ラグビーワールドカップは19日(土)、いよいよ白熱の決勝トーナメントに入った。準々決勝第1試合は、大分スポーツ公園総合競技場で今大会屈指の好カード、イングランドとオーストラリアが4強入りを懸けて戦った。

イングランドは自国開催だった前回大会でプール戦敗退。雪辱を期す今大会は4大会ぶりの優勝を狙っている。ここまでは攻守ともに充実の内容でプールCを首位で突破。フランスとのプール戦最終戦が台風の影響で中止となり、休養期間も十分だ。前日の練習では報道陣に公開した冒頭15分間では、緊張感を漂わせつつ、それぞれがグラウンド状態を確かめながらウォーミングアップ。1時間ほど汗を流し調整した。

一方のオーストラリアは、やや精彩を欠きながらもプールDを2位通過した。首位ウェールズとの直接対決は惜敗したが地力は十分。試合前日は約1時間の練習で、最後の15分間を報道陣に公開。選手たちはリラックスした雰囲気で、キックやタックルなどの個人プレーを確認した。下馬評ではイングランド優勢とささやかれる中、ワールドカップで過去4回決勝に進み、2回頂点に立ったラグビー大国として、ここで負けることはできない。3回目の優勝に向けて難関を突破できるか、正念場となった。

序盤は互いのFWの意地の張り合いから始まった。オーストラリアはしっかりボールをキープし、連続攻撃を仕掛け左右に振る。前半12分、ターンオーバーからFBカートリー・ビールが突進。ハイタックルを受けペナルティをもらうと、SOクリスチャン・リアリイファノがPGを決めて0-3と先制する。

イングランドは先に得点を許したが落ち着いていた。前半18分にはFWが密集を重ね近場を攻め続けると、左に大きく展開し最後はWTBジョニー・メイが飛び込みトライ。ゴールも決まり7-3と逆転に成功する。

その3分後には相手のパスが乱れたところをインターセプトで一気に前進。CTBヘンリー・スレイドが短いキックで裏のスペースを突き、走り込んだWTBジョニー・メイがまたもトライ。14-3とリードを広げた。

ここから互いに自陣でファウルを犯し、PGの応酬となった。オーストラリアはSOリアリイファノ、イングランドはSOオーウェン・ファレルが正確に蹴り込んでスコアを重ね、前半は17-9とイングランドが8点リードで折り返す。

オーストラリアは後半早々にトライを決める。2分に左のスペースを突き、CTBジョーダン・ペタイアの突破から、WTBマリカ・コロインベテが鋭いステップで抜き去る。ゴールも決まり17-16、一気に1点差に詰める。

試合の流れが傾きかけたイングランドだが、後半5分に連続攻撃からPRカイル・シンクラーのトライで24-16とし、さらに4分後にSOファレルがPGを決めて突き放す。

ここからイングランドはフレッシュな選手を投入し、セットプレーから好機を作る。後半26分にペナルティを誘ってPGを決め30-16。2トライ2ゴール差とした後、後半33分にもPGを決めて33-16とリードした。

30分以上トライがないオーストラリアはプレーに精彩を欠く。キャプテンのFLマイケル・フーパーが、「アタッキングラグビーをしてイングランドをうまく脅かすことができたと思う。しかし、イングランドはリスタートのコントロールが良かった。われわれは自陣からなかなか抜け出すことができなくて、同じようにリスタートできず、やりたいようなゲームができなかった」と話したように、ミスが目立ち始めた。

とどめを刺したいイングランドは後半35分、相手の長いパスが浮いたところを見逃さなかった。WTBアンソニー・ワトソンがインターセプトから一気にトライ。この試合8回のキックのチャンスをSOファレルが全て成功し40-16で試合を終えた。

後半に突き放したイングランドはベスト4一番乗り。エディー・ジョーンズHCは、

「まだまだ成長できるが今日のベストを出すことができたと思う。オーストラリアは最初の20分間素早く仕掛けてきたが、良いタイミングで勢いを取り戻すことができ、(自分たちの得点が)欲しい時に点を取ることができた。ハードワークが結果につながって満足だ」

と振り返り、準決勝に向けては「相手はどこでも構わないが、正直に言えばニュージーランドにチャレンジしたい気持ちはある」と話した。

2003年大会以来となる優勝杯ウェブ・エリス・カップへ一歩近づいたイングランドは、10月26日(日)に横浜国際総合競技場でニュージーランドとアイルランドの勝者と対戦する。この準決勝も間違いなく見逃せない一戦となりそうだ。

◇イングランドSOファレル、8回のプレースキックを全て成功

「死の組」と呼ばれたプールCを首位突破したチームを引っ張り、準々決勝も見事な試合運びを見せたキャプテンのSOオーウェン・ファレル。冷静なゲームコントロールと正確なキックで期待に違わぬ活躍を見せた。

この試合では前半にコンバージョンキック2本、ペナルティキックを1本決めると、後半も続けざまにキックを決め、計8回のプレースキックのチャンスを全て成功してチームの勝利に貢献した。

SOファレルは試合をこのように振り返った。

「オーストラリアは最初から最後まで攻めてきました。私たちは良く守って、スペースを見つければ決めることができるので、それがうまくいったと思います。後半もやりたいようにできました。

オーストラリアは全力でぶつかってくることはわかっていたので、私たちは彼らにペースを与えず、自分たちの主導でゲームができるようにすることができました。自分のキックは前の時よりはマシになりましたね。たくさんのファンの後押しが心強く、誇りに思います。

次も皆さんにお目にかかれれば幸いです。このすばらしいイングランドファンの男性も、もちろん女性もね」

準決勝では引き続きSOでプレーするか、CTBに戻るか。いずれにしても勝敗に大きく関わるキーマンとなることは間違いない。