フィギュアスケートの今シーズン、開幕前から注目を集めていた女子ロシア勢。先日行なわれたジャパンオープンでは度肝の抜く演技を見せ、あらためて彼女らの底知れぬ強さを垣間見せた。

 シニアの舞台にはロシアの若手スケーターが続々と上がってくるが、その筆頭格は15歳のアレクサンドラ・トゥルソワだ。



ジャパンカップで圧巻の演技を見せたアレクサンドラ・トゥルソワ

 世界ジュニア選手権で連覇を飾り、今季、鳴り物入りでシニアに初参戦。シニアデビュー戦となったネペラメモリアルでは、フリーでルッツとトーループの2種類計3本の4回転ジャンプを決めて163.78点をマーク、合計238.69点を叩きした。いずれも平昌五輪金メダリストのアリーナ・ザギトワが持っている世界最高得点を超える、衝撃的なデビューとなった。

 トゥルソワは身長155㎝と小柄だが、度胸は満点。初出場となったジャパンオープンでフリー『ゲーム・オブ・スローンズ』を演技した。

 練習では大技の4回転ジャンプに何度もトライするものの、転倒する場面が見られ、それほど安定感はないように思えたが、本番力がさすがだった。4回転ジャンパーとして男子並のジャンプ構成を組み、ルッツ、サルコウ、トーループ2本の計4本をほぼ完璧に決めた。4回転ルッツではGOE(出来栄え点)で2.96点が加点され、得点が1.1倍になるプログラム後半には、4回転トーループに1回転オイラー+3回転サルコウをつけて3連続ジャンプまで披露した。

 技術点では、この日の男子トップだったネイサン・チェンに次ぐ97.51点をマークして160.53点と、160の大台に乗せた。今大会の得点は参考記録ながら、デビュー戦で出した世界最高得点に迫る高得点だった。

「初めてのジャパンオープンでしたが、いい滑りができて満足です。改善していきたいところがあるので、さらに練習していきたいです。シニアデビューで大人と一緒に滑ることが待ち遠しかったので、気持ちよかったです。それ以外は何も言えません!」

 優勝チームのインタビューでは、満足そうに振り返っていた。

 ステップではレベル3の判定となり、まだジュニア上がりで”幼さ”が残っており、プログラム全体としてもジャンプばかり目立っていたきらいはある。だが、そのジャンプの伸びしろは、まだまだ無限にありそうな気配だ。

「トリプルアクセルは練習していて、そろそろ導入することになると思います。いつ頃か? 跳べるようになったらすぐにプログラムに入れます」

 記者会見でも物怖じせず、あっけらかんと受け応えをする15歳。今後の成長が見ものであることは間違いない。

 そして、この大会にもうひとりロシアの女子として出場したのが、17歳のザギトワだ。トゥルソワの同門の先輩であり、強力なライバルでもある。今季のプログラムは五輪女王にぴったりの作品でフリーは『クレオパトラ』。凝った衣装が際立っていた。

 ジャパンオープンでは貫禄のノーミス演技を披露。3回転ルッツ+3回転ループの連続ジャンプではGOEで2.19点を加点されるなど、滑りに勢いがあった。スピンひとつとステップでレベル3と取りこぼしはあったものの、五輪金メダリストとしてのオーラ全開のザギトワの姿が見られた。

 得点では後輩の後塵を拝して2位に甘んじたが、演技構成点では出場選手としてただひとり9点台をそろえ77.43点をマーク。合計154.41点だった。

「基本的には満足。修正するところはいくつかありましたが、チームが優勝してうれしい。今季はクリーンな滑りを見せて、難易度の高いジャンプやスピンをしっかり取り入れていきたいです。もちろん、4回転ジャンプはモチベーションになりますが、私は単純にこれからもスケートを楽しんでいきたい」

 年下のライバルたちが4回転ジャンプをひっさげて台頭してくる異次元のシーズンを迎える。だが彼女は、そんなことは意に介さないとばかりに、自らの演技を突き詰めていくつもりのようだ。これもまたロシア勢の底力だろう。

 いずれにせよ、今季の女子フィギュアが彼女たちを中心に回っていくことは間違いない。