ルーキーイヤーで連覇に貢献、開幕前には肺炎で離脱「慣れない生活で疲労がたまっていた」

 パ・リーグ2連覇を達成した埼玉西武ライオンズ。昨シーズンは10年ぶりにパ・リーグ制覇を成し遂げたものの、クライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージでソフトバンクに敗れ、惜しくも日本シリーズ進出はならなかった。昨年のリベンジに期待がかかる中、今シーズンから加入した新戦力もチームに貢献している。

 西武のルーキーを紹介する第5回目は、今季両リーグで新人トップタイの7勝を挙げたドラフト1位の松本航投手だ。

 兵庫・明石商から日体大を経て入団。大学時代は最速155キロの直球を武器に首都大学リーグで通算30勝を挙げ、開幕前には新人王最有力候補と目されていた。しかし、オープン戦期間中の3月に肺炎で離脱。プロ初登板は5月にずれ込んだ。春季キャンプは環境に慣れていくのに精いっぱいだったが、質の高い練習ができて充実していたという。順調に調整ができていた中での離脱は、焦りより悔しい気持ちが強かったと振り返る。

「環境が変わると僕自身、緊張してしまうところがあるので、慣れない生活で疲労がたまっていたのだと思います。今までテレビで見ていた人たちの中に急に混ざってプレーすることになって、その緊張と疲れが出てしまったと思います。自分の不甲斐なさが悔しかったです。試合はずっと見ていて投げたくなりましたけど、急いだところでどうにかなるものではないかなと思っていました。完全に症状が無くなるまではしっかり休んで、もう1回作ろうと思いました」

 プロ初登板となった5月19日のオリックス戦で、初先発初勝利を飾った。西武の新人投手の初先発初勝利は、99年の松坂大輔投手(現中日)以来、20年ぶりの快挙となったが「あまり緊張はしなかった」とマイペースな一面をのぞかせた。

「やっと1軍で投げることができ、勝ちもつけてもらいました。ビジターだったのでライオンズのファンの方は少なかったかもしれないけど、雰囲気がすごくてびっくりしました。緊張はあんまりしないタイプなので、持ってる範囲で実力は出せました」

「援護点をいただいているのに負けている。まだまだ実力不足です」

 今季はルーキーながら優勝に貢献したが、自分の投球内容には納得していない。

「援護点をいただいているのに負けている。まだまだ実力不足です。制球力もそうですが、決め球が見つかっていないので、追い込んでから高めが多くなってしまいます。そんな中で1軍で投げさせてもらい、経験させてもらっている。しっかり練習しないといけないと思っています」

 今季65試合に登板したソフトバンクの甲斐野央投手や、同じ日体大からロッテに入団した東妻勇輔投手ら、同級生の存在が刺激になっている。

「甲斐野は開幕戦から投げていて刺激になりました。中学校から一緒のチームでずっと知っているので、投げていたら応援するし、一緒に頑張りたいという気持ちが強いです。東妻は負けず嫌いなところがあるので、自分よりレベルが上の人がいっぱいいるプロの世界で、シーズン最初の頃は悩んでいました。今は大学の時のような見たことあるピッチングをしていますね。みんな応援していますが、同期入団のピッチャーの中で、自分が1つでも多く勝ちたいです」

 この夏、母校の明石商が甲子園ベスト4に進出。大学時代、教育実習で受け持った生徒たちが甲子園の舞台で躍動しているのを見て元気をもらった。

「顔を見ればわかる子たちだったので、思い入れがありました。狭間監督はすごく熱い監督さんで、とても尊敬しています。その監督さんが指導された中で自分が初めてのプロ野球選手になりました。監督さんのためにも、母校のためにも頑張らないとという思いはあります」

 クライマックスシリーズ(CS)での登板も期待されるドラ1は「まずは自分の投球をするだけ」と目の前の試合を勝つことに目標を置く。「CSで投げるチャンスをいただけるのであれば、頑張りたいと思います」。日本一に貢献するため、全力を注ぐことを誓った。(篠崎有理枝 / Yurie Shinozaki)