総合的な選手の貢献度を表す指標「WAR」1位のベリンジャーが2位以下を引き離す MLBでもワールドシリーズが終われば、MVPなど各部門の表彰が行われる。今季のMVPについて予想しよう。 MLBのMVPは、NPB同様に記者投票で選出される。し…

総合的な選手の貢献度を表す指標「WAR」1位のベリンジャーが2位以下を引き離す

 MLBでもワールドシリーズが終われば、MVPなど各部門の表彰が行われる。今季のMVPについて予想しよう。

 MLBのMVPは、NPB同様に記者投票で選出される。しかし、選定基準はNPBとは微妙に違う。

・ポストシーズン(地区、リーグシリーズ、ワールドシリーズ)の成績は加味されない
・リーグ優勝チームから選ばれることが多いが、例外もある。
・主に野手から選出される。
・投打タイトルについてはあまり考慮されない。
・WARの数値が重要視される。

 WAR(Wins Above Replacement)とは、セイバーメトリクスによる打撃、走塁、守備、投球を総合的に評価して選手の貢献度を表す指標。投手も野手も比較することができ、近年、選手評価や契約などで最重要視されている。

 MLBでも投手がMVPになるケースが散見されるが、それは投手、野手を通じてWARが1位になったケースに限られる。現在では、投手だけのMVPは「サイ・ヤング賞」とみなされている。

 ナショナル・リーグのMVP候補についてみていこう。WARは、Baseball Reference発表のもの。※は投手。

○過去10年のナ・リーグのMVP(チーム名/地区順位)WはWARとそのリーグ順位

2018年 Cイエリッチ(ブルワーズ/中1)36本 110点 率.326 W7.6(5)
2017年 Gスタントン(マーリンズ/東2)59本 132点 率.281 W7.9(1)
2016年 Kブライアント(カブス/中1)39本 102点 率.292 W7.4(1)
2015年 Bハーパー(ナショナルズ/東2)42本 99点 率.330 W10.0(1)
2014年 Cカーショー(ドジャース/西1)21勝3敗 防御率1.77 W8.2(1)※
2013年 Aマカッチェン(パイレーツ/中2)21本 84点 率.317 W7.9(2)
2012年 Bポージー(ジャイアンツ/西1)24本 103点 率.336 W7.6(1)
2011年 Rブラウン(ブルワーズ/中2)33本 111点 率.332 W7.7(4)
2010年 Jボット(レッズ/中1)37本 113点 率.324 W7.0(4)
2009年 Aプホルス(カージナルス/中1)47本 135点 率.327 W9.7(1)

 10年間で9人が野手だ。また6人がWAR1位。地区の優勝チームから6人が選出されている。これを見てもWARが重要視されていることがよくわかる。

○今季のナ・リーグWAR上位5人

1 Cベリンジャー(ドジャース/西1)47本 115点 率.305 W9.0
2 Jデグロム(メッツ/東3)11勝8敗 防御率2.43 W7.9※
3 Cイエリッチ(ブルワーズ/中2)44本 97点 率.329 W7.1
4 Kマルテ(ダイヤモンドバックス/西2)32本 92点 率.329 W6.9
5 Sストラスバーグ(ナショナルズ/東2)18勝6敗 防御率3.32 W6.5※

 西地区で優勝したドジャースのベリンジャーが1位。ナ・リーグではメッツの新人アロンソが53本塁打でタイトルを取ったが、WARは5.0。アロンソはDHが多く、守備面でのWARが伸びなかった。ベリンジャーは右翼手としての守備能力も加味されてWAR1位だ。

 2位には投手のデグロムが入っているが、WARでのベリンジャーとの差は大きい。またデグロム所属のメッツは東地区3位。むしろWAR3位で、2年連続首位打者のイエリッチが対抗馬だろうが、ブルワーズも優勝していない。

 今季のMVPは、ドジャースのコーディ・ベリンジャーが最有力ではないだろうか。(広尾晃 / Koh Hiroo)