ラグビーワールドカップも決勝トーナメントに入り、10月19日(土)は、大会3連覇を目指すプールB1位のニュージーランド(世界ランキング1位)と、初の準決勝進出を目指すプールA2位のアイルランド(同4位)がベスト4をかけて東京スタジアムで対戦…

ラグビーワールドカップも決勝トーナメントに入り、10月19日(土)は、大会3連覇を目指すプールB1位のニュージーランド(世界ランキング1位)と、初の準決勝進出を目指すプールA2位のアイルランド(同4位)がベスト4をかけて東京スタジアムで対戦した。

アイルランドは2016年にニュージーランドに初めて勝利し、昨年11月にも土をつけており、3年間で2勝1敗と勝ち越している。

アイルランドとしては、オールブラックスをワールドカップでも倒して、4強入りを果たしたいところだった。

オールブラックスのハカ、「カパ・オ・パンゴ」がアイルランドサポーターの声でかき消されるほどの熱気で溢れ、48,656人の観客が見守る中、ニュージーランドボールで始まった試合は、アイルランドも積極的に仕掛けていくもののミスやペナルティで相手のディフェンスを崩せない状況が続く。するとニュージーランドが6分、SOリッチー・モウンガのPGで3-0と先制する。

その後はキックを交えて攻めるオールブラックスのペースとなり、14分、連続攻撃から、ラック周りのディフェンスが手薄になったところを、SHアーロン・スミスが自ら右中間に持ち込んでトライ。ゴールも決まって10-0とした。

オールブラックスは攻撃の手を緩めることなく、19分にはスクラムを起点に左に展開してゴール前に迫り、再びSHがラックのブラインドサイドを突いてトライ、SOモウンガがゴールも決めた。32分にも相手のミスに乗じて、SOモウンガが足にかけて、さらにFBのB.バレットがドリブルでコントロールして、そのままトライ。22-0と大きくリードを広げた。

前半の最後、アイルランドも攻め込むが、なかなかニュージーランドのディフェンスを崩すことができなかった。前半終了間際も、自らペナルティを犯してしまいゴールラインを超えることができなかった。結局、前半はニュージーランドが22-0とリードして折り返した。

後半、やはり先制したのはオールブラックスだった。相手陣で優位に試合を進め、8分、ボールを継続し、最後はNo.8キアラン・リードのオフロードパスをキャッチしたHOコーディー・テイラーが中央に飛び込みトライ。ゴールも決まってニュージーランドが29-0と大きくリードしほぼ試合を決めた。

アイルランドも反撃しようと試みるも、スクラムで得たペナルティからキックミスなどがあり、なかなか敵陣でプレーすることができない。すると後半22分、モールで押し込んだ後、SOモウンガが右サイドにキックパス。大外に待っていたWTBセブ・リースが切れ込み、最後は途中出場のSHのTJ・ペレナラのパスを受けて、同じく途中出場のFLマット・トッドがトライ。ゴールも決まり34-0とリードを広げた。

アイルランドは29分、やっとスクラムからNo.8のCJ・スタンダー、CTBロビー・ヘンショウとつないで、ヘンショウが中央に飛び込み一矢を報いて34-7としたが時はすでに遅かった。

オールブラックスは33分にもオフロードパスをつないでWTBジョージ・ブリッジが、試合終了間際にWTBジョーディー・バレットがトライを挙げた。アイルランドも37分にペナルティトライで2トライ目を奪ったが試合は46-14でノーサイド。オールブラックスが快勝で準決勝に駒も進めた。プレイヤー・オブ・ザ・マッチはニュージーランドのFBボーデン・バレットが選出され、「彼のためにいいプレーがしたかった。おじいちゃん、大好きだよ」と13日に死去した祖父へメッセージを贈った。

今大会で退任するアイルランドのジョー・シュミットHCは、「どういう理由も言い訳も見つからないが、大事なところでミスをした。チャンスを決めることができなかった。良いスタートが切れなかった」と悔しさをにじませた。

一方、ニュージーランドのスティーブ・ハンセンHCは、「今週は非常にアタックもディフェンスも頑張った。最後の10分を除いては素晴らしいパフォーマンスが出来たことが結果につながった」と笑顔を見せ、「ジョー(・シュミット)はアイルランドのラグビーにひとかたならぬ尽力をしたと思う」と同じニュージーランド出身の敵将をねぎらった。

アイルランドはまたしてもベスト4の壁を越えられぬまま大会を去ることになった。ニュージーランドは10月26日(土)にエディー・ジョーンズ率いるイングランドと準決勝で相見える。

◇大勢のファンに見守られHOベスト代表引退

この大会を最後に引退を表明していたアイルランドのキャプテン、HOローリー・ベストにとってラストマッチになった。試合後のインタビューでは、大勢のファンからの声援に思わず声を失う場面も。

「すごく疲れて、すごく悲しいです。今はうまく言えないけれど、いつでもどこでもホームのように応援してくれたファン、家族、チームメイト、そして選手としての自分とアイルランドのラグビーを一段上のレベルまで引き上げてくれたジョー(・シュミットHC)に感謝したい」

と感慨深げに語り、3人の子供たちの肩を抱き寄せながらグラウンドを後にした。