グランプリ(GP)シリーズ第3戦フランス杯の女子シングルでは、フィギュア王国のロシア勢の活躍が目立ち、なかでも超新星の鮮烈シニアデビューに注目が集まった。昨季のジュニアGPファイナル覇者で16歳のアリョーナ・コストルナヤだ。ショートプログラム(SP)、フリーともに1位となり、シニアGP初陣を完全優勝で飾った。



フランス杯でシニアGPデビュー戦優勝を果たしたアリョーナ・コストルナヤ

 女子史上10人目となるトリプルアクセルの成功者は、その大技を武器にライバルを圧倒した。SPでは回転不足の認定ながらもトリプルアクセルを跳んで76.55点を出す。「いい演技を見せることができてよかった。完璧な演技ではなかったが、シニアGP初戦としては悪くなかった」とあっけらかんと言ってのけた。

 フリーではトリプルアクセルを、連続ジャンプと単独の2本成功させた。高さと幅のある豪快なトリプルアクセルには、会場がどよめいたほどだった。

 彼女の魅力はジャンプだけではない。手先から腕の使い方が秀逸で、伸びやかな身のこなしと所作の美しさは惚れぼれするほど。ステップでもつなぎの部分でも、音をよくつかんでメリハリよく動いており、洗練された演技を見せた。記者会見に登場したコストルナヤはまだ幼さが残る小柄な女子だったが、氷上では大きく見える。それは全身を余すところなく動かしているからだろう。

 可憐な少女は見る者をあっと言わせる演技を披露し、世界歴代3位の159.45点をマーク。合計236.00点でも世界歴代3位となる高得点を叩き出した。フリー、合計ともに自己ベストを更新、試合をするたびに自己最高得点を塗り替える勢いだ。

 フリー演技後は「クリーンな演技で優勝することができてとてもうれしい。ジャンプもスピンもレベルを上げて、これからもっと完成させていきたい」と語った。そこには、自分にはまだ伸びしろがあるという自信と、さらなる成長を目指す意気込みが感じられた。

 そんな同門の後輩の後塵を拝したのは、平昌五輪女王のアリーナ・ザギトワだ。今季GP初戦となるフランス杯。ザギトワはフリーで、冒頭の3回転ルッツを含めて計4つのジャンプで回転不足を取られる痛恨のミスが響いた。ザギトワは合計216.06点の2位にとどまり、コストルナヤに約20点の大差をつけられる結果となった。

「今日のフリーはノーマル(普通)だった。ミスがあったけれども、このまま前に進んでいくだけ。GOE(出来ばえ)加点がもっと取れるように、すべての要素をもっと磨いていきたい」(ザギトワ)

 ザギトワがこれからトリプルアクセルや4回転に挑戦することは、おそらくないだろう。では、どうやって得点アップを図って、4回転などの大技を繰り出す若手選手たちに対抗するのか。2シーズン前までは、プログラム後半に跳ぶジャンプの基礎点に1.1倍がつくルールを最大限生かして、全てのジャンプを後半に跳んでいたザギトワだが、そのルールも改正されて、いまはSPで最後の1本、フリーでは最後の3本が1.1倍になると決められた。

「4回転を跳ぶ選手たちはすごい」と、リスペクトする一方で、まだ17歳のザギトワは「先のことは考えていない。いまに集中しています」と言う。

 ザギトワもまたその強みを生かして、起死回生の演技を作ってくるに違いない。それがどんなものになるか、シーズン後半に向けて注目していきたいところだ。