関東大学秋季リーグ戦も3試合を終え、法大と並ぶ無傷の3連勝で首位を走る早大BIG BEARS。2年連続のリーグ制覇へ向け邁進するチームを支えているのは、第3終了時点でリーグ1位の獲得ヤード数を誇るパスユニットだ。今回は緊迫した場面でのロングゲインなど、随所で活躍の光るパスユニットの中からWR伊藤裕也選手(国教4=埼玉・早大本庄)とWR小貫哲選手(教3=東京・戸山)にお話しを伺った。


※この取材は10月5日に行われたものです。


「関西とかに通用するレベルにはまだ全然足りていない」(伊藤)


3節までのユニットとしての出来を振り返る伊藤選手

――前節の中大戦を振り返っていかがでしたか

伊藤 自分的にはけっこう悔しい場面があって、TDできたプレーを2回とも取れなかったので、個人的はあまり満足しなかったですね。

小貫 結果的にはパスユニットでいいとこまで持っていって勝てたっていう印象があるので、そこは良かったなって思うんですけど、自分的には自分がもう少し活躍してチームの勝利に貢献したかったなという感じですね。

――今シーズン、WRユニットとしてはロングゲインしてあと少しのところでTDに届かない、惜しいプレーが何度か見られますが、あと少しを届かせるために必要なことは何だと思いますか

伊藤 取ってからの最初の1歩が遅かったかなっていうのが僕としての課題で、ポジションの練習から意識しているので次の試合ではTDを取りたいなと思っています。

小貫 日体大戦の場面はロングパスが決まって良かったなっていうのはあるんですけど、あそこでTDが取れなかったのは僕の取った後攻める姿勢が足りていないからであったり、QBとパスのイメージを合わせるというか、もう少しリードで取れてばもっと走れたとかっていう課題が出たので、細かいところにもこだわっていくことでもっと良くなっていくんじゃないかなと思います。

――チームは3連勝できていますが、3試合を振り返ってパスユニットの出来としてはいかがですか

小貫 やっぱりパスユニットはこれからレベルを上げていくために、個人の力で勝つというか、翼さん(WRブレナン翼、国教4=米国・ユニバーシティラボラトリースクール)とかに象徴されるんですけど「この人に投げていればパスが通る」みたいに、WR1人1人が日々の練習からアサインメント関係なしに自分に投げれば通るっていうくらいの姿勢やプレーをフィールドで出せるようにしたいなっていうのを今までの3試合で思いました。

伊藤 小貫がほとんど言ってくれたんですけど、個人の能力は僕も含めてなんですけど関西とかに通用するレベルにはまだ全然足りていないですね。3試合での収穫としては、アサインメントで新しいプレーを使ったりとかではなく、ずっとやってきたベースのプレーが相手に通用できているっていうのが大きいかなと思います。

――パスの後のランアフターキャッチ(RAC、ラック)でのゲインが多いイメージですが、ラックの際何か意識されていることはありますか

伊藤 正直、偶然というかラッキーなラックが多くて、中大戦もTDに持っていけた場面でいけていないのは良くないんですけど、僕は今年から試合に出るようになったばかりで経験も少ないので、とりあえず取ったら悩んだりせずに、タテへのスピードだけを意識して無心で前にいくことだけを考えてますね。

――小貫選手はリターナーをされることもありますが、ボールキャリーで意識されていることはありますか

小貫 リターナーは今1本目で入れていないんですけど、ボールキャリーする時はできるだけ全体を見るようにしています。全体を見過ぎると思い切ったプレーができなくなりがちなので、全力で走れるように意識はしていますね。

「思い切ったプレーができるように意識してます」(小貫)


ロングパスについて話す小貫選手

――ロングパスを追いかけている際はどのようなことを考えながら走っていますか

小貫 僕は取ることを考えると動きが硬くなってしまうので、ギリギリまで取ることは考えないようにしています。ふって振り向いたらボールが来てて、考える間も無く取らなきゃいけないみたいな状況をあえて作って、思い切ったプレーができるように意識してます。 プレーにもよるんですけど、ロングパスはQB見ながら走るよりも見ずに走った方が速いので、プレーによって決めたQBを見るタイミングまではなにも考えずに走っている感じですね。

伊藤 ロングパスだけじゃないんですけど、僕はキャッチのことを意識しないで、相手とどう駆け引きして自分が空くようにするかとかのキャッチまでの過程を1回考えています。ロングパスだとスピードが重要だなと思うので、駆け引きの中で自分がどのように走ったら相手をぶち抜けるかっていうのを考えながら走っています。

