専門誌では読めない雑学コラム木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第228回 昔、ラウンド時の服装で「カジュアル化」の提案みたいなのがありました。別にTシャツでゴルフをやってもいいんじゃないか、と。 軽井沢ゴルフ倶楽部の理事長、白洲次郎氏は、…

専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第228回

 昔、ラウンド時の服装で「カジュアル化」の提案みたいなのがありました。別にTシャツでゴルフをやってもいいんじゃないか、と。

 軽井沢ゴルフ倶楽部の理事長、白洲次郎氏は、日本で初めてジーンズを穿いた人として有名ですが、その勢いなのか、Tシャツでのプライベートラウンドを当時は認めていたとか。これは、あくまでも都市伝説ですが、軽井沢ゴルフ倶楽部は完全プライベートな、エクスクルーシブな空間だったので、結構あり得た話かもしれません。

 じゃあ、現在「好きな服装でゴルフをしてよろしい」となったら、みんなTシャツでゴルフをするでしょうか?

 答えは「ノー」だと思います。

 個人的な見解でも、夏の酷暑時期に、一度試しにTシャツで打つ程度で、「やっぱりポロシャツがいい」とすぐに戻るんじゃないでしょうか。

 服装が自由なのに、なんでポロシャツを着たがるのか? それは、ポロシャツがしっくりくるからです。

 また、いくら「服装フリー」と言っても、ひとりだけTシャツだったら、相当な視線を浴びることになるでしょう。知らない人から質問を受けるかもしれません。結局、そういうプレッシャーを受けて、プレーが疎かになってしまうのはどうなのか……。素直にラウンドを楽しみたいなら、ポロシャツが一番です。

 あと、ユニフォームを着たい願望が人間にはあります。アマチュアゴルファーとしては、たとえ100を叩いても、ポロシャツという”ユニフォーム”を着れば、選手としてプレーした誇りが残ります。

 じゃあ、ユニフォームと練習ウエアの違いは何か? 

 それは、襟です。

 ゴルフの練習場では、どちらかというと、ポロシャツより、Tシャツでボールを打っている人のほうが多いですよね。プロ野球選手なども、ランニングやキャッチボールなどの基礎練習では、Tシャツでやっている選手をよく見かけます。

 練習はルーズなTシャツを着て、ルーズな雰囲気でやるほうが、体の動きもスムーズになります。

 ですが、正式なラウンドや競技、試合となると、話は別です。「襟を正す」という言葉があるように、襟があると、身が引き締まる効果があります。しかも、制服の名残(なごり)的なイメージも。

 ポロシャツを着ると、不思議とラウンドモードになる。そういう人が多いのではないでしょうか。

 というわけで、服装のことなど、人はいろいろと反抗期になることもあったでしょうが、いつしか性善説が働いてよき紳士になる、という話を引き続きしていきたいと思います。

 さて、ポロシャツの襟の効果は理解できました。続いて、問題となるのは、裾です。

 最近の若者は、Tシャツやポロシャツの裾をズボンの外に出すのが一般的です。ゴルフのラウンドにおいても、多くの若者はそうしています。

 けど、オヤジとしては、ゴルフ場に頼まれなくても、ポロシャツの裾をズボンの中に入れます。お腹が冷えますからね。

 おかげで、今年の夏は猛暑でしんどかったです……。ポロシャツやTシャツの裾をズボンの中に入れていると、田園都市線のホームで奇異な目で見られましたからね。

 そのヘンテコなオヤジへ向けられる視線を、私はどうかわしたか。実は、左腕に柄モノのシャツを1枚ぶらさげておりました。そうやって、「この人、今シャツを脱いだから、ポロシャツの裾がズボンの中に入ったままなんだな」と理解させたのです。

 その上着的な柄シャツは、冷房の強い喫茶店や映画館で大活躍。ですから、自分的には不格好には見えなかったつもりですがね……。誰も「キミ、変な恰好だよ」とか言ってこなかったですし、よしとしますか。

 ちなみに、チコちゃん(※)ネタですが、ポロシャツって、ポロのユニフォームなのか?
※素朴な疑問などに答える、NHK総合のバラエティ番組『チコちゃんに叱られる!』

 これは、『ラコステ』がポロのユニフォームからヒントを得て、テニスウエア用に開発したのが最初だそうです。それを、さらにゴルフ用に流用して、今のゴルフウエアになったとか。

