TEAM
早 大
慶 大
(早)○徳山、今西、西垣、柴田―岩本
◇(二塁打)田口、中川卓、蛭間

 母校の意地と誇りがぶつかり合う一戦は、3時間42分にもおよぶ死闘となった。中盤までにリードを広げるが、終盤に追い上げられたちまち2点差に。それでも救援陣が踏ん張り、辛くも勝利。『慶大の91年ぶり10戦全勝優勝阻止』という新たな早慶戦史の一頁を刻み付けた。

 1番・.000、2番・.000、5番・.000の新オーダーで迎えた慶大2回戦。打順組み換えは、初回から奏功した。田口、中川卓の連続二塁打で先制すると、その後も連打でつながる。無死満塁で打席に入った瀧澤が右犠飛を放ったかと思えば、32打席連続無安打の7番・.000にも中前適時打が飛び出す。詰まった打球だったが「何とか気持ちで押し切れた」(檜村)。普段は寡黙な檜村にも自然と笑みがこぼれ、ベンチの雰囲気も最高潮。ここまで防御率0.00の森田晃介(2年)に猛攻を浴びせ、一気に流れを引き寄せた。


檜村にうれしい適時打が飛び出した

 その後も試合は早大ペース。5回に敵失で2点を追加すると、8回には.000の采配が見事にはまる。1死一塁の場面で、打席には.000。「蛭間のバッティングセンスに懸けた」と指揮官はランエンドヒットを指示。これに蛭間が応え、左翼線を破る適時二塁打を放ってみせた。投げては先発・.000が好投。味方守備の乱れで2点を失ったが、直球主体の投球で相手打線を翻弄(ほんろう)する。6回を投げ切り救援陣に後を託した。


外角直球にうまく合わせ適時二塁打とする蛭間

 このまま早大スイープで快勝――。と、いかないところが慶大の『粘り』であり、早慶戦の『難しさ』。8回、回またぎの2番手・.000が3者連続四球を与え、無死満塁の大ピンチを背負う。たまらず小宮山監督はベンチを飛び出し、右の技巧派・.000にスイッチ。一段とボルテージの上がった大声援が西垣に襲い掛かる。「足が震えるくらい緊張していた」と西垣。それでも「ホームランを打たれるくらいなら、フォアボールの方がいいかな」と冷静さを取り戻す。押し出し四球と犠飛を許したものの、丁寧にコーナーを突き最少失点で切り抜けた。最終回、西垣が先頭に安打された後、前日1回戦で救援失敗した.000がマウンドへ。「今までで一番気合いが入っていた」と気迫で宿敵をねじ伏せる。総力戦を制し『意地の一勝』をもぎ取った。


柴田(右)が締め試合終了。激闘を制した

 「最高でした」(.000)。試合後のナインには充実感が漂っていた。負ければ終戦というプレッシャーを跳ね返し、慶大の偉業を阻止した誉れは、加藤ワセダの誇りになっただろう。「卒業して10年、20年経った時に『我々は91年ぶり(の10戦全勝優勝)を阻止したんだ!』と、みんなで集まって騒げる」(小宮山監督)。次なる望みはただ一つ。「(慶大の)完全優勝も消せるように」(加藤)。勝って兜(かぶと)の緒を締めて、あす4日の最終戦に挑む。

(記事 石﨑開、写真 柴田侑佳、今山和々子)

黄字は打点付き

早大打者成績
打順守備名前
(左)田口喜将320.314中2四球 左飛 右安 四球 
 西垣雅矢000.000         
 柴田迅000.—         
2(一)中川卓也411.196右2空三  四球空三 一邪 
(三)福岡高輝510.273投安二直  中飛 空三二ゴ 
(右)加藤雅樹420.239中安 二安 四球 見三 空三
 山野聖起000.000         
5(左)瀧澤虎太朗101.091右犠 左飛      
 佐藤純平100.333    一失    
 走中山田淳平000.111      四球  
 今西拓弥000.—         
 田中雅也100.000        空三
6(捕)岩本久重510.211空三 中飛 空三 見三 中安
7(遊)檜村篤史511.073中安 中飛 中飛  三ゴ中飛
8(二)金子銀佑300.267 三失 空三 空三 四球 
9(投)徳山壮磨300.091 三振 見三 見三   
 蛭間拓哉111.250       左2 
早大投手成績
名前
徳山壮磨5316438121.50
今西拓弥6001 0/3031225.87
西垣雅矢4011 0/3111001.74
柴田迅8201002001.74
東京六大学秋季リーグ戦星取表
順位 慶 大法 大早 大立 大明 大東 大勝ち点勝率
慶 大○3-1
○3-1
○4-3
○2-0
○7-1
●4-6
○4-1
○2x-1
○13-4
○10-0
.900
法 大●1-3
●1-3
○2-1
○5-3
○1-0
○2-0
○2-0
○2-1
○2-0
○6-4
.800
立 大●3-4
●0-2
●1-2
●3-5
○5-2
●2-5
○4-0
△5-5
●1-6
○6-1
○1-0
○6-1
○6-0
.500
早 大●1-7
○6-4
●0-1
●0-2
●2-5
○5-2
●0-4
●0-4
○6-2
○4-1
○4x-3
○3-0
.500
明 大●1-4
●1-2x
●0-2
●1-2
△5-5
○6-1
●1-6
●0-1
○4-0
●2-6
●1-4
○4-2
○8-0
.333
東 大●4-13
●0-10
●0-2
●4-6
●1-6
●0-6
●3-4x
●0-3
●2-4
●0-8
10.000


