『全日本出場』。今シーズンの終盤に向けて、チーム一丸となりこの目標のために日々練習を積み重ねてきた。全国の大学が集い、大学日本一を決める大きな舞台である全日本大学選手権が愛知・スカイホール豊田で行われ、早大からは男子団体組手が出場した。神…

 『全日本出場』。今シーズンの終盤に向けて、チーム一丸となりこの目標のために日々練習を積み重ねてきた。全国の大学が集い、大学日本一を決める大きな舞台である全日本大学選手権が愛知・スカイホール豊田で行われ、早大からは男子団体組手が出場した。神戸大との1回戦では全員が勝利し、チームとして勢いに乗ったように思われた。しかし、続く2回戦の明大との一戦。お互いに一歩も譲らず、大将までもつれ込み2勝2敗1引き分け。競技の規定により、5戦全ての合計得点がより高かった明大の勝利となり、2回戦で姿を消すこととなった。

 1回戦の神戸大戦では、先鋒の吉田翔太(スポ2=埼玉・栄北)が相手に先取される厳しい状況になった。しかし「残りの1分で2点取ろう」(吉田)と冷静に攻撃の機会を狙った。残り12秒で上段突きを決め同点とし、残り2秒で再び上段突きを決めて逆転勝利。次鋒として登場した芝本航矢(スポ3=東京・世田谷学園)は、試合開始わずか12秒で先制する。その後も立て続けに点を奪い、3対0で勝利。続く中堅・長沼俊樹(スポ1=東京・保善)は6対1と相手を寄せ付けない圧巻の組手で勝ち星を挙げる。副将の野澤颯太(法1=長野・松商学園)、大将の笹野由宇主将(スポ4=東京・世田谷学園)も勝利を収め、全勝で2回戦進出を決めた。


先鋒としての役割を果たした吉田

  この勢いに乗りたい早大は明大との2回戦、1回戦にて大差で勝利した長沼を先鋒としてコートに送り込んだ。相手の南條は長沼と高校の同期であり高校時代に何度も対戦してきたが、あくまで冷静に『いつも通り』を貫いた。しかし、「高校の時はずっと勝っていたので、油断という気持ちもあったかなと思います」(長沼)。積極的に攻めたがなかなか点を取ることができず、逆に間合いを詰めたタイミングで相手に攻撃の隙を与えてしまい、結果1対4で敗北を喫した。続く芝本は先に相手に先取されるが、すぐに力強い上段突きで追いつく。その後も相手に反撃の機会を与えない圧倒的な強さを見せ、5対1と勝利を挙げ、1勝1敗と試合を振り出しに戻した。中堅として登場した吉田は、両者の力が拮抗し、激しい打ち合いとなった。残り47秒で上段突きを決め先取し、最後までその1ポイントを守り切り、チームに勝利を持ち帰った。2勝1敗とリードし、あと1勝すれば3回戦進出が決まる状況に。2連勝し、流れが早大側に引き寄せられたかと思われた。しかし、続いて登場した笹野が、積極的に攻撃を仕掛けるがなかなか得点することができず。0対0と欲しかった勝ちを得ることができなかった。大将として最後の試合を任された野澤は、開始早々に先取されてしまう苦しい展開に。反撃しようとするが相手の猛攻に押され、結果0対3で敗北した。全5試合を終え、2勝2敗1分という結果に終わった。競技の規定により、勝利者数が同数である場合は合計ポイントが高いチームの勝ちとされ、合計ポイントは早大の7ポイントの対し、明大は8ポイント。1ポイント差で早大は敗北し、3回戦へ駒を進めることができなかった。


果敢に攻める長沼

  今大会を終え、次は今月23日に開催される関東体重別選手権である。残り2週間弱と短い時間で、今大会で見つけた課題をどこまで修正することができるか。また今シーズン団体としての試合は、関東体重別選手権の翌24日(日)に行われる予定の早慶戦のみとなった。4年生にとって、早慶戦は大学最後の試合となる。部としても個人としても、今シーズンの集大成に向けて、個々でさらに磨き上げていく必要がある。

(記事 石黒暖乃、写真 名倉由夏、石黒暖乃)

※掲載が遅くなり、申し訳ありません

結果

▽男子団体組手

1回戦 〇早大5-0神戸大
先鋒 吉田翔太(スポ2=埼玉・栄北)   〇2-1
次鋒 芝本航矢(スポ3=東京・世田谷学園)〇3-0
中堅 長沼俊樹(スポ1=東京・保善)   〇6-0
副将 野澤颯太(法1=長野・松商学園)  〇2-1
大将 笹野由宇(スポ4=東京・世田谷学園)〇1-0
2回戦 ●早大2―2明大(1分)
先鋒 長沼俊樹 ●1-4
次鋒 芝本航矢 〇5-1
中堅 吉田翔太 〇1-0
副将 笹野由宇 △0-0
大将 野澤颯太 ●0-3
(競技の規定により、全5試合で獲得したポイントの合計で勝敗を決定。その結果7-8で敗北)

