10月14日に行なわれた出雲駅伝は、國學院大が最終6区で駒澤大を逆転。学生三大駅伝で初タイトルを獲得した。令和に入り、新たな風が吹き込んでいる。

 昨年度は青山学院大が出雲と全日本大学駅伝を制して、箱根駅伝は東海大が初の総合優勝。東洋大が箱根の往路でV2を果たすなど、青学大、東海大、東洋大が三大駅伝でトップ3を確保したが、今季は國學院大と、出雲2位の駒大を加えた”5強”による争いの様相を呈している。




出雲駅伝で5位に終わった青山学院大

 続いて迎える11月3日の全日本大学駅伝で、前回王者・青学大の逆襲はあるのか。ほかの有力大学はどう攻めてくるのか。出雲の走りと、各校の戦力から伊勢路決戦を探っていきたい。

 出雲で連覇を狙った青学大は、原晋監督が「出てこい! 駅伝男大作戦」を掲げ、3人が学生駅伝デビューを果たした。1区・湯原慶吾(2年)は区間7位、2区・岸本大紀(1年)は区間トップ、6区・中村友哉(4年)は区間5位。原監督は、「湯原は70点で及第点。岸本は100点満点。中村友は30点。平均は50点ですよ」というジャッジを下した。

 2014年度以降の三大駅伝ではワースト順位となる5位に終わったが、内容は決して悪くなかった。2区の岸本で4位に浮上して、3区・吉田圭太(3年)でトップ争いに加わった。そして4区・神林勇太(3年)が区間新&区間賞の快走で、トップ駒大と同タイムでタスキをつなげる。しかし、5区竹石尚人(4年)が駒大に33秒差をつけられ、優勝争いから脱落した。

「後ろからようやく追いついての5位じゃないので、まだ光は差している。下級生を中心に、自信はついたと思う。層の厚さはまだまだ捨てたものではないので、あとは4年生の奮起を期待したい」と原監督が振り返ったように、4年生は精彩を欠いたものの、1年生から3年生の健闘が目立った。

 出雲のレース当日には、「もうひとつの出雲駅伝」とも呼ばれる5000mの記録会があり、各大学で補欠登録された選手が大挙して出場する。その結果をチェックすると、全日本(8区間)につながる「+2人」の戦力が見えてくる。8着までの結果は以下の通りだ。

①小松陽平(東海大4年)13:59.49
②郡司陽大(東海大4年)14:00.85
③神戸駿介(駒大3年)14:01.12
④河野遥伎(東海大4年)14:04.98
⑤伊豫田達弥(順大1年)14:06.32
⑥増田蒼馬(法政大4年)14:07.26
⑦石川拓慎(駒大2年)14:09.91
⑧酒井亮太(駒大1年)14:10.14

 共に東海大の4年生で、今年の箱根駅伝8区で22年ぶりの区間新を叩き出した小松と、同10区で優勝テープに飛び込んだ郡司がワン・ツーを飾るなど、東海大が記録会では一番目立っていた。駒大も神戸が3着に入るなど、8着までに3人が入った。

 対する青学大は、ベスト8には食い込めなかったが、10着(14:12.40)に飯田貴之(2年)、11着(14:12.64)に大澤佑介(1年)、13着(14:14.41)に鈴木塁人(4年)、18着(14:22.46)に生方敦也(4年)が入っている。

 出雲には、エース格の鈴木、昨年の出雲5区2位の生方、昨年の全日本5区で区間賞の吉田祐也というキャリアのある4年生が出場していない。出雲は5位に終わったものの、優勝した國學院大とは53秒差。出雲は6区間45.1kmだが、全日本は8区間106.8kmの戦いになる。4年生が実力通りのパワーを発揮できれば、2年連続3回目の優勝は十分に狙えるはずだ。

 全日本は、創設して半世紀の節目を迎えた前回から中継所が変更。1区9.5km、2区11.1km、3区11.9km、4区11.8km、5区12.4km、6区12.8km、7区17.6km、8区19.7kmという距離設定になった。昨年のレースから考えると、2区と7区にエースが集結すると見ていい。

 おそらく青学大は、日本インカレ5000mで2年連続の日本人トップを奪った吉田圭太を2区か7区に配置して、”ゲームチェンジ”を仕掛けてくるだろう。吉田が区間でトップに立つことが、優勝への道筋になる。

 では、ほかの有力校はどうか。國學院大は出雲3区で区間新(区間3位)のエース、浦野雄平(4年)が2区、出雲6区で区間賞の主将・土方英和(4年)が7区か8区という布陣が濃厚。日本インカレ1万m4位の藤木宏太(2年)もポイント区間に起用されるだろう。出雲は故障で外れた1万m28分46秒の島﨑慎愛(2年)もエントリーされており、バランスのいい布陣が組めそうだ。

 駒大は前回8区で区間2位と好走した山下一貴(4年)が今回もアンカーに入ると見ていい。今夏に行われたユニバーシアードのハーフマラソンで銀メダルを獲得した主将・中村大聖(4年)は、出雲ショックから立ち直っていれば、7区が有力だ。出雲3区で区間新デビューを果たしたスーパールーキー田澤廉は2区での起用が予想される。7区、8区のロング区間が強力なだけに、終盤での大逆転も期待できる。

 東洋大はエース相澤晃(4年)の存在感が増している。今夏はユニバーシアードのハーフマラソンで金メダルに輝き、出雲駅伝は3区で区間賞。前回の全日本は最終8区で区間賞を獲得しているが、今冬は1万mで記録を狙っており、2区に入る見込みが高い。ただ、今季は西山和弥(3年)に安定感がなく、1万m28分台の渡邉奏太(4年)と吉川洋次(3年)は出雲を外れた。この3人がどこまで復調できるかで、オーダーも変わってくる。

 東海大は、前回の全日本で3区区間賞の主将・館澤亨次(4年)が、出雲に続いて全日本もエントリーから外れたが、選手層の厚さはナンバー1だ。終盤のロング区間は、出雲でアンカーを務めた西田壮志(3年)と、今季はハーフマラソンで活躍している名取燎太(3年)のふたりが候補だろう。

 出雲ではトラックで学生トップクラスのタイムを持つ關颯人(4年)を起用しなかったが、前回は2区でトップを奪っている。バリエーションが豊富すぎて、正直、区間配置は読みにくい。両角速監督は、「出雲3位、全日本2位、箱根1位でいいと思っています」と話しているが、全日本はどんな戦略で臨むのか。

 前回から距離が変わったため、勝利の方程式はまだ固まっておらず、意外な戦略で勝負を仕掛けてくるチームもあるかもしれない。出雲に続き、大混戦のレースになりそうだ。