今年も東京都学生連盟リーグ戦(リーグ戦)1部昇格はかなわなかった。1勝2敗で迎えた最終試合。1部昇格の夢は試合前の時点で既に破れていたが、それでも負けたくない一戦だった。しかし、課題の初立で出遅れると、その後も追い付くことはできず。今季3敗目を喫し、試合後には選手の目から大粒の涙がこぼれ落ちた。


15中を出した唯一の4年生レギュラー武藤香帆(文構4=東京・青山)。大学生活を弓道に捧げた

 課題の初立はこの日もうまくいかなかった。「初立の時点で低い的中を出してしまった中で、慶応がきちんと中ててきていたことが敗因」(武藤)。早大が7中と出遅れた一方、慶大は11中とまずまずの出だしを見せた。何とか差を詰めていきたいところだったが、前で引く二選手はなかなか調子を上げていけない。途中13中を出し差を少し詰める場面もあったが、次第に安定感を増していく慶大に太刀打ちできず。50-61で試合に敗れた。


なかなか調子を上げられなかった川西舞奈監事(スポ3=埼玉・春日部女)

 「そういった順位を出してしまったことは4年生の責任」(武藤)。2部で4位という近年まれに見る成績を出してしまったことについて、武藤はそう語った。かつて、早大女子部は強かった。かつて、といってもつい5年ほど前のことである。しかし、4年生が入学したころから状況はだんだんと変化していく。勝てない試合が続き、ついにはおととしのリーグ戦後に2部降格となった。この負けのループから抜け出したい。その一心で早大再興へ向け弓を引いてきたが、ついにかなうことなく4年生は早大を去ることになった。

 1部昇格への一つの目安となる『60中』。そこを目指してやってきたが、試合では常に50中前後にとどまった。「勝ちたいという気持ちは全員にあった」(細井愛理女子主将、教4=千葉)。気持ちで負けたのではなく、実力で負けたのだ。この秋は非常に苦しく、厳しい戦いになった。それでも細井は、「負けが続いてしまった中でも諦めることなく一人一人が自分の射でできることを追い続けてきました。確実にそこが実り強くなったということもある」と話す。幸い、主力メンバーの多くは来年以降も部に残る。また1部昇格を目指すチャンスが巡ってくる。もう同じ後悔はしないように。「やり切れたという思いはあまりありません」(武藤)。そう残し去っていく先輩の思いも背負い、後輩選手たちはきょうも弓を引く。

(記事・写真 金澤麻由)

★監督が産休、奮闘した選手たち


選んだ選手と精神統一をする細井女子主将(右2番目)

 現在、女子部は監督が不在だ。6月の全関東学生選手権を最後に、産休に入ってしまったのだ。そのため、それ以降は女子主将の細井、主務の永井優衣(文4=東京・早実)、監事の川西の三人が中心となり、時には指導陣にも相談をし、メンバー選考を行ってきた。今年の女子部の魅力は、どの選手も試合に出られるだけの実力があるという点だ。しかし、一方でメンバー選考となるとどの選手を出すのが最善か、見えづらくなる。さらに、どの選手が活躍するか、というのはその選手の未来の的中を予想することになるため、困難を極める。思うような結果が出ないとき、他の子を選んでいれば違ったかもしれない、そう感じることもあったという。それでも、細井は「出場した選手たちは、自分たちがやろうと思ったことをきちんとやってきてくれたと思うので、そこはすごく選んだ側としてすごくうれしかった」と振り返る。メンバー選考という、勝敗を左右する重要な責務。それを今年は学生たちが背負い込んで戦っていたのだ。

(記事・写真 金澤麻由)

結果

●早大80射50中―慶大80射61中

大前 山野桃果(先理1=東京・吉祥女)  20射12中

弐的 川西  20射9中

落前 武川衣万里(スポ1=山口・宇部フロンティア大香川)  20射14中

落  武藤  20射15中

コメント

細井愛理女子主将(教4=千葉)

――きょうの試合を振り返って

勝ちたいという気持ちは全員にあったと思いますが、早稲田の課題である初立からきちんと的中を出し切るという点が甘かったと思います。その後はいい山もあったと思いますが、なかなか展開を勝つ方向へ持っていけなかったなと思います。

――慶応に差をつけられる展開となりましたが、途中選手の皆さんにはどのようなお話をされましたか

きょうだからこそというわけではないのですが、今自分がやりたいこと、こうしようと思うことをしっかり一本一本全力でやりきるようにという話をしていました。

――1部昇格を目標に挑んだリーグ戦でした。振り返っていかがですか

1部昇格を目指していた中で、結果として2部の中で1勝3敗というかたちになってしまったことは反省点が多々あると思います。特に、どうしても50前後の的中が試合では続いていましたが、1部昇格となると60中をちゃんと出し続けられるようにしていかなければいけません。そこを目指して今シーズンやってきましたが、あまり伸ばせなかったことは課題かなと思います。ただ、初戦、2戦目と負けが続いてしまった中でも諦めることなく一人一人が自分の射でできることを追い続けてきました。確実にそこが実り強くなったということもあるので、そこは今シーズンで良かったことだと思いますし、来年以降に生かしてほしいところだと思います。

