第96回東京箱根間往復大学駅伝予選会(箱根予選会)が10月26日に開催される。早大は昨年度の箱根で12位に終わり、13年ぶりに箱根予選会へと挑むこととなった。陸上自衛隊立川駐屯地から立川市街地を回り、国営昭和記念公園をフィニッシュとする21.0975キロのハーフマラソンコースで行われ、各大学上位10人の合計タイムの上位10校が1月2・3日にある本戦の出場権を獲得する。2006(平18)年以来の『立川決戦』を早大はどのように迎えるのか。各大学との力関係を読み解きながら、間近に迫った大会への展望をお伝えする。


13年ぶりの予選会に挑む早大。写真は夏合宿で距離走をこなす選抜チーム(宅森咲子撮影)

 まずは記録面から他校との力関係を分析する。出場校の1万メートルで上位10人の平均タイムが最も良いチームが中大の29分16秒15だ。早大は29分20秒12で中大に次いで2番目に位置する。3番目は城西大の29分20秒76だ。他にもライバル校として挙げると6月の全日本大学駅伝対校選手権関東学連推薦校選考会(全日本選考会)で早大の上位で通過した東京国際大と明大の存在感が大きい。1万メートルの平均こそ2校ともに早大を下回っているが、その差は2〜4秒ほどに過ぎない。またハーフマラソンの上位10人の平均タイムを見ると各校ほとんど差がないことがわかる。この混線模様のために、ブレーキをする選手が出てくると途端に上位争いから脱落する可能性があるだろう。




中大、早大、城西大、明大、東国大の箱根予選会エントリー選手の1万メートル・ハーフマラソンの自己ベスト一覧と、上位10人の平均タイム

 次に実績面を挙げる。9月の日本学生対校選手権(全カレ)では夏合宿やチームの意向で出場しない学校も出たが、箱根予選会に出場するチームで5000メートルと1万メートルの両種目で入賞しているのは東京国際大と城西大だ。東京国際大は2人の外国人留学生が上位を占めた。規定のため、外国人留学生は1人のみの出場となるが、日本人選手でもユニバーシアード競技大会ハーフマラソン3位の伊藤達彦は強力だ。城西大も5000メートルに入賞した菅原伊織、1万メートル6位の菊地駿弥に加え、昨年の全日本2区区間賞の荻久保寛也が控えている。また全日本選考会の結果を見ると、全カレに出場していない明大の小袖英人や鈴木聖人が、勝負の展開ながら28分台をマークする勝負強さを見せている。早大は全カレでは入賞者ゼロだったが、出場人数は4人と最も多い。予選会の経験不足を大舞台の場数で補うことができるか。


2019年日本学生対校選手権の5000メートルと1万メートルの結果(箱根予選会エントリー選手のみの掲載)


全日本大学駅伝対校選手権関東学連推薦校選考会の日本人10位までの結果(箱根予選会エントリー選手のみの掲載)

 続いて、早大に視点を移していく。7月下旬から約2カ月にわたる夏合宿では、例年と異なるスケジュールで行い、走行距離の増加に重点を置いた。「充実したものだった」と相楽豊駅伝監督(平15人卒=福島・安積)は話す。『エース頼みにしないチーム』をつくるべく、全カレ出場組が不在の時も地道に練習を行い、「満遍なく伸びた」と指揮官は選手たちの成長を感じている。また合宿後には試合勘を取り戻し、現状を把握する一環として1万メートルの記録会に出場。状態の良いメンバーが出場した大東大ナイター競技会では、前半シーズンはけがに苦しんでいた宍倉健浩(スポ3=東京・早実)が29分47秒92でゴールすると続いてフィニッシュした山口賢助(文2=鹿児島・鶴丸)は29分52秒11の自己ベストだった。全カレに出場した選手たちも今年から新設したという3.5次合宿(9月19〜25日)で再び走り込みを敢行。万全の状態で箱根予選会を迎える体勢でいる。


