綿貫陽介(日本/日清食品)は「兵庫ノアチャレンジャー」(11月4日〜10日)で自身初となるATPチャレンジャーのタイトルを獲得しようとしていたが、マッチポイントを迎えるごとに高まる緊張感は、21歳の彼には大き過ぎるようだった。

第2セット5-4、40-0でチャンピオンシップポイントを迎えた綿貫がナーバスになる一方で、対戦相手の杉田祐一(日本/三菱電機)は一段ギアを上げた。神戸のブルボンビーンズドームを埋める4000人近いファンの前で、埼玉県出身の綿貫は、あと1ポイントで母国で初優勝を決めるという瞬間を、9回繰り返した。

マッチポイントを掴んでは、逃すこと8回。綿貫の顔に浮かぶ表情は、次第に苦悩からパニックに変わっていった。綿貫はベースラインからのバックハンドスライスの打ち合いに持ち込んだり、ネットへ出て攻めまくったり、勝利を掴むためにあらゆることを試みた。

このゲームは永遠に続くかのようだったが、綿貫は3回のブレークポイントをしのぎ、しぶとく粘る杉田を振り切ってフィニッシュを決め、大きく息を吐いた。それは、喜びよりも安堵が上回ったような瞬間であった。

「兵庫ノアチャレンジャー」で、綿貫は1セットも落とすことなく初のATPチャレンジャー優勝を果たした。彼の戦った6試合すべてで、1セットで取られたゲーム数は4ゲーム以内。将来を嘱望される綿貫にとって、2019年のシーズンを締めくくるにふさわしい圧倒的なプレーだった。

大会開始時は世界ランキング302位であった綿貫は、76ランク押し上げて226位となった。そしてこの勝利がもたらしたもう一つの重要な点は、2020年1月の「全豪オープン」予選出場資格を得たことだ。去年は準優勝で終わった大会のトロフィーを、綿貫はついにその腕に抱いた。

※写真は綿貫陽介

(Photo by Tony Marshall/Getty Images for LTA)

翻訳ニュース/ATPTour.com