笹野由宇主将(スポ4=東京・世田谷学園)

――今大会全体を振り返っていかがですか

全体を振り返ると、やはり初戦というのが一番大事になってくるのですが、あまりみんな動きが良くなかったというのもあり、なかなか切り替えることができなくて、ずるずるいってしまったのではないかというふうに思います。

――チーム全体のコンディションはいかがでしたか

ここまで関東大学選手権の団体で負けてから試合形式だとか、そういった実践というのを増やしてきたのですが、結構コンディションも良く、みんながつがつやって、本当にコンディションも良かったなと思っていたのですが、試合になると固まってしまったと思います。

――ご自身のコンディションはいかがでしたか

関東団体で自分の責任で負けてから自主練習も結構したのですが、きょうの初戦も自分の突きが入らなくて、思うようにいかなかったというのがありまして、2回戦の明治戦でも、点数を取りたかったという大事なところで取れなかったです。もう少し、主将としてインスピレーションもして、1点でも点を取りたかったと後で振り返って思いました。

――点が取れなかったことについて、ご自身で考えられる要因はありましたか

昔のビデオと比べると、やはり突きが走っていないというか、スピードが落ちているのかなと最近思っていて、それを早く取り戻さなくてはいけないと思いますね。

――昔というのはいつ頃のものですか

私が見たのは2年前の全日本大会のものですね。その時の(ビデオ)を見たら、技の間が短かったのですが、きょうのを見て振り返ってみると、結構一つ一つが遅くなってしまっていて、そのようなところをもっと練習したいと思います。

――11月23日(土)に予定されている関東体重別選手権に向けて、どのようなことを中心に取り組まれますか

やはりきょうの試合もそうですし、いろいろ反省点が見つかったので、それはまだまだ実戦が足りないということがありますので、実践のメニューに取り組んで、次はきょう出なかった人たちも出るので、一つ一つ大事に取り組んでほしいなと思います。

――個人的にはいかがですか

きょうのように体型があまり関係の無い試合だと、結構厳しいものがあったりするのですが、次はマイナス60キロ級で出るので、そこはみんなが同じ立場でやるので、そこは自分はあまり減量しない分絶好調な状態でいけると思うので、一つでも多く勝って、ぜひ入賞したいかなと思います。

芝本航矢(スポ3=東京・世田谷学園)

――今回の結果を振り返っていかがですか

やはり『悔しい』の一言です。全日本で優勝するのを目標にやってきたので、まだまだ努力が足りないし、悔しい気持ちでいっぱいです。

――ご自身は2戦とも次鋒で出場し、2勝という成績でした。今大会のご自身の役割についてはどう捉えていましたか

それはもう一つも(試合を)落とさないというか、勝利を持ってくるというのは確実にして。やはりその上で、大差で勝って後ろを勢いづかせたり、早稲田を引っ張っていく組手ができればという思いでやっていました。

――特に2回戦では、先鋒が負けて悪い流れがあった中での快勝でした。その時の心境を教えてください

先鋒は負けてしまったのですが、そこは切り替えてまっさらな状態で、自分が一勝するんだという気持ちであったり、仕切り直すという気持ちでコートに立ちました。

――2回戦の相手は高校の1学年後輩でしたが、やりづらさはありましたか

少しありましたが、対戦相手であるということには変わりないですし、後輩であろうが勝つというのには変わりないです。自分の中では後輩だからというのはそこまで無くて、1人の相手として向かって行ったという感じです。

――関東大学選手権から2週間ほどありましたが、その間で個人そしてチームとして重点的に取り組んできたことは何ですか

チームとしては実戦を練習に多く取り入れました。基本的なことはもう皆できるのですが、それをいかに実戦の中でできるかというのが課題でした。やはり(技を)体に染み込ませることも大事で、実戦の中でそれができるかどうかというのがやはり課題なので、そういう練習を多く取り入れていました。

――次戦が関東学生体重別選手権、その翌日には早慶戦と続きますが、その2試合に向けての意気込みや今後改善したい点をお願いします

体重別は個人戦なのですが、優勝するというのが絶対の目標です。世界学生(選手権)の選考会も兼ねているので、必ず体重別で勝ってこの前半の悔しさを晴らします。早慶戦は早稲田全体として1年を締めくくる試合なので負けられないし、絶対に勝つという気持ちです。やはり気持ちが強いほうが勝つと思うので、練習の中でも常に勝つという気持ち、勝ちたいという執念を持って、2つの大会に臨みたいと思います。

吉田翔太(スポ2=埼玉・栄北)

――今大会は、どのような気持ちで臨まれましたか

ずっと関東団体や東日本などチームに団体戦で迷惑をかけていて、大事な時に勝ちを持ってくることができていなかったので、今回は大事なところで点を取って、勝ちを持って帰ってきてチームの勝ちに貢献できるようにという気持ちで臨みました。