日本人トップ争いが期待できるエースの太田智(石名遥撮影)

 オーダーは2年生と4年生がそれぞれ5人ずつ入ったのが目立つ。相楽監督は箱根経験者の4人がエントリーから外れたことに奮起を促しつつも、「今の段階では予選会で戦うには十分なメンバーを選べた」とまずまずな様子。レース展開については、「学生の意見とすり合わせて決める」という方針だが、予想されるのは主力は単独走で残りのメンバーは集団走といった王道のパターンだ。エースの太田智樹駅伝主将(スポ4=静岡・浜松日体)をはじめ、千明龍之佑(スポ2=群馬・東農大二)、中谷雄飛(スポ2=長野・佐久長聖)といった力のあるメンバーは単独走でタイムを稼ぐことが想定される。とりわけ太田智には日本人トップ争いを演じる好走も期待できよう。ただ相楽監督は「通ることが最優先」ときっぱり。そうなると全員で集団を形成し、『安全運転』のレースを見せる可能性もあるだろう。

 規模の大きい大会ではあるが、あくまで箱根本戦の予選会に過ぎない。通過することはもちろん、「全日本、箱根の本戦に向けてしっかりと戦えるような手応えを得られるレースにしたい」と指揮官の目線はすでに先を見据えている。それは選手たちも同じだろう。まずは『第一関門』の突破へ。雪辱を誓う早大の駅伝シーズンが、いよいよ始まる。

(記事、構成 岡部稜)

相楽豊駅伝監督(平15人卒=福島・安積)コメント

――夏合宿での各チームの消化具合はいかがでしたか

予選会があるということで、これまでと別のスケジュールでやっていたこともあって、例年と比べられないところもありましたが、全体的に見て今年は走行距離を増やすことをメインターゲットにして合宿に取り組んでいたので、かなり充実したものだったと思いますね。けが人が少なかったり、出ても軽いもので、ある程度したらすぐ戻ってくれたり、ということで、チーム全体としては、よくがんばれた合宿だったと思います。

――自信をつけられた部分はありますか

やはりスタミナですね。スピード練習はほとんどやらなかったので、その上で距離だけではなくて、(練習の)間のジョグの質を高めようと言っていたので、ダラダラと単純に距離を踏むのではなくて、意識を持ちながらしっかり集中して行うことができました。それがスタミナの面で自信になったメンバーが多いのではないかと思います。

――夏を通じて伸びてきた選手を挙げると

チーム全員に言っていたことですけど、全日本の予選会で中心となった太田(智樹駅伝主将、スポ4=静岡・浜松日体)、中谷(雄飛、スポ2=長野・佐久長聖)、千明(龍之佑、スポ2=群馬・東農大二)、井川(龍人、スポ1=熊本・九州学院)がそこではしっかりがんばってくれましたが、彼らに頼ったチームでは今回の予選会も両駅伝の本戦も戦えません。その4人以外の選手が大事だという話をしていたので、彼らがインカレ(日本学生対校選手権)で不在の時にもみんなでしっかり練習することができました。特別に誰が群を抜いて出てきたというのはありませんが、チーム全体として、「全員駅伝」で戦うんだという意識が芽生えてきて、満遍なく伸びたと思っています。

――合宿後にはメンバーを分けて二度記録会に出場していましたが、その意図は

やはり予選会までに試合勘を一度経験させておきたかったので、ある程度合宿が順調にいったメンバーは大東大ナイターに出して、それ以外のけがなど様々な理由でおくれていたメンバーは法政記録会に出したというかたちです。

記録を狙うというより、試合勘を取り戻すとか、現状の位置の確認だったので、レースの中で良い悪いはあると思いますが、それはその時点の評価で、そこを踏まえて予選会までどうつくってこれるかというのが課題でした。そういう意味では様々なことを感じて収穫や課題が見つかった記録会でした。