コメント

小宮山悟監督(平2教卒=千葉・芝浦工大柏)

――試合を終えた感想は

勝てて良かったです。

――初回から打線が機能しました

打線を組み換えてね、いいかたちで得点を奪えたというところは、今までの試合とは違って、こちらの思い通りにゲームに入れたので。その点は選手を評価したいなと思います。

――8回の1点も大きかったように思います

状況が状況だったので。いかに点を奪うかという点でいうと、蛭間(拓哉、スポ1=埼玉・浦和学院)のバッティングセンスに懸けたところがあるので。本人に耳打ちして「真っすぐ系と変化球系、どっちの方がコンタクトしやすいのか」と聞いたらね、ピッチャーの投げている姿を見て「真っすぐだったらいけます」という話だったので。真っすぐが来るであろうタイミングで仕掛けたので、決まって良かったです。

――8回表無死満塁となった時点で、ブルペンには西垣雅矢投手(スポ2=兵庫・報徳学園)のほか柴田迅投手(社3=東京・早大学院)も控えていました。その中で西垣投手にスイッチすることを選択した理由は

これも状況が状況なので、ひょっとしたら長いイニングを投げてもらわなければいけなくなる可能性があったので。延長戦ということも頭に入れながらプレーしなければいけなかったので。

――延長戦を見据え、柴田投手を取っておいたと

(柴田は)本当に逃げ切れる状況になったら使おうと考えていたので。9回に柴田が控えている方が安心できるだろうと、そういうことですね。

――慶大の偉業を阻止したという歴史は、特に4年生にとって大きな意義があると思います

ええ、これはね、卒業して10年、20年経った時に「我々は91年ぶり(の慶大10戦全勝優勝)を阻止したんだ!」とね、みんなで集まって騒げるという。そういうトピックを一つ与えることができたということで、監督としてほっとしています。

――慶大の終盤の追い上げは見事でした

もう強かったね。強かったです。あしたまた完全優勝を目指して立ち向かってくる、(きょう)土を付けられたということで牙をむいてかかってくると思うので。それを押し返すだけの力を選手たちがどれだけ発揮できるかと、そういうことだと思います。

加藤雅樹主将(社4=東京・早実)

――しびれる試合でしたね

最高でした。負けたら自分たちの大学野球が終わってしまうというところでしたし、慶応の10連勝も阻止できたので。

――初回の先制をチームとして振り返っていかがでしたか

試合前から絶対に勝つという強い雰囲気があったので、その雰囲気のまま試合に入れたのが(先制に)つながったかなと思います。

――きのうの慶大1回戦が終わってから、チームでどんな話をされましたか

反省ではなく最後の試合を楽しもうという話と、森田(晃介、2年)の対策です。

――あすに向けて一言お願いします

本当に最後なので、みんなで一丸となってきょうの初回みたいな攻撃をして、慶応の完全優勝も消せるように頑張ります。

檜村篤史副将(スポ4=千葉・木更津総合)

――全員で勝ち切った試合でしたが振り返っていかがですか

きのう負けてしまって、何とか慶應に負けを付けたいということで、初回から全員で勢いつけて入ることができました。

――きのうの敗戦後どのようなことを話されましたか

やはり打者陣が打てなかったということと、森田(晃)投手がきょうまで防御率0.00だったということで、コースをしっかり張って思いっきりいこうと言っていました。その対策ができていたので3点取れたのかなと思います。

