先週末、リーグ戦でバイエルンを5−1と下したフランクフルトが、7日のヨーロッパリーグ(EL)ではスタンダール・リエージュ(ベルギー)に1−2で敗れた。そもそも今季のフランクフルトはホームで強く、アウェーに弱い。アウェーで勝ったのは、ドイツ杯の2試合とELのヴィトーリア・ギマランエス(ポルトガル)戦、リーグ戦ではウニオン・ベルリン戦の1試合だけだ。

 ただでさえ内弁慶なのに、勝利したアウェーのギマランエス戦でサポーターが騒ぎを起こしたことから、この日はフランクフルトのサポーターは入場禁止に。完全アウェーの状態で、後半ロスタイムに生まれたリエージュの勝ち越し点は、ホームのサポーターたちの声援が後押しして取らせた感すらあった。フランクフルトは勝てば1次リーグ突破が決まった試合を落とした。



スタンダール・リエージュに敗れて憮然とした表情の鎌田大地、長谷部誠ら(フランクフルト)

 この1カ月間、フランクフルトはレバークーゼン、ボルシアMG、そして先週末のバイエルンと、強豪との対戦が続いた。その間にELが2試合とドイツ杯2回戦が組まれ、試合が途切れなかった。疲労が溜まっているのを隠せないうえ、ELは仮にこの試合を落としてもまだ巻き返せるだろうという雰囲気が感じられた。

 長谷部誠はこう語った。

「もちろん試合自体は勝ちにいくというのはあったんです。実際、最後まで点を取りにいったことで、最終的にやられたんですけど、サッカーの難しいところは、潜在的にそういうもの(引き分けでも及第点というような考え)が入ってしまうと、少し受け身になったりすることがあると思う。チームも自分自身も、まだまだ未熟、成熟していないなというか……」

 立ち上がりのフランクフルトは、後方からビルドアップしながら攻撃を組み立てていった。相手もさほどプレスにこなかったため、ボールを保持し主導権を握ることが可能だった。だが、時間が経つにつれて様子が変わってくる。前半35分ごろ、ベンチから指示があったのだろう。リエージュが前からプレスをかけるようになる。これで、フランクフルトはバタついた。主導権を握っていた間にゴールを奪えなかったため、急に焦りを感じた様子だった。

「前半はやられてもいないし、自分たちも決定的なチャンスを作れていない。1試合目(前節のホームでのリエージュ戦。2-1でフランクフルトが勝利)も、相手はかなりブロックを引いて、守備はすごく組織的にやっていたので、簡単に崩せないというのは感じていたんです。今日も、相手は単純にいいチームだったし、自分たちに相手を崩すアイデアとかが、全体的に欠けていたかなと思う」(長谷部)

 後半に入ると、リエージュはボールを前から奪いにくる姿勢をより鮮明にした。リエージュはこの試合に負ければ一次リーグ突破の可能性がなくなる。なんとしても引き分け以上で終える必要があった。56分には先制に成功する。

 フランクフルトの唯一の得点が生まれたのは、61分に鎌田大地が投入されてから3分後のことだった。鎌田がドリブルを仕掛けると、ペナルティエリアまで1メートルもない地点で倒され、フリーキックを得た。フィリップ・コスティッチがこれを直接決め、1-1とした。

 途中出場の鎌田大地は、ベンチから、ドリブルが有効であると見ていた。

「外から見ていても、相手はマンツーマン気味にやって、フォワードが引いてきても全部ついてきて、強めに当たられたりしていた。難しいだろうけど、うまく前の選手が体をはってやらないといけないな、と。1枚はがせばチャンスになるなと思っていて、あのシーンはうまくドリブルができました」

 自らのドリブルには納得の表情だが、苦労も尽きない。この日はフォワードで投入されたが、「練習でもやっていない」と言うポジションでのプレーには困惑がある。

「今日みたいな試合では、フォワードで入りましたけど、かなり難しい。(鎌田が投入された時間帯は)ボールをうまくつなげなかったし、後ろからラフなボールというか、『頑張ってください』みたいなボールで、前(の選手)が体を張りながら……では、僕でなくても難しいと思う。そういうサッカーは、バイエルンのような上のチームとやる分にはうまくいって有効的ですけど、格下とか引かれた相手には、いつもああやって苦労しているので、もう少しチームとして工夫が必要なのかなと思います」(鎌田)

 雑なロングボールを放り込まれても、戦術的に守りを固めている相手には通用しないということか。結局、試合は後半アディショナルタイム、リエージュがロングボールからいとも簡単にゴールを決め、2−1で勝利。これでリエージュは2位に浮上し、フランクフルトは同勝ち点ながら3位に後退した。

 アウェーで敗れたフランクフルトだが、今週末もアウェーでのフライブルク戦となる。

「アウェーでは今年のうちは難しい試合が多いので、まあ(日本代表への招集前の)ラスト1試合と思って、チームで力を出し切りたいと思います」(鎌田)

 せっかくバイエルンに大勝したのに、その勢いを生かすことはできなかった。フランクフルトは内弁慶を克服しなくてはいけない。