――箱根予選会は4年生、2年生が5人ずつというオーダーを組みましたがこの采配については

やはり予選会なので、通ることが最優先です。確実に失敗しないメンバーを優先して選んた結果ですね。4年生と2年生が人数的に多いので結果的に多くなったところではあります。ですが、この中で箱根経験者が4人入っていないので、そのメンバーに関してはこれから巻き返してほしいし、彼らが帰ってこないとチームとしてはまだベストな状態とは言えません。今の段階では予選会で戦うには十分なメンバーを選べたと思いますが、特に上級生の奮起には期待したいと思っています。

――4年生の状態に関してはいかがですか

エントリーされたメンバーは順調に来ていまして、ハーフマラソンということで経験値も一番多い上級生に期待しているところで、その中では全日本というよりは予選会一本に集中してもらって、4年生らしい仕事ができるのではと思っています。

――早大としての予選会の進め方や設定タイムなどは決めていますか

きょうの時点(※10月17日)ではまだ決まっていなくて、私の中では考えていることはありますが、学生と話しているのは、今年のチームに関してはチーム全員が運営に参画することが必要だということです。予選会についても自分たちで去年の予選会の結果などを踏まえながら自分たちでこう戦いたいとか、こうやって勝ちたいとかを彼らの中から出してほしくて、それはこれから考えと擦り合わして決めることになります。

――13年ぶりに臨む箱根予選会への意気込みをお願いします

13年前となると、私もコーチの駆け出しで、このチームには経験者がいなくて初出場のようなものですが、しっかりと緊張感を持ってやりたいと思うし、知らないからこそ思い切ってチャレンジできます。その準備は着実にできていると思うので、まずは通ることが最優先の目標にしながら、プラスアルファでこの後に控える全日本、箱根の本戦に向けてしっかりと戦えるような手応えを得られるレースにしたいと思います。

エントリー選手

尼子風斗(スポ4=神奈川・鎌倉学園)

自己記録 1万メートル:30分10秒14 ハーフマラソン:1時間8分47秒

伊澤優人(社4=千葉・東海大浦安)

自己記録 1万メートル:29分31秒93 ハーフマラソン:1時間3分47秒

遠藤宏夢(商4=東京・国学院久我山)

自己記録 1万メートル:29分39秒27 ハーフマラソン:1時間5分10秒

太田智樹駅伝主将(スポ4=静岡・浜松日体)

自己記録 1万メートル:28分56秒32 ハーフマラソン:1時間2分48秒

三上多聞(商4=東京・早実)

自己記録 1万メートル:29分46秒49 ハーフマラソン:1時間3分46秒

吉田匠(スポ3=京都・洛南)

自己記録 1万メートル:29分58秒90 ハーフマラソン:1時間3分55秒

宍倉健浩(スポ3=東京・早実)

自己記録 1万メートル:29分17秒12 ハーフマラソン:1時間5分22秒

太田直希(スポ2=静岡・浜松日体)

自己記録 1万メートル:29分21秒83 ハーフマラソン:1時間5分24秒

千明龍之佑(スポ2=群馬・東農大二)

自己記録 1万メートル:29分03秒19 ハーフマラソン:1時間3分40秒

中谷雄飛(スポ2=長野・佐久長聖)

自己記録 1万メートル:28分50秒77 ハーフマラソン:――

向井悠介(スポ2=香川・小豆島中央)

自己記録 1万メートル:29分32秒41 ハーフマラソン:1時間4分35秒

山口賢助(文2=鹿児島・鶴丸)

自己記録 1万メートル:29分52秒11 ハーフマラソン:1時間5分02秒

井川龍人(スポ1=熊本・九州学院)

自己記録 1万メートル:29分42秒03 ハーフマラソン:――

鈴木創士(スポ1=静岡・浜松日体)

自己記録 1万メートル:29分26秒34 ハーフマラソン:――