――QBの柴崎哲平副将(政経4=東京・早大学院)の印象はいかがですか

伊藤 僕はあまり試合とかで経験を積んできた選手じゃないので、練習の時から「こう走ったら投げやすいからこう走ってよ」とか細かいところまでアドバイスをくれたり、細かいところまでタイミングを合わせてくれたりとか、こうした方がいいよっていうことを聞いたりしています。たくさんタイミングを合わせることが重要かなと思っていて、その中でもしっかりと引っ張ってくれているので、今のところタイミングとかはいい感じで来ているなと思います。

小貫 変な人ではあるんですけど。(笑)フットボールに対しては、パスユニットに関して本当に考えている人だと思います。レシーバー側の気持ちを汲んでくれるというか、考えていることを汲んでくれる選手です。昨年までは向こうがこっち側の意図を汲んでくれるっていうのに頼りっぱなしでプレーしていたところがあったんですけど、今年は逆に自分側のイメージとか要求とかを向こうに伝えて、両方で一緒に考えを練っていくようになりました。

――今シーズン、ここまでパスユニットとしては被インターセプトが0できていますが、その点はどのように捉えられていますか

伊藤 レシーバーのミスでインターセプトに繋がってしまうこともあるんですけど、今のところパスユニットとしては落球とかもなくて、レシーバーはキャッチが全てだというのはレシーバーの中で意識してやっているので、インターセプトがないことに繋がっているかは分からないんですけど、タイミングとかも細かい部分までコミュニケーションを取ってやれているのが試合に出ているのかなと思います。

――WRブレナン翼選手の印象はいかがですか

伊藤 一言で言っちゃうとバケモノのですね。身体もでかいしフットボールのスキルも人一倍知っているので、僕とかが真似できないプレーを練習からやっていて「すげぇ」っていう存在ですね。でも、フットボールではスーパースターですけど、普段の生活では普通の人間なので、学部も一緒で仲良くさせてもらってるので普段は見てて面白いですね。

小貫 すごい試合を楽しんでるなぁっていう印象です。アメフト楽しいんだろうなって思います。上手いですし、一回試合中だけ翼さんになってみたいですね。ここ一番の集中力というか、良い場面でキャッチしてくれますね。

――伊藤選手と小貫選手のお互いの印象はいかがですか

伊藤 僕からしたら小貫はめっちゃ上手いですし、僕が留学行ってる時から試合に出ていて、しかも努力家なので小貫も僕からしたら翼(ブレナン)みたいにすごい選手です。努力してる部分とか、フットボールスキルにおいても練習中から僕が学ぶことがたくさんあって本当に凄いなと思っています。

小貫 裕也さん(伊藤)に限らず4年生全員に言えることなんですけど、僕から見ると4年生って必ず1つストロングポイントがあって。裕也さんの場合はフィジカルも凄いですし、ブロックも強いし、球際もめちゃくちゃ強いなという印象があります。留学で裕也さんがいない間から僕は試合に出ていたので試合慣れしているんですけど、裕也さんは今シーズンから試合に出場し始めている中でも結果を残してるっていうのは凄いと思います。僕自身、他の選手と比べて抜きに出てるストロングポイントがあるかって言われたら、これだと言い切れるものがないんですけど裕也さんはそれがあるなっていう印象ですね。なのでめちゃくちゃ尊敬してます。

――「ここに注目して見てほしい!」というご自身のストロングポイントはありますか

伊藤 僕は球際ですかね。特別に足が速かったりするわけでもないですし、スキルとかも人一倍凄いわけでもないんですけど取ることに関しては「取ってやろう」という気持ちでプレーしているので、そういったところが伝わればいいかなって思っています。

小貫 あえてのラックですかね。めちゃくちゃ自信があるわけじゃないですけど、これから強みにしていきたいという思いを込めてです。

――ここから少しお1方ずつにお話を伺います。まずは伊藤選手。昨年までは試合への出場がありませんでしたが、今シーズンは試合に出場し続けている中で迎えるシーズンですが、そこへ向けた心境はいかがですか