――ご自身のコンディションはいかがでしたか

部活の調整の時とかでは、自分的には悪くないなと思っていたのですが、1回戦目をやってみたら自分が思っている以上に体が動かなかったり、相手の動きを見すぎてしまって自分のリズムが取れていなかったりという相手主体の組手になってしまったので、そこが良くないところだと思いました。そして、2回戦目以降は変えなくてはと思ったのですが、それでも最後の方は相手のペースに飲まれそうになってしまったので、そこが今後の課題かなと思います。

――1回戦目では相手に先取されるという苦しい展開でしたが、その時の心境はいかがでしたか

先取されるとどうしても焦ってしまいますが、そこで焦ってしまうと切れが無くなってしまいますし、タイミングがごちゃごちゃになってしまうので、余計に自分から点数が遠ざかってしまうと思ったので、残り1分以上あったので1分で2点取ろう、焦らず焦らずという気持ちで、すぐ取り返してやろうとするとごちゃごちゃになってしまうので、1分の中で2点を取って、結果的に2-1で勝てればいいなというふうな気持ちでした。

――2回戦目はいかがでしたか

相手が高校の時に何度か対戦している強い選手だったので、弱気になったりいつもみたいに(相手の動きを)見てしまったら確実に負けてしまうなと思ったので、極力自分から距離を詰めていったり、積極的に行ったりして相手のぼろを出そうという気持ちだったのですが、そんなにぼろも出てこなくて結果的に1対0という苦しいというか、取り切れなかった部分もあるのですが、とりあえず勝ちを持ってこられたというのはよかったです。

――次の関東体重別選手権に向けて、どのような点を重点的に取り組まれますか

自分の相手に合わせてしまうというのを変えていって、自分のペースにして、しっかり試合の会場の雰囲気で、試合の場でそれが出せるかというのをしっかりと試したいです。

――最後に意気込みをお願いします

結果としては優勝したいというのがありますが、一試合一試合大事に、一勝負一勝負大事にやって、結果的にいい方向に、上位に食い込めればいいなと思うので、地道に頑張っていきたいと思います。

長沼俊樹(スポ1=東京・保善)

――今大会、どのような気持ちで臨まれていましたか

4年生との団体戦は早慶戦を除いて最後だったので勝とうという気持ちで、4年生のために頑張ろうという気持ちで臨んでみました。

――ご自身のコンディションはいかがでしたか

コンディションはそんなに悪くなかったです。いつも通りという感じだったと思います。

――1回戦では、立て続けに上段突きを決め、最後に上段蹴りも決められていましたが、ご自身で勝因は何だと考えられますか

いつも通りですね。体を動かそうという感じで、そんなに考えてなかったですね。

――2回戦では、悔しい結果となってしまったと思いますが、その点に関してはいかがですか

相手とは高校が同じの同期で、相手は結構動いてきて、そこをずっと追ってしまって大きくなって、相手のペースに合わせてしまったのが悪かったかなと思います。

――やはり高校の同期というのは意識されたのでしょうか

高校の時はずっと勝っていたので、油断という気持ちもあったかなと思います。

――それでは、今大会全体を振り返っていかがですか

負けてしまったのは自分のせいだと思っているので、『悔しいの』一言です。

――次の関東体重別選手権に向けて、どのようなことを意識して練習されますか

とりあえずしっかりと動画を見て、自分の悪かったところを修正して、時間もそんなに無いので、明日からばんばん追い込んでいきたいと思います。

野澤颯太(法1=長野・松商学園)

――今大会の結果を振り返ってどうでしたか

関東大会でも自分が大将だったのですが、2勝2敗1分で回ってきて、その時も勝ち切ることができなくて。今回も同じ結果になってしまったので悔しいです。

――チームは2回戦敗退となりましたが、そちらについてはどのように捉えていますか

チームとして目指しているところはもっと上だと思うので、こういう結果になってしまったのは悔しいです。

――2回戦では2-2でプレッシャーがある中での登場となりましたが、その時の心境はいかがでしたか

関東と状況が同じだったので、今回こそは自分が勝って仕事したいという思いがあったのですが、それができなくて悔しいです。

――関東大学選手権から2週間が経ちましたが、今大会へ向けて改善しようとした点や目標があれば教えてください

技術的なことなのですが、相手と組んだ時に辛抱するという課題が関東(関東大学選手権)の前からあります。それを克服できてなかったので、そこを克服しようと思って頑張りました。

――その課題はどれくらい改善されましたか

今回の大会では、そこは前回(関東)ほど悪くはなかったです。でも他にも課題として、入りが大きくなってそこを狙われることがありました。それもいつも言われていることなので、そこは今後改善したいと思います。

――今回の試合から見えた反省点や、今後の試合に向けての意気込みをお願いします

最初に向こうに点を取られたときに挽回できないというのが自分の弱みなので、そこでしっかり挽回できるように、作戦を練るなど万全の準備をして大会に臨みたいと思います。