写真:吉村真晴(琉球アスティーダ)/提供:©T.LEAGUE

Tリーグの見逃せない名勝負をラリーズ編集部独自の視点で解説する【T.LEAGUE 名場面解説】。

今回は10月20日のノジマTリーグ・琉球アスティーダVS木下マイスター東京戦。吉村真晴(琉球アスティーダ)と侯英超(木下マイスター東京)の試合にスポットライトを当てる。

吉村は3試合に出場して2勝1敗。琉球アスティーダのホームで行われた2試合で2連勝し、チームの勝利に大きく貢献した。吉村の強みはやはり回転の分かりづらいYGサーブだろう。驚くべきデータがある。吉村のサービスエースの数は、3試合に出場してなんと21、全体で8位に位置付ける。1試合平均7本のサービスエースを取っている計算になる。

一方の侯英超は男子の中では珍しいカットマン。現在39歳だが、全中国選手権を今年制し世界を驚かせた。侯英超は、強い下回転と横回転を混ぜたカット、そして威力抜群の攻撃力を誇る。実際に、現在マッチ勝利数は5で個人成績1位となっている。また、サービスエース数でもトップに立っており、隙のない選手である。

両者の対決は、3-2で吉村がゲームオールを制した。その勝因とはなんだったのかを解説する。

ノジマTリーグ 琉球アスティーダ 対 木下マイスター東京:吉村真晴VS侯英超

詳細スコア

〇吉村真晴 3-2 侯英超
11-9/6-11/11-3/6-11/11-9

1.ハイリスクハイリターンな吉村の攻撃

通常、ドライブマンとカットマンが対戦すれば、ラリーが長引く傾向がある。パワーのあるドライブマンでも、強烈な下回転がかかったカットをいきなり強打するのは難しい。ドライブマンは、緩急、長短つけたドライブでチャンスが来るのを待つ。カットマンは、チャンスボールを与えまいとできるだけ低くカットし、さらに変化をつけて相手を惑わす。

ところが今回の両者の試合はラリーが長く続かなかった印象がある。それは、吉村が長いラリーに持ち込ませる前に強打していたからだ。強い球を打つということはミスも増えるが、得点にも繋がりやすい。ハイリスクハイリターンの戦術だ。

序盤は、侯英超の回転に対応できずミスが増えた吉村であったが、攻め続ける姿勢を貫き、球が合い始めた中盤あたりから有効なドライブが多くなった。

2.強気の回り込みレシーブ




図:サーブレシーブの配球/作成:ラリーズ編集部

冒頭で説明したとおり、両者は今シーズンサービスエースランキングTOP10に入るほど強力なサーブを持っている。実際、この試合でもサービスエースは何回もあり、サーブからチャンスを掴んで得点に繋げた場面もあった。

最終ゲーム9-9と緊迫する場面でサーブを握ったのは侯英超。侯英超としては、サーブでチャンスをつくりたいところだ。レシーブ側の吉村からすると相手のサーブに対する不安はあったかもしれない。しかし、吉村は思い切ったプレーをする。

侯英超は、吉村のバック深くにロングサーブを出す。これを読んでいたのか、吉村は回り込みバッククロスにドライブを放つ。このレシーブに対応できなかった侯英超。マッチポイントを握ったのは吉村だった。

3.徹底したコース取り




図:ラリーの配球/作成:ラリーズ編集部

吉村は序盤から侯英超の回転量の多いバックカットに苦戦していた。そこで、早い段階でフォア側に攻撃し、侯英超のフォアのカーブロング、つまり上回転系の返球が来るのを待つ。その返球をバックやミドルにコースを打ち分けるという徹底したコース取りで得点に結びつけた。

上回転系の球は下回転系の球に比べて早い打点で打つことができる。打点が早くなるということは、相手が打球後に完全な姿勢に戻る前に打てる可能性が高くなる。

最終ゲーム、吉村がマッチポイントを握った後のラリーが象徴的だ。大事な局面でサーブが台から出るのを見逃さなかった吉村は、すかさずドライブをフォア側へ送りカーブロングを使わせ、最後は侯英超のミドルへ鋭いドライブを打ちゲームセット。ホームマッチに訪れた大勢のファンに向かって勝利の雄叫びを上げた。

まとめ

両者強みを活かし合い大熱戦となったこの試合。レシーブに苦しみながらも最後まで強気の姿勢で侯英超を攻め切った吉村に軍配が上がった。

文:ラリーズ編集部