバーから外れる悔しい思いをした。それでも常に日本代表を意識して、練習や試合に取り組む姿勢は変わらない。

「日本代表に入るためには、ディフェンスも必要だし、オフェンスのミスも減らさないといけないし、得点も必要。そこをモチベーションに現状に満足せずに常に成長をすることを意識してやっています。そうすることで、チームにもプラスになると思います。個人的にもチームとしても、現状に満足せずに常に次のレベルにチャレンジする気持ちを持ってやりたいです」

今オフにチーム刷新を行ったSR渋谷。開幕からは素晴らしいスタートダッシュを切ったが、本当の勝負はここからだ。この勢いを維持して、さらに勝ち星をあげるためにも、これからのベンドラメのパフォーマンスに注目だ。