日本代表がロシア代表を30-10で破った開幕戦からちょうど1ヶ月が経過したラグビーワールドカップ。10月20日(日)の準々決勝の最後のカードは、初めて決勝トーナメントに進出し世界ランキングが過去最高の6位まで浮上した日本代表と、前回大会で日本代表に敗れた雪辱を果たしたい南アフリカ代表(世界ランキング5位)の激突となった。

両者は大会開幕前の9月6日(金)に熊谷ラグビー場で対戦しており、日本代表は7-41で南アフリカに敗れている。しかし、日本代表は現在メンバーが一部替わっており、また、当時は見せていなかった戦い方を繰り広げている。メンバー発表に際して、ジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)もこのように語っている。

「9月の試合は南アフリカにとってはテストマッチだったかもしれないが、日本代表にとってはリハーサルだった。南アフリカが何をしてくるかはわかっているし、フィジカルに来ることは明らか。明らかでないのは、日本が何をするかということだ」

予選プール4連勝を達成し大会が進むにつれて自信を深めている日本代表。初の準々決勝進出から一気に初の準決勝へ--スタジアムには48,831人が集い、そんな期待感が最大限に高まった試合となった。

メンバーは、プール最終戦のスコットランド戦からほぼ据え置きとなった。 先発FBにはその試合で脳震盪と診断されたウィリアム・トゥポウに代わり、FB山中亮平が入った。先発の変更はFBのみで、キャプテンのFLリーチ マイケル以下、PR稲垣啓太、HO堀江翔太、LOトンプソン ルーク、NO8姫野和樹、SO田村優、WTB福岡堅樹&松島幸太朗らおなじみのベストメンバーを揃えた。

 

リザーブにはLOヴィンピー・ファンデルヴァルト、ケガから復帰したNO8アマナキ・レレィ・マフィ、WTBレメキ ロマノ ラヴァが新たに入った。

メンバー発表でキャプテンのFLリーチ マイケルは、「(ベスト8という)目標は達成したが、満足していない。ここで終わりじゃない。もう一度(日本代表らしいパフォーマンスを)見せられるチャンス」と、因縁の南アフリカ戦での勝利に強い意欲を示した。

対する南アフリカは、9月6日の対戦から一部メンバーを変更。左PRに「ビースト」ことテンダイ・ムタワリラ、HOにボンギ・ンボナビ、LOルード・デヤハーが入ったことが変更点だが、キャプテンのFLシヤ・コリシをはじめ、LOエベン・エツベス、クボタ所属のNO8ドウェイン・フェルミューレン、SOハンドレ・ポラード、WTBマカゾレ・マピンピ&チェスリン・コルビとインターナショナルプレーヤーが揃った。リザーブはFW6人、BK2人の割合で、注目のHOマルコム・マークスもリザーブに入った。

FWを日本代表よりも1人多くメンバーに入れたラシー・エラスムスHCは「うちのチームは、しっかりとしたFW陣が2セットいるから、日本が使おうとしているスペースを消せると考えている」と、自慢のFWの活躍を確信していた。

前半序盤、まずは南アフリカにペースをつかまれる。4分、南アフリカはマイボールスクラムから、ブラインドサイドを突いてWTBマピンピがトライ。0-5と先制を許す。

10分、南アフリカPRムタワリラが日本代表PR稲垣に危険なタックルをしたことでシンビン(10分間の一時的退出)となり、日本代表に数的有利が生まれる。トライこそ奪えなかったものの、20分にSO田村がPGを決めて3-5と2点差に迫る。

その後も日本代表はチャンスを作りながらも、ラインアウトのミスやスローフォワードなどで得点機を活かしきれず、3-5と膠着したまま試合を折り返した。

後半、逆転に向けてキックオフした日本代表だったが、4分、9分といずれもスクラムでのコラプシングから南アフリカSOポラードにPGを決められ3-11。24分には日本代表LOムーアのハイタックルから再びSOポラードにPGを許し3-14とリードを広げられる。

さらに26分、日本代表は自陣で南アフリカにモールで大きく前進されると、途中出場のHOマークスからSHデクラークにラストパスが渡り、デクラークが中央に飛び込みトライ。ゴールも決まり3-21とされる。

