サウサンプトンが歴史的な大敗を喫したのは、10月25日のことだった。 ホームにレスター・シティを迎えたサウサンプト…
サウサンプトンが歴史的な大敗を喫したのは、10月25日のことだった。
ホームにレスター・シティを迎えたサウサンプトンは前半10分に先制ゴールを許すと、失点直前のファウルで左ウィングバックのライアン・バートランドに一発退場が命じられた。

9失点を喫したレスター戦について吉田麻也が口を開いた
試合開始直後にひとり少なくなり、ここからサウサンプトンは防戦一方に。今季ここまで3位につける好調レスターに前半だけで5点を奪われると、後半に4点を追加され、0−9の惨敗を喫した。
ホームゲームでの敗戦としては、前身のフットボールリーグ時代を含めてイングランドのトップリーグ131年の歴史のなかでワースト記録となった。
その屈辱的な試合で、吉田麻也は3−4−2−1のCB中央として先発していた。バートランドの退場処分直後には、吉田がラルフ・ハーゼンヒュットル監督の指示を仰ぎ、システムを5−3−1に変更。だが、サウサンプトンは攻められっぱなしの状態に陥り、17分、19分と立て続けにゴールを許した。
さらに39分に4点目を奪われると、選手たちが一様に呆然と立ち尽くし、下を向いていたのが印象的だった。0−7で迎えた70分頃にはスタジアムを後にするサポーターの姿も目立ち始め、試合終了のホイッスルが鳴ると、空席の目立つスタンドからブーイングが虚しく鳴り響いた。
この悪夢のレスター戦から1週間が経ち、サウサンプトンはマンチェスター・シティとのプレミアリーグ第11節を迎えた。マンチェスター・C戦の先発メンバーで、前節レスター戦から変更があったのは3選手。退場で出場停止となったバートランドに加え、吉田とGKアンガス・ガンがスタメンから外れた。
吉田の代わりにCB中央の位置に入ったのは、25歳DFのジャック・スティーブンス。そしてGKのポジションには中堅GKのアレックス・マッカーシーが入った。CB中央とGKという「守備の柱」にテコ入れを行なった格好だ。
満を持して臨んだマンチェスター・C戦は、思わぬ形で始まった。開始13分でサウサンプトンがまさかの先制点を奪取。得点後はフィールドプレーヤーの全員で守備を固め、マンチェスター・Cの波状攻撃をひたすらしのいだ。
しかし、70分に同点に追いつかれると、86分に逆転ゴールを被弾。強豪相手に善戦はしたが、1−2で敗れることになった。ミッドウィークに行なわれたマンチェスター・Cとのリーグカップを含めると、公式戦3連敗となった。
ベンチスタートで出番のなかった吉田は、レスター戦から1週間の流れ、そしてマンチェスター・C戦について次のように振り返った。
「週の前半は、いい状況ではなかったです。カップ戦に負けた後も時間がほとんどないから、リカバリーに費やすしかなかった。
(マンチェスター・C戦は)守備でどこをどう徹底するか、だった。相手がサイドを突いてきて、バックパスしてクロスを上げてくる。こちらはひたすら守る。それはできていたと思う。できていたなかで、カウンターの1発が決まって、試合運びとしては完璧だった。
だけど、やっぱり『70分から』というのが、シティのようなチームとやる時は肝になるというか。苦しくなるんですよね。やっぱり足も重くなってくるし、相手のサブも先発と能力が同じか、もしくはそれ以上の選手が入ってくるので。そこでの交代カードの切り方とかにしても……厳しいかなと思ったけど、やっぱり70分の壁が厚かった。
(記者:守備にまわる展開だっただけに、試合に出たかったのでは?)そりゃ出たかったですよ。出たいですけど、僕だけじゃなくてレスター戦に出た選手は、監督の決定に対して意見を言える立場じゃない。今はしゃべるよりもパフォーマンスで結果を導き出すしかない。我慢かなと。ちょっとずつ信頼と出場機会を増やしていくしかないです」
レスター戦の直後は、チーム全体が大敗のショックに沈んでいた。吉田も「今日はしゃべることはないです」と、ひと言だけ言い残してスタジアムを後にした。
あの試合、吉田はピッチの上で何を感じていたのか――。1週間が経った今、冷静にレスター戦を振り返った。
「もちろん退場者が出た影響もあるんですけど、それを抜きにしても、相手の能力とテンポにまったくこちらが対応しきれてなかった。当たり前のことですけど、ワンツーとかにもまったくついていけてなかった。セカンドボールも全部拾われた。
狭いスペースでも(レスターは)打開がすごくうまいなと思いました。逆に僕らは単調なミス、やってはいけないミスを繰り返して、前半失点を重ねてしまったことによって、集中が切れてしまったという感じがしました。守る形も崩れたし、攻めの形もない。『どうやって攻めるの?』という(感じがした)。逆に今日の試合まで、こうやってよく巻き返したなと思います」
たしかに、開始直後から目についたのは、レスターの出来のよさだった。ポゼッションサッカーに磨きをかけているレスターは気持ちよくパスを回し、サウサンプトン陣内へと押し込んだ。そして、前半10分に先制点を奪ったうえで、サウサンプトンのバートランドが退場……。
この日、サウサンプトンのある英国南西部は暴風雨にさらされていたのだが、雨に濡れたピッチでボールがよく滑り、レスターのパス回しはさらにスピーディーになった。一方、降格圏に沈むサウサンプトンは4点目が入ったあたりで完全に戦意を失ってしまった。
しかもハーフタイムには、レスターのブレンダン・ロジャース監督が「0−0のつもりで攻めろ。手を抜くな」と、若手の多い自軍の選手たちに激を飛ばしていた。対するハーゼンヒュットル監督は試合後、「わたしのキャリアでこんな経験はしたことがない」と意気消沈した様子で語っていた。
ベンチワークや指示で試合の流れを変えるのが指揮官の務めだと思うが、効果的な采配は見られなかった。むしろ「こんな経験はしたことがない」とさじを投げてしまうあたりに、ロジャース監督との力量の差が浮き彫りになったような気がする。
次節は残留圏17位に位置するエバートンとの一戦だ。降格圏18位サウサンプトンとの勝ち点差は現在3ポイント。残留争いを戦っていくうえで、吉田はライバルとの直接対決が重要になると力を込めた。
「やっぱり残留争いに引き込まれないために一番大切なのは、そこらへんのチームに勝ち点を与えず、自分たちが勝ち点を奪うこと。やっぱり、この2年はそれができなくて(残留争いに)引きずり込まれた。そこを肝に銘じて。代表のことはその後に考えます」
9日のエバートン戦が終わると、日本代表の11月シリーズに入る。吉田としてはクラブの勝利に貢献し、気持ちよく代表戦に向かいたいところだが、果たしてどんな結果が待っているか。