 そこで思ったのは、テニスは動きが激しいのもあって、多くの選手がポロシャツの裾をズボンの外に出しているということ。そんな動きの観点で言えば、ゴルフのポロシャツも裾を出したほうがいいのではないか? という疑問が浮かびます。

 ですが、みなさんもご存知のように、今や伸び縮みする素材の開発、伸縮自在な編み込み方などによって、柔軟性のあるポロシャツが商品化されています。ゴルフ程度なら、裾をズボンの中に入れても何ら問題ありません。

 ということで、オヤジたちは心配することなく、ポロシャツの裾をズボン中に入れています。襟のついたポロシャツを着るのと一緒で、そうしたほうが、不思議とラウンドモードになる、という人が多いのかもしれませんね。

 そんな、ゴルフには欠かせないポロシャツ。有名ブランドのものだと、1万5000円ぐらいしますかね。でも、それと同等か、それ以上のものが、ユニクロでは4000円以下で売っています。

 最近、ユニクロのポロシャツはすこぶるいいです。布地が薄いのにしっかりしていて、伸縮性も素晴らしい。海外に行く時に畳んで持っていきましたが、通常のポロシャツの半分の容量に収まって驚きでした。

 そのうえ、皺もほとんどつかないし。これは、売れて当然ですよ。

 また、夏のゴルフだと、ポロシャツは直射日光を受けて、しかも汗をかいたり、塩をふいたりする影響なのか、すぐに変色しがちでした。せっかく高いポロシャツを買ったのに、1回でダメになるケースもありました。

 そう考えると、ここ20年でポロシャツの耐久性はすごく高まっています。気に入ったブランドのポロシャツは、ぜひまとめ買いしたいものです。

 ところで、夏場というと、必ず「短パン&ショートソックス問題」が浮上しますよね。

 短パンについては、脇にポケットがなければ、おおよそOKですかね。サイドポケットや迷彩柄がNGなのは、軍隊を想起させるからでしょうか……って、考えすぎですかね。

 まあ、そこは置いておいて、短パンでラウンドする場合、ショートソックスは基本禁止というコースが多いです。そう言われると、昔は「足のくるぶしまで日焼けしたいから」と、ぶつくさ文句を言っていました。

 でも、今は逆です。しっかりハイソックスを穿いています。

 それは、足が虫に刺されるからです。歳をとると、虫から狙われやすいのか、ものすごく寄ってきます。家で寝ていても、ダニにも襲われて大変!? ダニにくわれると、2週間ぐらい腫れまくって、ほんとしんどいです。仕方がないから、煙の出るくん煙剤を炊いて駆除しました。

 短パンでショートソックスだと、ボール探しの時もつらいです。草負けして、足が痒くなったり、擦れて傷ついたりすることも……。

 だから、ショートソックスでラウンドすると、同伴メンバーのボール探しにも積極的にはなれない――結果、「あいつは性格が悪くて、ボール探しを手伝わない」と、評判を落とすことになってしまいます。

 今なら、「ハイソックスを絶対に穿け」と言われれば、喜んで穿きます。むしろ、膝の上まで伸ばして「ニーハイ」状態にしたい……って、それじゃアキバ系のアイドル、初音ミクじゃん……って、そっちかよぉ~。



歳を重ねると精神的にも落ち着いて、昔からの慣習が馴染んでくるんでしょうね...

 とまあ、反抗期だった昔は自由の名のもとに、ラウンド中の服装など、いろいろとケチをつけて、改善を訴えてきましたが、オヤジになると、その古臭い慣習や制度がだんだんと合ってくるというか、馴染んでくることに気づきます。

 何事においても、年寄りと若者が常に意見を言い合って、それぞれ刺激を受けて、文化に発展していくんですな。ゴルフにおいては、圧倒的に若者が少ない。そのため、わりと保守的な傾向が続いていくんじゃないですか。

 最近では珍しく、ゴルフ界はまさしく”ジジイ天下”です。

 そんななか、ミニスカート禁止のコースっていうのも、結構あるんですよね。そこは謎です。まさか、ミニスカ女子が大挙してやってくると、ジジイたちがプレーどころではなくなってしまう……そういうことなんでしょうか?