開幕カードの連敗が響き、既に優勝の可能性が消滅している早大。対して、開幕から連勝街道をひた走り、同校91年ぶりの10戦全勝優勝を狙う慶大。華の早慶戦を前に、両校の明暗ははっきりと分かれてしまった。

 『投高打低』が顕著に表れている東京六大学秋季リーグ戦(秋季リーグ戦)。しかし慶大だけはチーム打率が2割6分3厘と上々だ。そのけん引役となっているのが2番・下山悠介(1年)だ。開幕戦以外の7試合で安打を記録しており、打率はリーグ1位の4割3分3厘。昨季の早慶戦では3試合連続で安打を放つなど、大舞台への強さもうかがえる。先日のドラフト会議でプロ球団から指名を受けた選手たちもやはり手ごわい。郡司裕也主将(4年)は得点圏打率5割、打点6と4番としての役割を全う。前半戦で不調だった柳町達副将(4年)も、明大1回戦で先頭打者本塁打を放つなど徐々に調子を上げてきている。


今季の郡司は12四死球とつなぎに回ることも

 迎え撃つ早大投手陣は第2先発・が絶好調だ。ここまで4試合に先発し、防御率は1.50。中でも東大2回戦ではリーグ戦初完投初完封勝利を達成した。「自分が投げる試合は全部勝つ」と意気込む右腕の快投に注目が集まる。救援陣では抑えのが安定感を維持している。ここまで6試合に登板し、防御率は昨季に続いて0.00だ。逆に2メートル左腕・は直近3試合連続で失点するなど苦しいマウンドが続いている。この穴を埋めるべく、野口陸良(スポ4=埼玉・早大本庄)の活躍にも期待したい。

  慶大投手陣の目玉も第2先発だ。抜群の制球力を武器にその座を射止めたのは森田晃介(2年)。テンポの良い投球で凡打の山を築き上げ、先発した全4試合で自責点0と圧倒的な成績を残している。また、エース髙橋佑樹(4年)も後半にかけて調子を上げてきており、明大1回戦では今季初勝利も記録。この両先発の攻略が、宿敵打倒のための最優先課題だろう。また、救援陣も粒ぞろいだ。プロ指名を受けたパワーピッチャー津留﨑大成(4年)や、ルーキーながら堂々とした投球を見せる増居翔太(1年)。他にも好投手が複数控えており、大久保秀昭監督の采配にも注目が集まる。

 盤石の慶大投手陣を打ち崩すには、4年生の活躍が必要不可欠だ。今季初めてスタメンの座を射止めたが打線をけん引する。「夢」と語る大舞台で、これまでの努力を結実させたい。また、序盤不調に苦しんでいたはさすがの修正力で打率を2割台後半まで戻してきた。同じく不調だったも立大戦で4安打を放つなど調子は上向き。不安が残るのはだ。ここまで打率0割台と不調から脱却できておらず、立大2回戦ではついに中軸から外れてしまった。だが、ここで終わる選手ではない。眠れる獅子が目覚めた時、宿敵打破への扉が開く。


状態が上向いている早大の主砲・加藤

 優勝の可能性はなくとも、早大ナインの思いはただ一つ。『慶大を倒して有終の美を飾る』。エンジの誇りに懸けて、この戦いだけは譲れない。塾の完全優勝を阻むため、そして何より秋季リーグ戦を笑顔で終えるため、稲穂戦士は最後の大舞台に挑む。

(記事 池田有輝、写真 荻原亮、島形桜)