全日本スーパーフォーミュラ選手権(SF)は26~27日に鈴鹿サーキットで今季最終の第7戦を迎える。予選前日の25日、自力王座獲得の可能性を残す山本尚貴ら3選手が現地にて共同会見に臨み、決戦に向けての意気込みを語った。25日の鈴鹿では、まず定…

全日本スーパーフォーミュラ選手権(SF)は26~27日に鈴鹿サーキットで今季最終の第7戦を迎える。予選前日の25日、自力王座獲得の可能性を残す山本尚貴ら3選手が現地にて共同会見に臨み、決戦に向けての意気込みを語った。

25日の鈴鹿では、まず定例の金曜フリー走行(専有走行)が当初予定より15分遅れの11時15分から実施された。1時間のセッションはヘビーウエットと形容すべきコンディションで、土~日の予報が晴れ傾向なこともあってか、各陣営それほど多くの周回を重ねることはなかった。このセッションのトップタイムは#4 国本雄資(KONDO RACING/エンジンはトヨタ)がマークした1分55秒296、ドライ時の約20秒落ちである。

今回も参戦は11チーム20台。TEAM MUGEN(エンジンはホンダ)が#15にエストニア出身の19歳ユーリ・ビップスを新起用した以外は前戦と同じ顔ぶれで、その前戦岡山が今季初のSF実戦登場だった#7 中山雄一(UOMO SUNOCO TEAM LEMANS/トヨタ)が今回も継続参戦となっている。

6戦すべてでウイナーが異なる混戦の今季、最終戦鈴鹿には5人のドライバーがタイトル獲得の可能性を残して駒を進めた。その顔ぶれと、前戦までの獲得ポイントは以下の通り。

29点:#1 山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING/ホンダ)
28点:#37 N.キャシディ(VANTELIN TEAM TOM'S/トヨタ)
25点:#64 A.パロウ(TCS NAKAJIMA RACING/ホンダ)
21点:#3 山下健太(KONDO RACING/トヨタ)
19点:#18 小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG/トヨタ)

最終戦は優勝ボーナス3点があり、ポールポジションの1点を含めて最大で14点獲得できる。自力での王座戴冠権を有するのは上位3人で、山下と可夢偉は条件付きという状況だ(なお、可夢偉以外の4人は今季ここまで各1勝、可夢偉は最高位2位2回)。

フリー走行終了後、最終戦の金曜恒例である共同会見には自力王座圏内の3人が集まった。今回の王者候補5人のなかで、唯一SFのタイトル獲得歴をもつのがポイントリーダーの#1 山本尚貴である。

チームを移籍して臨んだ今季、山本は2年連続3回目の王座に向けて、(他にも自力王座権利者はいるが)タイトル最短距離に位置しての、得意中の得意である鈴鹿への“帰還”となった。

山本の鈴鹿帰還には二重の意味があるだろう。鈴鹿が今季SFの開幕地でもあったことはもちろんとして、彼は2週間前のF1日本GPで金曜フリー走行1回目(FP1)にトロロッソ・ホンダから出走、初のF1レースウイーク走行を実現したばかりで、瞬く間の鈴鹿帰還ともいえるからだ。

山本は昨年、SFとSUPER GT/GT500クラスの2冠を同一年に制覇する快挙を達成。それによってF1に出走できるスーパーライセンス(SL)、これは3年間の成績を総合した独自のポイントシステムを発給基準とするものだが、その基準を満たしたものと日本側の大勢は判断していた。しかし、変更が多く解釈の難解さも伴うSL、山本は16~17年のポイントが低かったため、実際には基準まで達していなかったという。それでもFIAとF1側の理解や日本側の尽力により、今季19年の成績を加味するようなかたちでSLが発給され、日本GPのFP1出走が実現した経緯があった。

努力と実力、実績と人間力とでつかみ、実現した夢舞台。その日本GPからすぐの“鈴鹿リターン”で、#1 山本はSF王座防衛のタイトルマッチレースを戦う。

「移籍した今季、シーズン前半からいい滑り出しでした。中盤にノーポイントが続いてしまったあたりは痛かったですが、それがSFの難しさでもありますし、こうしてタイトル争いが接近した状況で最終戦を迎えているのもSFの難しさ、厳しさだと思います。この位置にいられるのは良かったですし、昨年のようにしっかり勝って決められるようにしたいですね。強いレースを見せたいと思います」

2年連続の国内トップフォーミュラ王座獲得は2007~08年(松田次生)を最後に途絶えている難事でもあるが、「連覇ということは意識せず、このレースに勝つ、ということに集中していきます」という気構えで、#1 山本は王座防衛に“挑む”。

1点差で追うのは昨季準王者で、山本同様に移籍して今季を戦ってきた#37 キャシディ。今季は開幕戦の鈴鹿で予選12位からの優勝を成し遂げている。「ラウンド1のときよりも、強さをもって今週末の鈴鹿に臨めると思う。ポール・トゥ・ウインしたい」と語り、悲願ともいえる初王座に向けて自信を見せる。

ランキング3位、新人ながら自力王座獲得の権利をもって最終戦に臨むのが#64 パロウだ。彼も開幕戦でチームメイトの牧野任祐(#65)と新人によるフロントロウ独占(ポールは牧野)をやってのけた鈴鹿での速さには絶対の自信をもつようで、「我々のチームのマシンはここでベストなマシンのひとつだ。戦いをエンジョイしたい」と、新人ゆえに上位ふたりよりは少し気楽な立場も味方に王座獲りを睨む。

もちろん、#3 山下と#18 可夢偉にも逆転王座の可能性はあるし、このレースの優勝ということに関しては他にも候補者は少なくない。

誰が勝ち、そして誰が2019年のSF王座に就くのか。まずはやはり、決勝スターティンググリッドを争う予選に注目が集まるところだ。3段階ノックアウト方式の公式予選は明日(26日)の12時25分開始予定となっている。

なお、今大会はWTCR(世界ツーリングカー・カップ)日本戦との併催。SFはフルコース、WTCRは東コースのみでの実施で、この日はWTCRの予選日でもあった。WTCRは決勝3レース制で、レース1は土曜(26日)の15時05分、レース2とレース3はそれぞれ日曜(27日)の10時と11時30分に開始される予定。