――初回の安打が大きかったと思いますが振り返っていかがですか

今まで全然打っていなくて、詰まったのですが、何とか気持ちで押し切れたかなと思います。

――慶大に追われる展開は手に汗握りましたが、檜村選手はどのような心境でしたか

慶應は後半追い付いてくるというのは、今までのリーグ戦でもそうだったので、しっかり集中を切らさないようにしました。緊張はしていたのですが、声を出して何とかピッチャーに頑張らせようという気持ちでした。

――4年生としての意地を見せた試合でした

そうですね。それはみんな何とかチームのためにという気持ちが形として表れたからだと思うので、あしたも頑張りたいです。

――あすへの意気込みをお願いします

ここまでやってきた大学の最後の試合が明日になると思うので、楽しんで、絶対勝って、慶大の完全優勝をさせないようにしたいです。

福岡高輝(スポ4=埼玉・川越東)

――慶大に勝利した今の率直な気持ちは

最高です。その一言です。

――きょうの勝因は

初回に一気に3点取れて、チームとして乗っていけたのかなと思います。

――2回の守備のピンチで併殺を奪う好守がありましたね

3塁走者の郡司(裕也主将、4年)が走っていなかったので、二塁で一つアウトを取ろうと思って投げたら、金子(銀佑、教3=東京・早実)のプレーが速くてゲッツーが取れたと思います。

――これで7試合連続安打となりました。打撃の調子は

打撃の調子はすごく良くて、今日は1本しか打てていないんですけど、状態はいいのであしたも打ちたいと思います。

――きのうは盟友・髙橋佑樹投手(4年)から安打しましたね

それまでの打席で完璧に抑え込まれていたので、あそこで打てた時は打った瞬間に手をたたいて喜んだくらい、本当にうれしかったですね。

――あすも対戦が予想されますが

そうですね。打って終わりたいと思います。

――慶大の全勝優勝は阻止しました。あすに向けての意気込みを

きょう勝ってチームはより一丸になれたと思うので、この勢いであすも勝ちたいと思います。

田口喜将(商4=東京・早実)

――きょうの試合を振り返っていただけますか

1番打者の役割が今までできていなくて、出塁することでチームが勢い付くポジションだと思うので、それがきょうできたというのが1番うれしいです。

――2日間にわたり憧れだった早慶戦でのスタメンでしたが、その点についてはいかがですか

今までのリーグ戦とは違い応援の声とかが大きくて最初は緊張してしまい、きのうはあまり結果が出ませんでした。しかしきょうは、最後になるかもしれないと割り切って思い切りプレーしました。

――きょうの試合はどのようなことを心掛けて臨まれましたか

きのう打てなくて積極的に振っていくことが大切だと思ったので、空振りも何個かありましたが振っていけたことは良かったです。

――先制点の起点となった第1打席はいかがでしたか

積極的に振っていこうと思っていましたが、その思いが強すぎてファーストストライクを振れなかったです。だから、何も考えずに来た球を打とうと思ったらあのような結果になったので、とてもうれしかったです。

――あしたへの意気込みをお願いします

あしたも結果が出るかは分かりませんが、あしたも1番を任せてもらえるのであればきょうのような心持ちで役割を全うして、初回に自分の攻撃でチームを勢い付けられるように頑張りたいと思います。

柴田迅(社3=東京・早大学院)

――しびれる場面での登板でしたがいかがでしたか

きのうはもったいないピッチングをしてしまったので、きょうはそのリベンジという意味でも今までで一番気合いが入ったピッチングだったと思います。とにかく抑えるしかなかったので、気合い100パーセントでいきました!

――慶大の応援がすごかったですが

応援がすごいということは試合中からずっと感じていました。ですが、(慶大の)応援がプレッシャーになるというよりは、そのような環境の中で投げられているということを幸せに感じながら投げられていました。きょうはその点は良かったと思います。

――前日打ち込まれた後、きょうの試合までどのように過ごしましたか

きのうはフォームがバラバラだったりして、技術的な面などで思うようなボールが全くいっていない状態でした。ですが、とりあえず過ぎたことは過ぎたこととして。きのうは、試合のビデオをずっと見て、自分のフォームがどうなっているかを確認したり、こうしていれば良かったと思うポイントを整理したりして。きょうにつなげられるように、ということをずっと考えて過ごしていました。

――気持ちの切り替えはすぐにできましたか

なかなか…(笑)。4年生にとって最後の早慶戦ということで、下級生として絶対に4年生を支えなければいけないと思うのですが、きのうの試合はそれができなかったので少し情けないというか。寮に戻り、ご飯を食べた後に、室内練習場でポイントを整理しながら自主練習をしていたのですが、その間で切り替えができたのかなと思います。

