3度目の優勝を目指し、各地から厳選したトップ選手を集めた代表チームの中でも、台湾国内の話題を総ナメにしているのが、背番号「1」の陳琥選手だ。■プロ入りが決まっている陳琥、直前の大会では投打4賞を獲得 30日から台湾・台中市で開催される第11…

3度目の優勝を目指し、各地から厳選したトップ選手を集めた代表チームの中でも、台湾国内の話題を総ナメにしているのが、背番号「1」の陳琥選手だ。

■プロ入りが決まっている陳琥、直前の大会では投打4賞を獲得

 30日から台湾・台中市で開催される第11回BFA U-18アジア選手権。出場するのは8つの国と地域だが、現在のアジアの野球事情を見ると日本、韓国、チャイニーズ・タイペイ、中国が“4強”と言われ、頭一つ抜けた存在になっている。ファーストラウンドでは、グループAに日本とチャイニーズ・タイペイ、グループBに韓国と中国と2チームずつ振り分けられた。つまり、日本が最初に顔を合わせる“4強”は、31日に対戦するチャイニーズ・タイペイとなる。

 過去2度の優勝を果たし、前回2014年は韓国と日本に次ぐ3位だったチャイニーズ・タイペイは、WBSC(世界野球ソフトボール連盟)の最新世界ランキングで4位につける強豪だ(日本は1位)。4大会ぶりに開催国になったこともあり、今大会に懸ける意気込みは大きい。指揮を執るのは、20年以上の指導歴を誇る名将・蔡明堂監督。そして、3度目の優勝を目指し、各地から厳選したトップ選手を集めた代表チームの中でも、台湾国内の話題を総ナメにしているのが、背番号「1」の陳琥選手だ。

 選手登録は投手だが打撃でも類い稀なるセンスを持つ陳琥。身長182センチ、体重90キロと恵まれた体格の右腕に付いたニックネームは、その名も“台湾の大谷翔平”だ。台湾は9月から1学期が始まるため、6月には高校を卒業。8月に行われたプロ野球ドラフトでは、1巡目(全体3位)で中信兄弟に指名され、すでにプロ入りが決定している。直前に行われた大会では、MVP、最優秀投手、本塁打王、ベスト9(DHで)と、主だった賞を総ナメした。投げては、140キロ台後半のストレートを武器に、打たせて取るスタイルでアウトの山を築き、打っては4番を任され、パワーあるバッティングで打線を牽引。地元メディアも「彼は間違いなくNo.1選手。投げても打っても素晴らしい」と太鼓判を押す。

■記者会見では、甲子園優勝投手・今井に記念撮影を申し込む一幕も

 U-18アジア選手権に出場するのは、2年前の第10回大会に続き2度目。昨年日本で開催された第27回U-18ワールドカップにもチャイニーズ・タイペイ代表として出場した。そんな経験豊富な18歳だが、29日に行われた記者会見では、日本代表の今井達也を見つけると、照れくさそうに一緒に記念撮影を申し込む一面も。「甲子園は台湾でも有名な大会。そこで優勝したエースと写真を撮れるなんて光栄です」と、一足先にプロ入りを決めている台湾の若手有望株は、はにかむように笑った。

 “台湾の大谷翔平”と呼ばれるだけあり、目標とする野球選手は日本ハムの大谷だ。大谷の印象を聞かれた陳は「不思議な存在」と表現した。

「アジアの選手で160キロ以上で投げられるなんて考えられない。しかもホームランも打てて、素晴らしい投手だから、不思議な存在なんです」

 たくさんの日本報道陣に囲まれ、最初は「こんなに囲まれるなんてプレッシャーですね」と緊張した様子だったが、今大会で最大のライバルはどのチームか質問されると、自分を囲む日本報道陣を見回しながら「それは日本ですよ(笑)」とリップサービスする大物ぶりも発揮。「優勝を目標に一生懸命、頑張ります」と意気込んだ“台湾の二刀流選手”がどんな活躍を見せるのか。日本戦に限らず追ってみるのも面白いかもしれない。