東京パラリンピックに向け様々な競技やアスリートの魅力に迫る、MEN’S NON-NOの連載「2020年TOKYOへの道」。今回は、競技歴わずか2年ながら代表の中心として活躍する「ゴールボール」の若きライジングスターが登場!「ゴー…

東京パラリンピックに向け様々な競技やアスリートの魅力に迫る、MEN’S NON-NOの連載「2020年TOKYOへの道」。今回は、競技歴わずか2年ながら代表の中心として活躍する「ゴールボール」の若きライジングスターが登場!

「ゴールボール」は、視覚障がいがある選手たちがアイシェードで目隠しをし、攻撃は鈴の入ったボールを相手ゴールに投球、守備は全身でボールをセービングする3対3の対戦競技。そして日本代表で今最も期待されているホープが、競技歴わずか2年(!)の宮食行次だ。

「協会の人材発掘事業で誘われて、野球経験者だったこともあり投げることが得意だったのでやってみようと。すると身長もあるからフィットしたようで、トントン拍子で代表合宿に呼ばれるようになったんです」

当時、地元の大阪で盲学校に通いながらマッサージの勉強をしていた彼だが、ゴールボールを本格的にやろうと上京を決意。最小限の荷物と一緒にヒッチハイクで東京に出て、すぐに住む家と職場を決めた。

「昔から衝動的に動いてしまう性格で(笑)。だからあのときも、ゴールボールに対して『これをやるしかない』と直感的に思って、両親にも相談しないまま上京しました。振り返ると思い切ったなぁと思いますね」

パラリンピック本大会で上位進出のカギになるのが彼の"伸び代"だ。

「世界1位のブラジルの他、欧州勢、アメリカ、中国も強いです。日本は現状12位ですが、順調に強化が進んでいるので本大会では十分に戦えるはず。でも僕としては、さらに4年後のパリ大会まで視野に入れながらメダルがとれるようなチームにしていきたいと考えています」

この先はゴールボールとともに人生を歩んでいくつもりだという。

「今は視野が他の人より狭く、夜間に外で見えにくいくらいですが、目の病気は進行型なのでいつか視力を失うのではないかという不安はあります。ただ、もしそうなっても人生をかけて挑戦できることを自分の中でしっかり持っておきたい。それが僕にとってはヘルパーの仕事でありゴールボール。将来的には競技の普及活動にも貢献していきたいですね」

【プロフィール】

宮食行次さん
みやじき・こうじ●1995年3月20日生まれ、大阪府吹田市出身。小学5年時に、視野が狭く、暗いところでものが見えにくい「網膜色素変性症」であることが判明するも、小・中学生時代は野球部、高校ではソフトボール部に所属。2017年に日本ゴールボール協会が主催した人材発掘プロジェクトをきっかけに上京してゴールボールを始める。現在は株式会社サイバーエージェントウィルでヘルスキーパーとして働きながら、所沢サンダースと日本代表でプレー。