――小宮山悟監督(平2=千葉・芝浦工大柏)から何かお話はありましたか

いや、監督さんからは特に何もなかったです。多分自分に任せてくれていたと思うのですが。こんなことで折れるなよ、というメッセージだと自分は思いました。特に言葉はありませんでしたが、奮い立っていました。

――試合後に佐藤純平選手(社4=東京・早実)や加藤選手と笑顔でお話しされてしましたが

いやもう、4年生が喜んでいる姿を見るのが一番うれしかったので。もうとにかく、全勝優勝を阻止できたこともそうですし、きょう勝ったことで4年生のいい笑顔が見られたので、それがうれしくて笑顔ではっちゃけちゃいました(笑)。

――佐藤純選手とはブルペンでどのようなお話をされましたか

きょうのボールの状態などです。純平さんは学部が同じですごく関わりがあり、試合中などもすごく声を掛けてくれたり、きのうの試合後も励ましてくれたりしたので、すごく大きかったと思います。

――あすは現チームで挑む最後の試合になると思います。そこに向けて意気込みをお願いします

もう出し切るだけなので。今までやってきたことを全部出し切って。自分に与えられるのは多分最終回や試合後半の場面だと思うので、しっかりとそこを抑えて、最後に笑って終われるように頑張ります。

金子銀佑(教3=東京・早実)

――今のお気持ちをお願いします

4年生ともう一回試合ができるので、それが一番良かったと思います。

――打順についてはどうですか

きょうはボールに食らい付くことに必死でした。調子は悪くはないのですが、神宮で自分のスイングをするということに対して、少しずれがあるので、そこがなかなか思うようにいっていないのかなと思いました。

――8回表の早大追加点の場面では、サインが出ていたのですか

そうですね。ランエンドヒットのサインが出ていました。

――あすへの意気込みをお願いします

何が何でも最後まで必死にプレーして勝てればと思います!

徳山壮磨(スポ2=大阪桐蔭)

――1年3カ月ぶりの早慶戦での先発になりましたが、きょうを振り返っていかがですか

慶大の10連勝が懸かっている大事な試合を任せてもらって、何としてでも阻止しなきゃいけないっていうのが一番強い気持ちで、4年生と笑って終わるために投げました。しっかり勝てて良かったです。

――前半からかなりハイペースで投げていらっしゃいました

そうですね、でもいつも通りストレートで押していこうと決めていたので、どんどん攻められた結果がいい方向につながったんだと思います。

――公式戦での自己最高球速を記録されていましたね

狙って出したわけじゃないんです(笑)。いつも通りのフォームで腕を振っていたら球速が出たので、調子が良かったですね。

――6回2失点という結果はどのように受け止めていますか

きょうは失点というよりは、チームが勝つためだけに投げようと思っていたので、自分のピッチングで勝ちに貢献できたことが嬉しいです。

――福井章吾選手(慶大2年)との対戦もありました

福井との対戦は、球数的には多くなかったんですけど、慶大の一人のバッターとして打ち取ることができて良かったです。

――勝利したことに対する率直な気持ちをお願いします

(試合が)終わってロッカールームに帰ってきたら、4年生がみんな笑って迎えてくださって、そのうれしそうな顔を見た時が一番うれしかったです!

――あすへつながることとなりました。意気込みをお願いします

このチームで迎える集大成で、自分にできることをしっかりやりきって、みんなで笑って終わります!

西垣雅矢(スポ2=兵庫・報徳学園)

――無死満塁という場面での登板となりました

いや、しびれました(笑)。

――最初の郡司選手の打席では、なかなかストライクが入りませんでした。振り返っていかがですか

正直足が震えるくらい緊張していて、それでもホームランを打たれるくらいなら、フォアボールの方がいいかなというぐらいの気持ちで、中に入らないことだけを意識して投げました。

――慶大スタンドの応援のボルテージも高かったと思いますが、その点についてはいかがでしょうか

本当にすごい応援で、緊張しました。

――その後の打者の正木智也選手(2年)には犠飛こそ許したものの、続けて3つのアウトを取りました

(追加点の場面では)何とか最少失点ではと思っていましたが、少しカットボールが浮いてしまいました。自分でもよく抑えられたなという感じです。

――この日良かった球種はありますか

カットボールとフォークが自分の思う通りに投げられていたので、その2つの球種は良かったと思います。

――3回戦での先発の予定はありますか

いや、(何も)言われてないです。

――3回戦への意気込みをお願いします

あした勝ってこそのきょうの勝利だと思うので、あした勝てるように帰ってから準備したいと思います。