――今年は監督はいらっしゃらないのでしょうか

コーチはいます。

――メンバー選考は4年生が行っていたのでしょうか

そうですね。基本的には4年生の私と主務の永井と、3年生の川西という三人で行ってきました。そこに、監督さんがもしいらっしゃらなくても、コーチなど他の指導陣の方がいらっしゃればその方々を交えてやることになっています。

――監督がいらっしゃらないのは今年だけでしょうか

女子部の監督は、いらっしゃるのですが、全関の後に産休、育休に入られました。なので、お忙しいのでいらっしゃれないということになりました。

――学生でメンバー選考をする中で難しかったことや悩んだことなどはありますか

今年の早稲田のいいところとして、固定メンバーではなく多くの人が中てられる力を持っているということがあります。練習の立ちや、試合に出した時にその中で今なら誰が一番実力を出せるのかということ。それはやはり未来を予測することになってしまうので、なかなか選ぶことが難しかったと思います。選ぶ側も選手なので、自分も引きながら周りを見るとなるとどうしてもうまく見切れなかったところもあります。出してみて、他の子の方が良かったのではないか、と悩んだこともありました。ただそれでも、自分たちが選んで出場した選手たちは、自分たちがやろうと思ったことをきちんとやってきてくれたと思うので、そこはすごく選んだ側としてすごくうれしかったです。

――大学四年間、2部での苦しい時間もありました。振り返っていかがですか

早稲田の女子部は私たちが入ったころから負けが続いていてしまっていました。今年でこのループから抜け出せなかったことは個人的に悔しいと思っています。ただ、そうした悔しい思いをした中で、部員一人一人がどうすれば試合に勝っていけるのだろうと、きちんと考えているのかなと思っています。そこをもっと突き詰めれば、ちゃんと強い早稲田になれると思うので来年以降勝てる試合を増やしていってほしいと思います。

――主将としてのご自身の一年間を振り返っていかがですか

どうしても自分は一人だと未熟な部分が多く、それによって自分に自信がなくなってしまい、負の連鎖になってしまうこともありました。そこは同期であったり、周りの方々のいろんな支えがありました。そういう風な中でも今自分ができることは何だろうとしっかり考えてやり続けることができたと思います。反省点もすごく多いですが、それでもすごく何か下に残せたことはきっとあると思っています。自分の役目としてはしっかりとやれたのではないかと思います。

――試合に出ている選手の多くは来年以降も部に残ります。後輩選手に向けてメッセージをお願いします

先程も後輩に話したのですが、私たちが今シーズン得たものはたくさんあると思いますし、強くなった部分も多くあると思います。そうした部分を忘れず、負けが続いたからといって決して自分たちが駄目なんだ、できないんだ、とは思わずに、とにかく強気で1部昇格へ向けまた頑張っていってほしいです。

――今後弓道は続けますか

正直迷っていますが、私は高校から7年間やってきたので、今後全く弓道をしない生活は考えられないなと思います。

――弓道は細井選手にとってどんな存在ですか

弓道は、私に色んなことを教えてくれました。やはり辛いことも多かったですが、それを乗り越えた先に楽しさや自分や部の成長もあったと思うので、本当に私の高校大学生活の中でいろんなものを教えてくれた大切なものです。

武藤香帆(文構4=東京・青山)

――きょうの試合を振り返って

序盤からみんながコケてしまったのがすごく印象的でした。その後取り戻すことができませんでした。初立の時点で低い的中を出してしまった中で、慶応がきちんと中ててきていたことが敗因だと思います。

――慶大が順調に的中を重ねる中、焦りなどはありましたか

結構悪い想像をしてしまいました。落で引いている中、(自分より)前の人たちが一本目から抜いていくのを見て、「3本もう抜いて、あと何中できるのだろう。最高でもここから13中しか出せない」という風に思いながら引いていました。

――きょうのご自身の射については

普段とあまり変わっていなかったと思います。若干少し雰囲気に飲まれてしまったと思う部分もあります。あと2、3本は詰められたのかなと思います。

――リーグ戦を振り返っていかがですか

本当に悔しい気持ちでいっぱいです。早稲田の歴史の中でここ最近では、2部でこんな順位を取ってしまうというのはないと思っています。そういった順位を出してしまったことは4年生の責任なのかなと思っています。

――大学四年間は部としては苦しい期間だったと思います。振り返っていかがでしたか

四年間を振り返って、正直きつい試合しかしたことがなく、自分自身あまり勝った記憶はないです。なので、やり切れたという思いはあまりありません。

――今後後輩の皆さんは1部昇格を目指してまた一年やっていくと思います。メッセージをお願いします

ずっと言ってきたのですが、みんなの実力はこんなものではなく、早稲田でどうこうではなく、他の大学の的中を見て、努力をしていってほしいと思います。こんな的中で終わる人たちではないので、すごく自分としても歯がゆいですし、伸ばしてあげられなかった責任はすごくあるのかなと思います。

――弓道を今後も続けていきますか

私はやらないですね。

――最後に弓道とは武藤選手にとってどのような存在でしたか

自分は結構部活とバイトしかしてこなかったので。四年間の学生生活は部活に打ち込んできました。大学生活において欠かせない、というか、辛くもありましたが、成長させてくれたものも弓道だったなと思います。