台風21号に見舞われ、日程が月曜日にまでずれ込んだZOZO CHAMPIONSHIP(千葉・習志野CC)。中止となった2日目(金曜日)以降は、水分をたっぷりと含んだ緑の木々や芝がキラキラと光り、世界のトップゴルファーたちを照らして最高峰の…
台風21号に見舞われ、日程が月曜日にまでずれ込んだZOZO CHAMPIONSHIP(千葉・習志野CC)。中止となった2日目(金曜日)以降は、水分をたっぷりと含んだ緑の木々や芝がキラキラと光り、世界のトップゴルファーたちを照らして最高峰の戦いを演出していた。
タイガー・ウッズが初日から首位を走り、今年の全米オープン覇者であるゲーリー・ウッドランドやロリ−・マキロイといった選手が、上位に顔を出しては沈んでいくような状況のなかで、初日から最終日までゴルフ界のレジェンドの背中を追い続けたのが、松山英樹だった。
4日間通して奮闘し、大会を盛り上げた松山英樹
初日はウッズと1打差の単独3位で終え、無観客試合となった土曜日の第2ラウンドでもスコアを3つ伸ばして3位タイをキープした。日曜日は第3ラウンドを5アンダーで回り、日没サスペンデッドとなった最終ラウンドも、12番までに通算15アンダーまで伸ばし、2番手につけた。
夕暮れのコースで、松山は30ホールを回った長い土曜日をこう振り返った。
「さすがに疲れていないということはないですね(笑)。残ってくれたお客さんがあと押ししてくれたと思います。ボギーを打ったあとに、いつもなら崩れそうなところを、踏みとどまれているのは、そういう力がすごく大きい」
もはやライバルは、ウッズしかいなかった。
「上の人はね、3日目終わって単独トップなら、かなりの確率の高さ(で勝つ)。まあそれを、どうにかして勝ちたいなと思っているんですけど……。なかなかいいプレーはできなかったですけど、(最終ラウンドに入って)最後にふたつ、伸ばすことができた。残り6ホール、全力を出してやりたい」
この時点で、ウッズとは3打差--そして、月曜日を迎える。
ウッズは残り7ホールの戦いを前に、ひとつ前の組でプレーする松山だけをライバル視し、スコアの動きを見守っていた。そんななか、ウッズ自身が12番(パー4)で2打目をバンカーに入れ、スコアを落としてしまう。ウッズが振り返る。
「(前日に)ヒデキは11番と12番でバーディーを決めた。自分は今日、(12番で)いきなりのミスを犯したので接戦になった。18番(パー5)に向かう時に、ヒデキがティーショットを打つのを確認した。フェアウェーウッドで打ったショットに不満そうだったので、右に曲げたと思った」
松山が18番のティーグラウンドに立った時点で、ウッズとは2打差。松山は「タイガーがスコアを落とすことはないと思っていた」と言う。ゆえに、追いつくにはイーグルが必須だったが、1打目は右のバンカーに。
それでも、松山は3Wを手にして果敢に2オン、つまりイーグルを狙いにいった。
「イーグルを取れば、ワンチャンスあるかなと思ったけど、普通なら(バンカーで)3Wを持たないですよね……」
結局、果敢なショットはわずかにグリーンから外れ、再びバンカーに。それを寄せ切れず、パーフィニッシュとなった。
「(3打目のバンカーショットはチップインを狙って)ギリギリを狙っていたんで仕方ない。(そういうショットを)打てる技術がまだない。寄ることもなく、入ることもない。またひとつ、課題が見つかりました」
ウッズは、松山の18番のプレーをしっかり把握できず、ちょっとした勘違いもあった。ウッズは言う。
「自分が18番のセカンド地点にたどり着いた時、彼が2打目をバンカーからグリーンに乗せたことを知った(実際には乗っていなかった)。リーダーボードも遠くて確認できなかったので、最後をパーであがれば、1打差で優勝できると思ったが、結果的に(ウッズ自身が18番でバーディーを奪い)3打差となり、驚いている」
常にウッズにリードされた展開とはいえ、松山は4日間食い下がった。
「悔しいけど、これでタイガーがまた来年来るんじゃないですか」
松山は、前週に韓国で開催されたザ・CJカップでも3位タイと優勝争いに絡み、調子は上向きと見ていい。
「これを続けて、またいい状態をキープできれば……」
2017年8月のWGCブリヂストン招待以来となる米ツアー6勝目も近いだろう。