文・写真=鈴木栄一攻守両面で活躍し、三河撃破に大きく貢献琉球ゴールデンキングスは、シーホース三河とのシーズン開幕戦を61-71で落とした。それでも、第2戦は前半で2桁リードを許す苦しい展開を巻き返し、80-76で初勝利を挙げた。この逆転劇の…

文・写真=鈴木栄一

攻守両面で活躍し、三河撃破に大きく貢献

琉球ゴールデンキングスは、シーホース三河とのシーズン開幕戦を61-71で落とした。それでも、第2戦は前半で2桁リードを許す苦しい展開を巻き返し、80-76で初勝利を挙げた。

この逆転劇の原動力となった一人が新戦力の小野寺祥太だ。持ち前のタフなディフェンスに加え、この日は速攻のフィニッシャーとして得点を重ねるだけでなく、第4クォーター残り3分半に同点から勝ち越しの3ポイントシュートを成功させた。試合全体で16得点3リバウンド2アシスト2スティールを記録し、勝利に大きく貢献した。

この攻守に渡る活躍について、小野寺はこう語る。「開幕戦は消極的でした。ビッグマンがインサイドで頑張っている中、外のシュートチャンスが来ても思い切り打てていなかった。それだけに今日はビッグマンの動きをしっかり見て、ボールを入れる時は入れますが、アタックできる時は行くし、ノーマークになったらしっかり打つことを意識しました」

高卒ルーキーでbjリーグ時代の岩手ビッグブルズに加入し、プロデビューを果たした小野寺は、2017-18年に秋田ノーザンハピネッツへと移籍した。チームのB1復帰に貢献し、昨シーズンもそのまま残留して自身初のB1でのプレーとなったが、オフに入ると早々に自由交渉リストに掲載された。

放出される形で秋田を去った小野寺だが、新天地に選んだ琉球で早々に結果を残した。佐々宜央ヘッドコーチは「僕がチームの土台としているディフェンスを体現してくれる選手」と、すでに確固たる信頼を寄せている。

実際、この開幕2連戦でも小野寺の守備は、タレント揃いの三河を苦しめていた。しかし、本人は「後半、金丸(晃輔)選手に同じプレーで2回やられてしまいました。相手の得点源につくのが僕の仕事で、そこは修正していないといけない」と、真っ先に反省を口にする。

そして、自身のやるべきことをこう語る。「どこのチームに行っても僕のやるべきことは、まずスタッツに残らないプレーです。そこをやればオフェンス、ディフェンスの両方でチームのためになる。泥臭いプレーをもっとやっていけたらと思います」

速攻のフィニッシャーへ「しっかり走りたい」

自身の役割をそう語った小野寺だが、もちろん周囲としてはスタッツに残る部分でも期待したいもの。特に走力と跳躍力を生かしたゴール下へのアタックが威力満点なのは、この試合ですでに証明した。指揮官が「昨シーズンは固くディフェンスをしていましたが、今年はギャンブルではない激しいディナイからのパスカットで速攻が出ています」と評するように、今シーズンの琉球はより攻守の素早い切り替えが特徴となっている。

だからこそ、抜群の走力を持つ小野寺には、アグレッシブな守備からのトランジションオフェンスのフィニッシャーとして活躍が期待される。本人も「チームで年下の僕とジョシュ(スコット)でどんどん走っていきたいです。2人で走ればどちらかが空きます。相手が疲れる終盤に、しっかり走りたいです」と意欲を見せる。

上々の新天地デビューを果たした小野寺は、「ボールプレッシャーで良いディフェンスをしている時、会場が沸いてくれたらいいと思います」と、これからもまずは守備でチームに勢いをもたらしたいと強調する。だが、ディフェンスだけでなく、オフェンスでも彼がアグレッシブなプレーでどれだけ会場を沸かせられるかも、琉球の躍進にとって欠かせない要素になる。