伊藤 今までの3年間はほんとに1回も試合に出たことがないので、今年4年生になって自分が試合に出るには何が足りないかっていうのを考えたんですけど、それがアサインメントの理解力で。そこを春シーズンが始まる前に整理して、春シーズン中に試合に出させていただいた時に少し結果が出たので、留学に1年間行っていた分他の4年生と比べて経験とかもないですし、1年間練習もしていなかったので、フィジカルであったりだとか試合で活躍できるようにするためには今までの取り組みじゃダメだと思ったので、今年の秋シーズンが始まる前は今まで以上にやったかなと思います。

――留学はどのタイミングで行かれていたんですか

伊藤 大学2年生の秋シーズンが始まる前からですね。

――どちらに留学されていましたか

伊藤 フィンランドに行っていました。

――アメフトの練習は何かされていましたか

伊藤 フィンランドにはアメフトをやる環境が全くなくてひたすらウエイトトレーニングをしていたんですけど、帰ってきたら体が重たくなって全く動けなくなってて、全くプラスにはなりませんでした。(笑)

――昨年の夏頃に帰国して以降はどのようなトレーニングをされていましたか

伊藤 ブロックとかでのフィジカルをつけるために、下半身を重点的に鍛えたりだとか、元々身体がでかいタイプではないので上半身もでかくしようと意識してやってきました。昨年もトレーニングはしていたんですけど、あまりアサインメントとかを分かっていなかったんで、試合に出れなかった理由はそこにあるのかなと思います。

――アメフトを始められたのは大学からですか

伊藤 そうですね。大学からです。未経験で入ってきたので、試合に初めて出たのも今年の春のシーズンです。

――初出場は早慶戦でしたが、振り返っていかがでしたか

伊藤 早慶戦は小貫がたまたまけがをしちゃって出番が回ってきたみたいな感じだったので、僕もあんなに試合に出れるとは思っていなくて緊張しました。でも途中から翼も同じフィールドにいて「楽しめばいいんだよ」っていう感じだったので、それであまり緊張とかもしなくなりましたね。普通に楽しんでやろうと思って。

――早慶戦ではTDなどもありましたが、それが自信に繋がっている部分はありますか

伊藤 スキル的には繋がっているかは分からないんですけど、それよりも試合に出れたっていう経験とか試合中の相手に当たる感じとか、試合勘に関しては本当にいい経験になって今に繋がっているかなと思います。

――アメフトを始めたきっかけは何でしたか

伊藤 僕は元々アメリカに住んでいた時期があって、テレビとかでアメフトが放送されていたのを見てかっこいいなって思っていました。高校は早大本庄だったので、アメフト部がある学校じゃなかったのでバスケをやっていたんですけど、大学に入ってアメフトで日本一を目指せる環境のチームがあって、未経験の人も頑張って試合に出ているという話を聞いて自分も入ってやってみるかという思いで始めました。

――続いては小貫選手にお聞きしていきます。昨年の春シーズンから出場機会を増やしていますが、ご自身成長されたなと感じる点はありますか

小貫 昨年から試合は出ているんですけど、今年との違いとして、今年は試合を丸ごと通して出ているっていうのがあります。試合を通しで出ている中での自分の気持ちとかプレーのコントロールだとかは上手くできるようになったかなと思います。試合慣れしたというか、昨年は試合に出てはいたんですけど回しとかでポツポツ出る感じだったので試合がどういうものなのかなっていうものが分かっていなかったのかなと思います。

――昨シーズンまで主力としてチームを引っ張っていた昨年の4年生が卒業し、ポジション争いが激しいWRユニットですが現状としてはいかがですか

小貫 春よりは合宿とかを経てユニットとしてもレベルは上がっていると思うんですけど、まだまだだなと思います。昨年は4年生3人がずっと出ている感じだったんですけど、今年は誰が出てもおかしくない状況っていうのがあって、その中でユニットにはたくさん人がいて競争もしてます。出場できる選手が多いからこそ、プレーをより多くの人で考えられるっていうのがあって、昨年よりも成長できる環境だなと思います。

――同じ3年生のWRにも上手い選手が多いですが、同期との競争などはいかがですか

小貫 僕はあまりけがをしなくて頑丈なのが取り柄で、同期はけがで序列が落ちたりっていうのがあったんですけど、今年に入って同期が上がってきて自分ものんびりしていられないなと思うも強くなっています。

――同期との仲としてはいかがですか

小貫 仲は良くてアットホームな感じなんですけど、それ故に適当になってしまったりするので、仲が良いのはいいと思うんですけど来年はチームをまとめていかなきゃいけない立場になるので、もっと厳しくやっていければいいなとは思います。

