出国直前の27日に行われた大学代表との壮行試合で3安打完封された打線が爆発。17安打19得点と無駄のない攻撃で、香港に格の差を見せつけた。この日、日本打線のカギとなったのが、1番・納大地(智弁学園)と3番・鈴木翔平(静岡)の2人だった。■慣…

出国直前の27日に行われた大学代表との壮行試合で3安打完封された打線が爆発。17安打19得点と無駄のない攻撃で、香港に格の差を見せつけた。この日、日本打線のカギとなったのが、1番・納大地(智弁学園)と3番・鈴木翔平(静岡)の2人だった。

■慣れた1番で持ち味発揮の納大地「仕事のやりがいを感じている」

 第11回BFA U-18アジア選手権が30日、台湾・台中市で幕を開け、グループA第1試合を戦った日本は、香港に7回コールド19-0の完封勝利。白星スタートとなった。出国直前の27日に行われた大学代表との壮行試合で3安打完封された打線が爆発。17安打19得点と無駄のない攻撃で、香港に格の差を見せつけた。この日、日本打線のカギとなったのが、1番・納大地(智弁学園)と3番・鈴木翔平(静岡)の2人だった。

 春夏連続甲子園出場を果たした納は、代表チームでは初めて座った1番で結果を残した。智弁学園ではおなじみの打順だが「選手の適性を試してみたい」という侍U-18代表を率いる小枝守監督の方針の下、大学代表との壮行試合では6番に挑戦。だが、やはりハマったのはリードオフマンだった。初回に敵失で出塁して先制ホーム。そこからサイクル安打まで本塁打を残すのみの3安打4打点の大活躍で、攻撃のトーンを決めた。

 国際試合という大舞台でも「緊張はまったく…。いい緊張感を楽しむというか、ワクワクしながらやってました」と強心臓を持つ1番打者は、真っ黒に日焼けした顔に大きな笑みを浮かべた。今春の選抜大会から見ていたという小枝監督は、違う打順を試した末に「選抜から出塁率がすごく高かった」と1番起用を決定。175センチと決して大きくない納だが、指揮官は「今日見たら立ち姿がすごく大きく見えた」と適材適所の起用になったことを直感した。

 納自身、リードオフマンに「チームを勢いづける可能性がある。仕事のやりがいを感じている」と話す。

「チーム全員が相手投手の球種だったりを見ているので、自分が中途半端な打ち方をして、今日はそういう投手なんだって思われたら(チームにとって)マイナスになる。そこは自分から仕掛けていって、どんどん打ちたいです」
 
 小枝監督は、今後も納を1番で起用する方針。「何とかを得た魚じゃないですけど、非常にいい働きをしてくれた。トップバッターとしては満点のスタートだったと思います」と手放しで褒めた。

■憧れは青木宣親、「甲子園に出ていない奴らの代表」鈴木翔平が代表1号本塁打

 夏の甲子園出場を逃しながらも代表入りした鈴木は、3回に代表1号となる2ランを右翼へ叩き込み、3番打者としての役割を果たした。高校野球では金属バットを使用しているが、アジア選手権では木製バットを使用。対応に苦しむ選手も少なくないが「静岡高校はずっと木製(バット)で3年間連中をやっていたので、特別な違和感はなく打席に入っていました」と自然体を貫く。「打った瞬間に飛んでいったと思いました」という一発は、鈴木自身にとって公式戦初の木製バットでのアーチ。「素直にうれしいところはありますし、これを機にチームがまた活気づけばいい。またそれが次につながれば」と笑顔が弾けた。

 小枝監督は「体の使い方が非常にいい。身長の割には非常に力強い体の使い方をしているので、やっぱり主軸は外せないですよね」と大きな信頼を寄せる。日の丸を背負う代表チームで主軸を任されることプレッシャーはない。鈴木は「日本代表の主軸は、自分の中で次につながる自信になる。いいステップになればいいなと。今日はチームに勢いをつけられたので、しっかり役割を果たせたと思います」と胸を張った。

 憧れの選手は、マリナーズの青木宣親だ。「背丈もあるんですけど、足を生かしたプレースタイルが自分に似ているような感じがある。憧れを持っています」と目を輝かせた。

「自分は甲子園に出ていない奴らの代表でもある。しっかり責任感を持ってやっていきたい」

 そう語る姿は、174センチという小柄な体を一回りも二回りも大きく感じさせた。