直後の30分には、日本代表が敵陣深くまで攻め入りチャンスを作ったものの、マイボールラインアウトでボールをキープできず逆に一気に攻め込まれると、南アフリカWTBマピンピに2つめのトライを決められ3-26と大きくリードを許す。

日本代表は、最後まで反撃を試みるもスコアできず、3-26で敗れた。その結果、南アフリカが準決勝に進出し、10月27日(日)にウェールズと対戦することとなった。

試合後、日本代表のジョセフHCは記者会見で無念さをにじませつつも選手たちを称えた。

「ハーフタイムには、選手たちは少し弱っていましたが、まず私のチームを誇りに思っています。勇気、最後の2つのタックルが示す純粋な決意は、私たちがどれだけ固いグループであるかを示し、私は本当にチームに敬意を払わなければなりません。

そしてファンに本当に感謝したい。国全体の支援がなければ、私たちはここにいなかったでしょう、本当に素晴らしかったです。ワールドカップで達成したことを本当に誇りに思っています。結果を受け入れるつもりです。少し後になって楽しみますが、選手たち今は本当にがっかりしています。なぜなら、選手たちはグループに多大な貢献をしているし、今回のワールドカップでは国に多大な貢献をしているからです。少し残念です」

同席したキャプテンFLリーチは敗因を挙げつつ南アフリカにエールを送った。

「テストマッチのラグビーは、チャンスを作り、それをつかむことがすべてです。機会が少しありましたが残念なことに南アフリカは強力なセットピースで我々を囲い込んでしまい後退させてしまいました。

南アフリカチームの皆さん、おめでとうございます。彼らは素晴らしいゲームをしてとても上手にプレーしたので、これからの試合がうまくいくように祈っています」

南アフリカのエラスムスHCは、前半までの苦しい試合展開を振り返った。

「私たちがこれまでにプレーした2つのゲームのスコアは、どれだけ大変だったかを反映していませんでした。ハーフタイムは5-3で、最終的に1、2回のトライを得たが、このゲームは5、6点差ゲームであり、このゲームで得られたマージンは本当の意味での反映はされていません」

キャプテンのFLコリシはファンへの謝意を示した。

「この美しい観衆の前でプレーすること、日本の人々は素晴らしいです。自分のチームを本当に誇りに思うべきです。日本の選手たちはすべてを出し切りました」

日本代表にとっての自国開催のワールドカップは準々決勝敗退で幕を閉じた。しかし、ノーサイド後も多くの観客がスタジアムに残り、最後まで選手たちの健闘を称える拍手を贈り続けた。

今大会で新たにラグビーに魅了された人々も含め、多くのファンの心を動かしたことを示した瞬間だったと言えよう。

◆キャプテンFLリーチ マイケル「日本代表はますます強くなる」

南アフリカFLコリシは、真っ向勝負を挑んできた日本代表への賛辞も忘れなかった。

「私たちは、リーチ マイケルと日本の選手が今日やってくることを正確にわかっていました。彼らは私たちのセットピースに対抗すると言った。戦い続けるのは私たちにとって大変でしたが、選手たちのおかげで、私たちはファイトしそれを成し遂げました。

彼らがどれだけ速くゲームをプレーできるかはわかっていました。彼らは恐れずに、まさに今週やると言っていたスタイルを通して、今日も恐れなかったと思います」

コリシから名前が挙がった日本代表FLリーチは、今大会をこのように振り返った。

「このチームが成し遂げたことを非常に誇りに思っています。ジェイミー(・ジョセフHC)はチーム、ファン、そして国で素晴らしい仕事をしてくれました。私たちは彼らを誇りに思っていると思います。アジアとティア2の国を代表するために、彼らも私たちを誇りに思うに違いありません」

さらにベスト4に残った強豪チームのファンに向けてメッセージを求められると、

「日本代表はますます強くなります。ワールドカップの残りの期間を楽しんでください!」

と、準決勝以降の盛り上がり、そして今後の日本代表への期待感を膨らませるコメントで締めくくった。

歴史を塗り替えた日本代表は、ワールドカップベスト4という高い壁に今後は挑むこととなる。FLリーチの宣言通り、日本代表のさらなる強化に期待したい。