アメリカ・ニューヨークで開催されている「全米オープン」(8月29日~9月11日/ハードコート)。  その勝利は4ヵ月半前、クレーコートの上で起きた。それはまたノバク・ジョコビッチ(セルビア)が事実上無敵に見えていたときに起きた…

 アメリカ・ニューヨークで開催されている「全米オープン」(8月29日~9月11日/ハードコート)。  その勝利は4ヵ月半前、クレーコートの上で起きた。それはまたノバク・ジョコビッチ(セルビア)が事実上無敵に見えていたときに起きたことでもある。無敵----この見解は、今やそう定かなことではない。  イリ・ベセリ(チェコ)が4ヵ月半前の4月、モンテカルロ・オープンのクレーコートの上で、世界ナンバーワンのジョコビッチを6-4 2-6 6-4で破ったとき、ジョコビッチは1月から(途中棄権した試合が一試合あったものの)一度も負けていなかった。  ベセリはそれ以前に一度もトップ10を倒したことはなかった。

 試合後にベセリは、勝てるとは信じていなかったと言っている----ジョコビッチがどんなプレーをするかを見るまでは。  「ノバクはベストのレベルではなかった。それは確かだ。彼は出だしから多くのミスをおかしていた」とその日、ベセリは言った。「それが僕に、ほんの少し余計に自信を与えることになったんだ」。

 全米オープンの2回戦でふたたび対戦することになったふたりだが、このところのジョコビッチもまた、ベストの調子ではない。彼はウィンブルドンでは3回戦で敗れ、それからトロントで優勝したものの、リオ・オリンピックでは左手首の故障にも煩わされ、1回戦で敗れた。  月曜日の全米オープン1回戦でのジョコビッチは、ジャージー・ヤノビッチ(ポーランド)に4セットで勝利した試合の序盤に、右腕の治療を受けている。彼は顔をしかめて何度も腕を振り、サービスを打てばいつもよりも遅い状況に陥った。  2010年以来、初めてグランドスラム大会の1回戦でセットを落としたジョコビッチは、その後、腕に何が起きたかについて話したがらなかった。

 次に、以前にたった一度対戦し、敗れた相手であるベセリと再戦することについて聞かれると、彼は、「違うサーフェス、違う環境、そして5セットマッチだ」と、関連がないと考える理由を並べ上げた。

 「彼はアーサー・アッシュ・スタジアムで何度もプレーしたこともないだろう」とジョコビッチは言い添えた。  23歳のベセリは現在49位だ。彼は今年のウィンブルドンで4回戦進出を果たし、グランドスラム大会での自己最高成績を挙げたばかりで、その過程ではトップ10のドミニク・ティーム(オーストリア)を倒している。  198cmのベセリに関するジョコビッチの分析は以下だ。 「ビッグゲーム、ビッグサーブ、強力なフォアハンド。大柄な割には動きもいい」  しかし、ビッグサーブは通常、ジョコビッチの素晴らしいリターンにのみ込まれてしまうものだ。

 そしてジョコビッチは、風を遮るようになった新しいアーサー・アッシュ・スタジアムの屋根の構造は、自分に有利に働くと信じている。  「コンディションは、僕のゲームスタイルにかなり適しているよ」とジョコビッチ。「彼のサービスの威力を相殺し、そこからいい展開に持ち込めればと願う」。(C)AP