復興支援のチャリティーマッチは『激しく楽しい』勝負に参加選手全員が募金箱を持って、来場者に支援を呼びかけて始まった「#がんばるばい熊本 熊本地震復興支援 B.LEAGUE チャリティーマッチ」。九州出身選手で構成された『九州選抜』と『Bリー…

復興支援のチャリティーマッチは『激しく楽しい』勝負に

参加選手全員が募金箱を持って、来場者に支援を呼びかけて始まった「#がんばるばい熊本 熊本地震復興支援 B.LEAGUE チャリティーマッチ」。九州出身選手で構成された『九州選抜』と『Bリーグ選抜』に分かれて試合が行われた。

田中大貴(アルバルク東京)が「ロッカールームでは九州の方言が飛び交っていて楽しかった」と言うほど和やかな雰囲気の九州選抜は、コートに出れば東京・代々木第二体育館に集まったファンの大歓声を受ける。

「アウェー感がハンパなかった」とその空気を察したのは、Bリーグ選抜の古川孝敏(栃木ブレックス)。負けん気強いBリーグ選抜は即席チームながらコンビプレイを発揮し、激しいディフェンスで九州選抜を圧倒して、前半を終えて46-31、15点差をつけてリードする。

しかし後半に入ると、遥天翼(新潟アルビレックスBB)、狩野祐介(滋賀レイクスターズ)がアウトサイドシュートを決めて九州選抜が追い上げていく。第4ピリオド、九州選抜はついにくまモンをベンチ入りさせる。しかし試合は拮抗し、残り7分46秒、田中大貴のフリースローで61-61。九州選抜がゲームを振り出しに戻した。

どちらも譲らぬ試合展開で、くまモンを投入するタイミングが難しい。残り4分49秒、比江島慎(シーホース三河)のバスケット・カウントで66-67と九州選抜がリードしたところで、ついにくまモン投入!

くまモンと160cmの志村のマッチアップ

マッチアップするのは志村雄彦(仙台89ERS)。「ウィークポイントである身長の部分でポストアップされてしまった」と悔しがる志村からゴールを狙いに行ったくまモンだったが、24秒ショットクロックバイオレーションのブザーが非情に鳴り響き、Bリーグ選抜ボールに。1分3秒の出場時間だったくまモンだったが、志村からスティールを成功させ、しっかりスタッツを残し、記憶に残るプレイを披露した。

「プロ選手が本気でプレーし、延長に持って行ったあのミラクルショットはなかなかシーズン中にも見られない。僕自身、非常に感動しました」

試合後、興奮気味に『あのミラクルショット』を振り返った小林慎太郎(熊本ヴォルターズ)。残り9.2秒、古川が2本得たフリースローの1本目を外し、81-79、Bリーグ選抜が辛うじて2点リードし、九州選抜最後の攻撃を迎える。逆転を狙った比江島の3ポイントシュートは外れたが、オフェンスリバウンドをつなぐ。試合終了を告げるブザーとともに、角度の無いところから再び比江島が放ったシュートがネットを通過。ミラクルショットのブザービーターが決まり、81-81同点。試合は延長戦へと突入した。

最後までどちらに転ぶか分からない展開だったが、「絶対に負けたくなかったし、最初から飛ばしていった」と気合いを入れて臨んだ古川の言葉通り、意地を見せたBリーグ選抜が94-90で勝利。

「がんばるばい熊本」と被災地に元気を届けるべく、コートの中では激しく、ベンチメンバーはさらに騒がしく選手自身が楽しみながら観客を盛り上げていき、大盛況で宴は幕を閉じた。

ブザービーターを決めた比江島に九州選抜のチームメートが駆け寄る。震災復興支援が目的ではあったが、試合は白熱したものとなった。

熊本が復興していくためにはまだまだ時間と協力が必要

試合後、自らも被災した熊本出身の小林が2065人の観客に向けて感謝の言葉を述べた。

「熊本は震災当初から震度7ということ本当に厳しい状況でした。震災当時、神奈川での試合が中断となって熊本に戻り、すぐに益城町体育館に行った時、その被害を目の当たりにした瞬間、悲しい気持ちになり、涙が止まらない日々が続きました」

「固いフロアの上でたくさんの方が寝ており、おじいちゃんやおばあちゃん、子供たちが本当に疲れている状況が続きました。たくさんの方のおかげで少しずつ熊本は前に進んでいます。ですが、まだまだ熊本が復興していくためには、時間と皆様のご協力が必要です」

「今日のゲームを通じて、熊本は活力をもらいました。先日行われたオリンピックもそうですし、スポーツの持つ力を僕自身も感じています。来月からBリーグが開幕しますが、選手全員で頑張っていきます」

「そして東日本、熊本といろんな震災が日本で起きていますが、僕たちの持てる力を発揮して日本を元気づけていきたいです。これからも熱い声援をお願いします」

今回のチャリティーマッチは、Bリーグとして初めてのお披露目ゲームでもあった。集客数は2000人ほどであったが、それ以上にメディアはひしめき合うほど集まり、新リーグへの期待が伝わってくる。ざっと数えてテレビカメラは12台。

笑顔溢れるチャリティーマッチとはいえ、延長戦までもつれ込み、それぞれの選手たちがバスケットボールエンターテインメントを披露したことで、Bリーグの魅力を少なからず見せつけることができたことだろう。

小林は、今後もこのようなチャリティーマッチは継続していきたいと言う。そのためにも、プロバスケットボールリーグとしての地位向上を選手自身が行っていくことが大事になる。いよいよ9月22日(木)よりBリーグは開幕。ようやく真の日本一を決める真剣勝負が始まる。