――今年のチームスローガンは「闘志」ですが、ユニット全体として「闘志」という点に関して意識されていますか

伊藤 WRはパートであったり、練習の時から競争もあるので1人ずつ闘志が出ているのかなというのは感じています。練習1プレー1プレーから自分がしっかりやらなきゃいけないんだっていう意識は昨年以上にあると思います。

小貫 4年生はみんなで競争してるっていう印象があって、学年間のライバル心っていうのは僕らの代と比べると強いなと思います。

「ずっと試合に出てチームの勝利に貢献できるようなWRに」(伊藤)、 「勝つためにできることを試合中だけでなく日々の練習からも全力で」(小貫)


秋シーズンへの意気込みを語る伊藤選手(写真左)と小貫選手

――秋シーズンについてお聞きしていきます。伊藤選手はラストイヤー、小貫選手も上級生として挑んでいる今シーズン、どのような意気込みで臨まれていますか

伊藤 僕はラストイヤーですし昨年までは全然試合に出ていなかったので、今年はこれからもずっと試合に出てチームの勝利に貢献できるようなWRになれればいいなと思っています。

小貫 秋シーズンはとにかく勝つことですね。春シーズンは結果を個人として残すことも大事だったんですけど、僕たちは秋シーズン本当に勝たなきゃいけないので。自分が活躍したいという思いはもちろんありますけど、正直チームの勝利と比べると二の次なので、とにかく勝つためにできることを試合中だけでなく日々の練習からも全力でやろうと思っています。

――昨年惜しくも敗れてしまった甲子園ボウルへの思いはいかがですか

伊藤 小貫は昨年も2年生ながら出場していて、あの場の緊張感とか雰囲気とかも体感してると思うんですけど、僕は昨年はそういうのを感じられなくて、チームも勝てなかったし試合にも出ていないので甲子園は絶対に勝ちたいですし、初めて出ることになったら、初めてだからこそ思い切って自分の100%をそこで出して関西に勝てるようにしたいなというのが目標です。それが今この秋シーズンを通して試合に勝っていく中で自分がもっと成長しなくちゃいけないなというのは実感してます。

小貫 昨年とかは甲子園の雰囲気とか相手チームとかにのまれて何もできなかったっていう印象です。今年は失うものはないので、とにかく攻めて、やれることをやり切るっていうのは大切にしたいなと思います。

――立教大とは春にROOTS BOWLで対戦していますが印象はいかがですか

伊藤 個人としては春はけがで立大との試合に出ていないのですが、勢いに乗らせたら怖いチームという印象です。

小貫 春戦ったときはマッチアップするDB陣の身体能力がすごく高いなと感じました。そういう相手に自分の地力がどれだけ通用するかが課題になってくると思います。

――春は土壇場での逆転勝利となりましたが、今回の試合ではどのような試合展開に持ち込みたいですか

伊藤 今回は前半から攻めまくって、終始圧倒したいです。そうするにはパスユニットで序盤からロングパスやショートパスを決めてドライブすることが大事だと思います。

小貫 パスのロングゲインをきっかけに点を取りたいですね。春の立教戦の逆転のきっかけになったのもパスだったので。

――次戦、立大戦への意気込みをお願いします

小貫 春とは違うということを見せるためにも、相手を圧倒して勝ちたいと思います。

伊藤 前の試合ではTDが取れなかったので、絶対今回はエンドゾーンまで持っていきたいと思います。

――ありがとうございました!


最後に、リーグ戦への意気込みを色紙に書いてくださりました!

(取材・編集 涌井統矢 カメラ 栗林真子)

◆伊藤裕也(いとう・ゆうや)(※写真右)

1997年4月15日生まれ。172センチ72キロ。埼玉・早大本庄高出身。国際教養学部4年。WR。今シーズンの早慶戦が公式戦初出場だったという伊藤選手。試合経験が少ないからこそこれからの成長曲線は未知数です!

◆小貫哲(おぬき・てつ)(※写真左)

1999(平11)年1月20日生まれ。169センチ、74キロ。東京・戸山高出身。教育学部3年。WR。昨年から徐々に出場機会を増やし、3年生となった今年は春からスターターとしてチームを勢い付けるキャッチを量産している小貫選手。色紙にも書いてくださった「愚直」なプレーでチームを勝利に導いてくれるでしょう!