チャンピオンズリーグ(CL)グループリーグ第3節。バルセロナはアウエーで開始早々にリオネル・メッシが得点し、1-2とス…

 チャンピオンズリーグ(CL)グループリーグ第3節。バルセロナはアウエーで開始早々にリオネル・メッシが得点し、1-2とスラビア・プラハに勝利した。下馬評どおり、グループ首位を走っている。

 しかし、取り巻く状況は不穏なムードに包まれている。

「悪戦苦闘」

 地元紙『エル・ムンド・デポルティーボ』はスラビア・プラハ戦後に見出しを打ち、不安点を列挙している。序盤はプレー強度の高さを見せたものの、その後は失速。プレースピードは停滞し、守備は脆さを露呈した。また、チームは同節で最も走行距離が少なく、フィジカル面でも後手を踏んでいたことを伝えている(これについては最も走ったレバークーゼンが凡庸な試合でアトレティコ・マドリードに敗れているし、必ずしも不調の原因とは言えないが)。


勝利は重ねているが

「不調」と言われるバルセロナのリオネル・メッシ

「自分たちのプレーを見つめ返すべき時だ」

 チームの不調をゴールキーピングで救い続けているマルク=アンドレ・テア・シュテーゲンは、警鐘を鳴らしている。今シーズンは勝利を収めながらも、凡戦が続く。ドイツ人守護神がいなかったら、今シーズンは”惨事”になっていたゲームが少なくない。最強を誇った攻撃は散発で、守備はまるで裸城のようだ。

「このままでは、欧州王者になんてなれるわけない!」

 スラビア・プラハ戦後のロッカールームでは、戦い方に議論が噴出したと言われる。メッシを擁するバルサは失墜しつつあるのか?

『エル・ムンド・デポルティーボ』は、クラブ関係者がリベルタドーレス杯を視察し、フラメンゴのセンターバック、ロドリゴ・カイオと、グレミオのFWエヴェルトンに食指を動かしている事実をスクープしている。カイオは今年1月にも契約内定までいっただけに、驚くには値しない。2人のブラジル人は実力者でもある。

 懸念は、バルセロナが外国人選手獲得で問題を解決しようとしている姿勢にあるだろう。

 今シーズンはすでにアントワーヌ・グリーズマン、フレンキー・デ・ヨングの2人を、大金で獲得している。2人は世界標準の選手であるが、有力選手が増えるたび、バルサはバルサらしさを失いつつある。ここ数年は、大金を支払って選手を獲得しても、適応できないケースばかりだ。

 バルサのアイデンティティは下部組織「ラ・マシア」にある。カルレス・プジョルも、シャビ・エルナンデスも、アンドレス・イニエスタも、そしてメッシも、いずれもラ・マシア出身。バルサのメカニズムを体に染み込ませることによって、唯一無二のプレーを見せることができた。

 しかし、経験も実力もある外国人を各ポジションに獲得することによって、ラ・マシアの若手の道は閉ざされる。ラ・マシアの至宝とも言われるアンス・ファティは、刮目すべき活躍を見せていたにもかかわらず、最近は出場機会がすっかりなくなった。カルレス・アレニャーもメンバー入り当落線上。また、リキ・プッチはバルサBが主戦場だ。

 一方、バルサのユースに昇格せず、ディナモ・ザグレブに移籍したダニ・オルモはすでにチャンピオンズリーガーとして勇躍している。

「バルサはラ・マシアだ」

 今のバルサの始祖とも言えるヨハン・クライフは言ったが、その伝統が崩れつつある。

「バルサの2人のスカウトが、ブラジルで開催されるU-17W杯で”宝石たち”を視察」

『エル・ムンド・デポルティーボ』はそんなタイトルで、若手発掘に力を入れる様子を特集している。その筆頭として、日本U-17代表の西川潤(セレッソ大阪)が紹介されていた。2020年に18歳になったあとに、契約する見込みとも言われる。安倍裕葵に続く日本人若手となるかもしれない。

 ただ、18歳で契約する選手は、ほぼプレースタイルは確立されており、シャビ、イニエスタ、メッシとは自ずと違う。たとえば久保建英(マジョルカ)は、今でもバルサの匂いがする。単純にうまい、速いではなく、ボールの動かし方やポジションの取り方というのか。それは幼少期をバルサで過ごしたことによるものだ。

 久保が帰国せざるを得なかったように、18歳未満の選手契約は禁止になってしまった。育成型のクラブは、岐路に立たされている。メッシのように若くして国外から選手を招くのに、条件が厳しくなったのだ。

 はたして、メッシ後のバルサを誰が支えるのか?

 メッシは時代の寵児だった。スラビア・プラハ戦で、15シーズン連続でCL得点記録を達成。138試合で113得点というペースは傑出している。ハットトリックは6回。まさに不世出の選手だ。

 そのメッシも、バルサ独特のメカニズムのなかにいたからこそ、これだけ輝けたとも言える。それはアルゼンチン代表での満たされないプレーでも瞭然だろう。メッシがいたからバルサは最強だったし、バルサだったからメッシは鬼神のごとく暴れられた。

 しかし、メッシも32歳だ。

 バルサは1試合少ない状況で国内リーグも2位で、結果そのものは悲観するべきではない(レアル・マドリードとのクラシコは12月18日に延期された)。しかしこの内容で負けたら--。指揮官エルネスト・バルベルデのクビも危うくなるだろう。

 次戦は10月29日。カンプ・ノウでバジャドリードと対戦する。