構えた瞬間、空気が変わる。

帝京大学空手道部の中野壮一朗(4年)は言葉で語らず、背中で語る主将だ。
今年5月の関東学生選手権大会で個人優勝、6月の全日本学生選手権大会で個人優勝を飾り帝京大学は大会初の4冠という快挙を成し遂げた。9月に行われたプレミアリーグ東京大会でも銅メダルを獲得し、中野はエースとして確実に結果を残しチームを束ねている。

京都府出身、実家は道場だ。
父は世界空手道選手権で優勝を果たした経験がある世界チャンピオン。幼い頃から“空手”が身近にあった。3歳の誕生日には祖父から胴着をプレゼントされ、4歳からいつの間にかその胴着を着て練習をしていた。「最初はすごく嫌で泣きながら道場に行って、行っても階段に座ってずっと泣いて練習したくないって言っていたみたいです」周りの友達が遊んでいる姿を見て当時は“羨ましい”という気持ちが大きかったという。

大学空手界を牽引する存在にまでなった組手のエース中野壮一朗選手

そこから“勝つ”ことで空手を好きになっていった。

スピードとパワー、両方を兼ね備える中野の組手。「スピードだけ速い選手、パワーだけある選手というのはいると思うんですけれどスピードもパワーもっていう選手はなかなかいないので武器だと思っています」チューブ練習等で鍛えたパワー、大学入学時から体重は8kg、筋肉量も1年間だけで5kg増えた。帝京大学空手道部を指導する香川政夫師範も「もともと運動能力は高かったがこの4年間で技の強さ、能力を生かす気持ちの強さが加わった」と絶大な信頼を寄せる。

主将として誰よりも練習することを心がける

日々、帝京大学の道場で積み重ねる稽古。胴着を着ると中野の表情はがらりと変化する。

「練習は誰よりも追い込んで、自分が今日1番稽古をしたって言えるようにやっています。キャプテンが頑張っているから自分たちも頑張らないとって思ってもらえるような姿勢を意識しています」決して自分を甘やかさない。人を意識せず、自分自身に勝つことをモットーとしている中野の空手道。集大成として迎える11月の全日本大学空手道選手権大会では団体戦4冠を目標に掲げている。「これを達成しない限り、自分が頑張っているとは言えないです」真の強さを求め、心技体を磨き続ける。その先に見える世界を追い求めて。