3地域対抗戦のジャパンオープンがフリーのみで行なわれ、2連覇を狙った日本はチーム総合で2位に終わった。活躍が目立ったロシア女子を擁する欧州が2年ぶりの優勝を果たした。



ジャパンオープンで3位となった紀平梨花

 昨季グランプリ(GP)ファイナル女王の紀平梨花は、ジャンプの難易度を落とした構成で144.76点(参考記録)の3位に終わった。自己ベスト154.72点を約10点も下回ったが、致し方ない事情があった。

 シニア2年目の紀平は、シーズンイン直前の9月初旬に左足首をひねってしまった。万全の状態ではないながら、シーズン初戦のオータム・クラシックで優勝したものの、ケガの影響は1カ月後のジャパンオープンまで引きずっていたという。

「ジャンプ練習の制限が掛かっていて、(1日)1時間しか練習ができていなかったし、3回転ルッツも跳んでいないです」

 そんな状況では、「挑戦したい」と言っていた大技4回転サルコウをプログラムに組み込むことは無理があったのだろう。前日練習では1度も4回転サルコウを跳ばず、本番当日朝の練習では「跳んでみたんですけど、思ったよりもうまく着氷することが難しかった」と、回避を決めた。

 演技後の会見に現れた紀平の左足首にはアイシングが施してあった。

 ジャパンオープンでの紀平は、本調子ではないなかで、安定感を誇ってきたトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)に気持ちを集中させて、いまできる最善を尽くしてミスのない演技を目指した。

 この日は、冒頭の3回転サルコウを跳んだあと、やや着氷でバランスを崩したものの、単発のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を跳んで波に乗った。プログラム後半ではトリプルアクセル+2回転トーループや3回転フリップ+3回転トーループ、2回転アクセルからの3連続ジャンプを成功させた。最後の3回転ループでは着氷が詰まって前のめりになるミスを出したが、故障を抱えるなかでの演技としては及第点の出来だったのではないか。

「今回の演技ではトリプルアクセルの位置を変えて、きれいに決めることができてよかったんですけど、(最後の)3回転ループはあまりよくないミスだったので、次の試合からは完全に克服できるようにしたいです」

 今季のフリーのプログラムは世界平和をテーマにした『インターナショナル・エンジェル・オブ・ピース』。ターコイズブルーの衣装にはゴージャスな金の装飾がついており、髪の毛をまとめるシュシュも金色と、華やかさが際立った。

「衣装のイメージは、(振付師のトム・ディクソン氏から)『天使の役を演じなさい』と言われたので、それを連想させる衣装で、カッコいい衣装にしたいと思い、すべての場面で天使の役になりきるように作りました」

 昨季は鮮烈なシニアデビューを飾った17歳の今季GP初戦は、10月下旬のスケートカナダとなる。まだ滑りこなすところまではいってない壮大なプログラムをどこまでブラッシュアップしてくるか。スケーターの生命線である足首のケガをしっかり治すことがまずは先決となる。

「(次戦では)トリプルアクセルを2本決めるのはもちろんで、他のジャンプもミスなく跳ぶこと。そして、今回ダブルアクセル(からの3連続ジャンプ)を跳んだところを3回転ルッツにしたジャンプ構成にして、どの試合でも安定した高得点を出せるようにして、今季は自己ベストをいくつか出せるようにしたいと思っています。

 4回転サルコウは今後、必要になってくると思うので、しっかりシーズン中に跳べるように練習しつつ、他のジャンプをミスなく跳び、あとはいかに1点1点を高く出せるか構成を考え、しっかりケガを治して、どの試合でも安定したいい成績を出せるようにしていきたいです」

 ジャパンオープンでは、ジュニア時代に対戦した4回転ジャンパーのアレクサンドラ・トゥルソワ(ロシア)が、4回転のルッツ、サルコウ、トーループの3種類4本の大技を連発。その圧巻の演技と160.53点という驚異の高得点を目の前で突きつけられた格好となった。紀平はしっかりとその結果を受け止めていた。

「4回転はもっともっと練習していかないといけない。その前にやっぱりまずケガを治して、どんな挑戦でもできるように、練習で全力を出せるように、しっかりコンディションを整えて、北京五輪では必ず4回転ジャンプを跳べるように練習をしていかないといけないなと思っています」

 ジュニアからシニアに参戦してくるロシアの若手たちが、女子フィギュアの世界を一変させようとしているなかで、紀平は自身のやるべきことをやるしかない。それは武器であるトリプルアクセルをさらに磨き上げることだろう。2022年北京を見据えた今季の目標について、彼女は意気込みを語った。

「まずは、世界選手権で表彰台に上がるという目標を立てました。今季はいろいろなことに挑戦するシーズンだと思うんですけど、昨季よりも平均の点数を上げて、どの試合でも高く安定した成績を出せたらいいなと思っています」

 トップ選手の仲間入りを果たした昨季を超える活躍を目指す。