8月29日(月)にアメリカ・ニューヨークで開幕する今年最後のグランドスラム「全米オープン」。 セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)は、「気分がよくなり始めている」と言い、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)は、「いいレベルになりつつある」と言っ…
8月29日(月)にアメリカ・ニューヨークで開幕する今年最後のグランドスラム「全米オープン」。
セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)は、「気分がよくなり始めている」と言い、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)は、「いいレベルになりつつある」と言っている。
全米オープンのシングルスでトップシードとなるふたりは揃って故障明けであり、ともに早期敗退したリオ・オリンピック以来、試合をプレーしていない。ニューヨークにやって来た彼らは、全米の前哨戦をやめることになった健康の問題について、初めて詳しく話した。
セレナはウィンブルドン優勝のあたりから右肩の痛みに煩わせられ始めた、と明かした。そのためリオ・オリンピック前には2日間練習したにすぎず、故障から回復するためのセラピーを受けていたため、コートであまり時間を費やせなかったのだという。
ジョコビッチのほうはフアン マルティン・デル ポトロ(アルゼンチン)に敗れたリオ・オリンピック1回戦の数日前に左手首を痛めた、と明かした。デル ポトロといえば左手首の故障がいかに両手打ちバックハンドを妨げるかを、嫌というほど知っている人物だ。
「大会開始時には、バックハンドを最良の形で打てるコンディションにできるだけ近づけられるよう願っている」とジョコビッチは言った。彼の口ぶりはセレナよりも幾分、楽天的だ。
セレナは全米オープンの前に、試合ができたほうがよかったと言っている。彼女はウィンブルドン以来3試合しかシングルスをプレーしておらず、より多くの練習を必要としている。
「今、少し感じがよくなってきたところなの。日を追うごとに、より高いレベルに上がり続けることができるよう祈るわ」とセレナは言った。
世界41位のサム・クエリー(アメリカ)に敗れたウィンブルドン3回戦の頃、ジョコビッチの重荷となっていたのは体の問題ではなかった。その敗戦の直後に「100%、健康だったか」と聞かれたジョコビッチは、「必ずしもそうではなかったが、今はそのことについて話すべき場所でも時間でもない」と答えていた。そして今の彼は、「それは僕が個人的に抱えていた別のこと(が原因)だった」と明かす。彼はそれが何かについて詳しく説明せず、ただ、今は「すべて問題ない」と言うにとどめた。
左手首の故障と言えば、ラファエル・ナダル(スペイン)はよくなりつつあるが、「いまだ100%ではない」と言った。彼の場合は左利きなので、問題は両手打ちバックハンドだけでなく、主にフォアハンドに関わってくる。
カムバックしたばかりのときには、「痛みを避けられる動きを探すよう努めていた」とナダルは振り返った。今、ふたたび彼の“普通のフォア”を打ち始めることができるようになったそうだが、「手首により自信と安心感を覚えられるようになるには、まだ時間が必要だ」と言う。
ジョコビッチとセレナの双方が1回戦で、元グランドスラム大会の準決勝進出者と対戦する。セレナの相手はエカテリーナ・マカロワ(ロシア)で、マカロワはリオ・オリンピックの女子ダブルスで金メダルを獲ったばかりだ。
マカロワはグランドスラム大会で準決勝を2度経験している。最初は2014年の全米オープンで、そこでセレナに1-6 3-6で敗れた。2度目は2015年の全豪オープン。現在はランキングが36位に落ちたため、彼女は今回の全米でシードをぎりぎりで逃してしまった。
ドロー抽選が終わった少しあとにインタビューを行ったジョコビッチは、まだ精神的に自分のドローを見る用意ができていないから、「ひとりになるまで待つ」とジョークを言った。
彼は1回戦で、かつて14位まで上がったこともある2013年ウィンブルドン準決勝進出者のジャージー・ヤノビッチ(ポーランド)と対戦する。近年には苦しい時期を経験し、故障のせいで今季の大部分を棒に振ったため、現在は228位にまでランキングを落としたヤノビッチは、今回はプロテクト・ランキング(ケガで戦線離脱した選手に対する救済措置)を使って全米オープンに出場する。
ジョコビッチは順当に勝ち上がると、準決勝でナダルと対戦する可能性がある。一方、アンディ・マレー(イギリス)とスタン・ワウリンカ(スイス)はドローの下半分に入った。
順当に勝ち上がれば、セレナは準決勝で第4シードのアグネツカ・ラドバンスカ(ポーランド)と対戦するが、また、姉ビーナスと対戦する可能性もある。全豪優勝者のアンジェリック・ケルバー(ドイツ)と全仏優勝者のガルビネ・ムグルッサ(スペイン)は、セレナと反対のドローの下半分に入った。
セレナは大会序盤で、2014年全豪で彼女を倒したアナ・イバノビッチ(セルビア)、2011年全米で土を付けられたサマンサ・ストーサー(オーストラリア)などに出くわす可能性がある。
2009年全米オープン優勝者のデル ポトロは3度にわたる左手首の手術の影響でランキングを落とし、現在は142位だ。先週、アメリカ人としてもっとも高いランキングに上がったスティーブ・ジョンソン(アメリカ)は、デル ポトロが1回戦でアメリカ人を倒す可能性があることを理由に、全米テニス協会は果たしてデル ポトロにワイルドカード(主催者推薦枠)を与えるべきなのか、と問いを投げた。
しかし、そのシナリオは実現せず、デル ポトロは1回戦で同胞のディエゴ・シュワルツマン(アルゼンチン)と対戦することになった。そして、声を上げた世界19位のジョンソン自身が、2回戦でデル ポトロと対戦する可能性があるのだ。
復帰まもなくプレーしたウィンブルドンとリオ・オリンピックの間に、デル ポトロはこの全米オープンのトップ4シードのうち、3人(ジョコビッチ、ナダル、ワウリンカ)を倒している。(C)AP